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第3話 フリフリの服もスカートもイヤだけど……


リオが林原家で生活し始めて数日たったある日。リオがリビングで一通の封筒を発見した。



「 香苗さん、これ何ですか?」

「何って、リオちゃんの戸籍謄本の写し」


香苗は封筒から、戸籍謄本の写しを出してリオに手渡した。

戸籍謄本の写しには、林原理緒 (はやしばらりお)女と記載されていた。

先日、父からこちらでの生活する上で必要だからと、説明されていたのでどういう物であるか理解していた。

だからこの戸籍は、どうやって手に入れたんだろうかと知りたいが、とりあえず今は、自分の名前についてつっこんだ。




「 おれの名前いつの間にか、漢字になってるし」

「いやだった?」

「 別に嫌じゃないけど、あらかじめ言って下さい」


理緒の言い分は、至極全うなだが、いかんせん相手は香苗だ。自分がやりたいようにしかやらない主義だ。小さな子供のようにむくれはしなくとも、どこ吹く風という態度。

ようは、開き直ってこういい始末だ。



「 別に困るわけじゃないから、いいじゃない。あっもう親子なんだから香苗さんと敬語禁止ね」

「わかったよ。でも、おれの事なんだから、あらかじめ言ってくれよ」

「あーはいはい。ちょっと、用事、思い出したから、向こうへ行ってくるわね」


香苗は、理緒の抗議をスルーして、鼻歌を歌いながら、リビングから出ていった。


「もう」


香苗に、抗議をスルーされ、理緒がむくれてると、慰めるように肩を叩かれる。


「 拓人さんじゃない。お兄ちゃん」


顔を上げると、兄、林原拓人はやしばらたくとがいた。4月から高校 一年生になる。スラリと身長の高いイケメンで、小学生からバスケットをやっている。


「諦めろ、理緒。いいか、母さんに何を言っても無駄だ。日本一いや、世界一を通りこして、宇宙一のマイペース女王だ」

「うっ宇宙一のマイペース女王」


ーーー宇宙一のマイペース女王って、言いかえたら、究極のエゴイストじゃないの。

と理緒が考えていたら、中年男性の声がした。



「そうだ、香苗は、宇宙一のマイペース女王。理緒も、拓人のように諦める事が、肝心だ。私が、結婚してすぐ諦めたように」

「治さんじゃない、お父さん」

「父さん」


いつの間にか二人の会話に、父(おさむ)が、参加していた。


「諦めるねぇ。ツッコミ体質の俺には、無理かもよ」

「そんな事を言うんじゃない。我が息子よ」

「お父さん、一応息子じゃなくて、娘な。一応 」

「理緒、ツッコミ入れてる割には、一応つけてるし」


三人が、コントのような会話をしている所に、香苗が大きな段ボールを抱えて、リビングに戻ってきた。

香苗は、段ボールの中から嬉々として一着のワンピースを取り出した。

いつも香苗が着ているピンクでフリフリのワンピースに良く似たデザインだ。




「 見て見て! この服可愛いでしょ」

「母さん。なんだよ。また、フリフリの服買ってきて、まさか、理緒に着せるつもりか?」

「そうよ。理緒ちゃんの服」


当然とばかりに、香苗は、言った。


「あのな、理緒は、ついこの前まで男だったんだろ?そんな、フリフリの服着ろって無理だよ。僕のお下がりあるし」

「お兄ちゃんの言う通り着ないよ。下着は、仕方ないけど、フリフリの服もスカートも、嫌だ」


理緒は、言い放つと、リビングから出ていった。


リビングを飛び出した勢いのまま、家を出てきた理緒は、家から歩いて5分の商店街で、ブラブラしていた。


「 もう、お母さんも何も言わずに、買ってこなくても、いいのに」

独り言をぶつぶつ言いながら歩いてると、書店が目に入った。


「本でも読んで落ち着こう」



「いらっしゃい」


やる気のなさそうな声で、中年男性の店員が、理緒や他の客を迎えた。


理緒は、店内をまわる。あっちにいた頃は、暇があれば読書をしていた。

日本に転生してきて数日。言語チートのお陰で文字にも話す事にも困らないのだが、正しい日本語の使い方や4月から中学校に通うので学校の勉強も兼ねて、父や拓人が所有している書物を読み漁っていたが、すぐに読みきってしまった。

すると勉強の息抜きにもなるからと、拓人のすすめで、漫画も読み始めたら、面白いのですっかりはまってしまった。



「あれ、欲しかったやつだ。でも、高いから取れないな」


理緒の身長だと、取れない位置にあるので、困っていたら、さっきの中年男性の店員が、声をかけてきた。


「おう、坊主。本が、取れないのか。どれ、おじさんが取ってやろう。ん、どれだ?」

「えーと、あの漫画です」

「 よっしゃ、ほれ」

「ありがとうございます」


漫画を取ってもらって、理緒は、お礼を言った。


「坊主かあ、ちょっと複雑だなあ」


会計を済ませて、お店を出た。最近まで男だったから、家での女の子扱いに戸惑う事も多々あるが、しかし女だと自認してる上で男の子と間違われるのは、複雑だ。

理緒は、歩きながら、お店のショーウィンドウに写る自分の姿を見て思わず苦笑した。

ショートカットの髪に、被ったキャスケット、拓人のお下がりである白い半袖のTシャツとハーフパンツ。これで、男の子に間違えるなって言うほうが無理だ。


「ちょっと、何か対策を考えたほうが良いかも。スカート穿かないって言ったけど。穿いたほうがいいかな。せめて女の子に見えるようになったほうがいいよね」


その後、理緒は、行く先々で、男の子に間違られて少しだけへこんだ。


「絶対、俺は、女の子に見えるようになる。フリフリの服もスカートも嫌だけど、でも、男の子に間違られるのは、もっと嫌だ」


家に帰るなり、家族の前で、そんなを言った理緒だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 普通のTS娘なら、男だと見做されるとむしろ喜ぶのでは? でもこんな風にすぐ自らメス堕ちしたいTS娘もなんか面白いです。
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