1 日本へ転生
1 ニホンへ転生
リオ・カーティス(13)は、とある国の空軍の訓練生だった。
ある日、リオが住む国に、魔王が率いる魔族が戦争を仕掛けてきた。
魔王の軍隊は、自分達の科学力と魔法の技術を持って作り上げた魔物を武器に攻めてきた。
それに対してリオの祖国は、科学力を持って、兵器を開発し、魔王軍に対抗したが、敵わず、どんどん、戦力を削られていくため、戦力補強の為に、訓練生にも出兵命令が下された。
リオも命令に従って出兵したが、魔王軍の魔物に攻撃を受けた瞬間、リオは、上も下も全部真っ白な空間にいた。
「おれ。どうしたんだっけ?魔物に攻撃されたんだよな?って事は、死んだ?ここはあの世か?」
「そうだよ。正確には、あの世とこの世の狭間だよ」
といきなり現れたのは、黒いロングヘアに白い着物に赤い袴という巫女装束を纏った3歳くらいの幼女だった。
普通ならいきなり現れた幼女に驚くか何か反応したいところだが、リオは、現状を把握しようと努めるので、いっぱいいっぱいだ。とりあえず頭の冷静な部分をフル稼働させ、幼女に質問攻めをした。
「へーあの世とこの世の狭間かあ〜。ところで、君は、なんて名前かな?」
「人に、名前訊く前にさー自分から名乗るべきじゃない?まあ、いいや聞いて驚け、あたしは、神様だ!」
えっへんとふんぞり返る幼女改め神様を見ながら、とりあえず自己紹介をした。
「おれは、リオ・カーティス」
「ふーん。リオって言うんだ、あのさ、いきなりで、悪いんだけど。転生して、今すぐ」
「はあ?なんで?イヤ、今すぐ転生ってナニ?ここは普通地獄とか天国に行くかじゃないのか?」
転生しろという意味不明な要求を突きつけてきた神様にリオは、ツッコミを入れたが、神様の一言は、予想のナナメ上を行くものだった。
「えーだってさ、あたしの管轄する世界の天国や地獄さー、最近、死者が爆発的に増えててさ、ぶっちゃけ死者を受け入れようにも天国も地獄もいっぱいなのよ。まぁ、三年くらいまてばどっちか入れるかもだけどー。そしたらリオは、幽霊として地上で彷徨う事になるよ?」
「マジっすか」
それでもいいの?とコテンと小首を神様は、可愛く傾げる。その仕草にやられたというよりも、三年も幽霊として彷徨うとか嫌すぎるという思いから、神様に頼み込む事にした。
「お願いします。転生させて下さい」
「そうこなくっちゃ。それならついでにあたしのお願い聞いてくれる?」
「聞きます。転生させてくれるなら、なんでも聞きます!」
この時リオは、お願いを聞いたのをひどく後悔する事を知らずに、あっさりと神様のお願いを聞き入れてしまった。
「あたし前からさ、一度でいいから誰かを転生トリップさせてみたかったんだー」
「なんだ、その転生トリップって?」
リオは、眉をひそめるも、神様はニコニコ笑顔で自分の野望について語り始めた。
「あのね、日本って国じゃね、一度死んだ人間が、異世界へ転生して活躍したりするっていう小説が流行ってるのよね。でさ、ちょっと思った訳さ。小説みたいな事、あたし神様だから、出来るんじゃねって」
「……」
リオは、呆れて口を半開きにしたまま数秒程黙ってしまったたが、生来のツッコミ気質をまた発動させた。
「そんな訳わからん理由で、そのニホンとやらにおれを転生させるんかい!」
「うん。ただ、日本はさ、あたしの管轄じゃないから日本人を転生させたくても出来ないだよねー。だ・か・ら、お願いねっ転生トリップしてください」
神様は、両手を合わせ目をウルウルさせながらお願いした。
神様とはいえ、見た目3歳くらいの幼女だ。ここで断るのは、リオに罪悪感が芽生えるだけである。なら、どんな形だろうと、転生出来るなら自身にもメリットがあると自分に言い聞かせ、神様のお願いを受け入れる事にした。
「うっわかったよ。だから、泣くなよ」
「本当に、いいの?」
神様は、ずいっとリオに顔を近づける。
「おう、本当だ」
「やった。ありがとう。わーいリオ大好きー」
と神様は、ぴょいコラと跳ね回る。
そんな姿にリオは、一瞬ほっこりとした気持ちになったが、神様は、リオにバレぬようボソッと呟く。
「へっやっぱり小さな女の子で、お願い作戦は、うまくいったぜ。ひっひ」
あのー神様。あなたリオにツッコミいれられますよ。
だがリオは、まったく聞こえてないようで、ヘラヘラ笑ってる神様に近寄る。
「おーい。どうかしたか?」
リオに、声をかけられて神様は、ハッとなり笑顔で、なんでもなーい。と言った。
「そーそー リオね、日本じゃ女の子になってるからね」
「なんで?」
「別に。あたしがリオを女の子にしたいだけ」
「はーもう、好きにしてくれ」
ツッコミを入れる気もないリオは、そう言った。
「あ、あとね、日本での生活に、困らないように必要な知識と言語理解出来るように、しとくね。じゃ、GOOD LUCK !」
そう言って神様は、リオの背中をドンと押した。
「なんで、落とすんだよ」
リオは、落ちながら、神様に最後そうツッコミを入れた。