一日がこんなに長いなんて2
午後の授業の目玉、魔法攻撃演習
待っていてくれたファリナとともに演習場に駆け込む
演習場にはカリラ先生がすでに待っていた
その横には白いローブに金の縁取りがされたマントを着た偉そうな老紳士がこちらを見ている
その後ろには何人かの先生と思われる一団
その反対側にはBクラスとCクラスの面々
なんだこれ、こんな衆人環視のなかでやるの?まじで
そんなことを考えているとカリラ先生が一歩前に出る
「今日は特別に当、王立魔法学校ドリストイン校長にも立ち会って頂きます」
校長?偉そうと言うか偉い人だった
「よろしく」そう言って校長先生は一歩前に出た
「では、Sクラス整列してください」
先生の号令で僕ら5人は横一列に並ぶ順番は先生から見て左からココさんアリアルナさん
マルナ、ファリア僕の順番
カリラ先生が軽くうなずいて説明に入る
「この魔法攻撃演習では先ほどイメージで練り上げた魔法を皆さんの前方5メートル
にある標的に当てて頂きます」
みんなそれぞれに緊張しながら先生の説明を聞いている
「先ほどの練習では指先に魔法を集めてもらいましたけど
今度は皆さんの得意な触媒を使用することができます」
僕を除く4人は各人ベルトに付けてある杖や剣を抜く
マルナは小剣ファリアとアリアルナさんは杖ココさんは?・・・・剣?
以外だな
ン?あれみんなの視線が僕の方に向いている
僕は正直に「持ってません」というと
Bクラス Cクラスから なんだあいつ、とかバカじゃないのとか
クスクス笑い声がする
やっぱり何処に行っても夢の中でもこうなるのかな、マァなれてるけどね
「気にしない、気にしない」
ファリア?
「笑いたいやつは笑わせとけば良い」
「ほんと、情けない連中ですわ」
マルナとアリアルナさんココさんもこっちを見てコクコク頷いてる
先生はざわついてる生徒を一瞥して
「触媒は魔法の威力を上げるのに使用しますが無くても問題はありませんよ」
「では、ココさんからやってみましょう 、今度は杖では無く剣ですね
剣を立ててイメージを剣の先端に流すようにして標的に向けて振ってみてください。」
ココさんは言われたとおりにイメージを流していく
さっきは白かった光がレモンイエローのような色に見える
これが触媒のおかげというやつかな
「今です」
先生の声にココさんは剣を振る
剣に灯った光は標的に向かいパンという音とともに弾けた
「お見事です」
ココさんはホットしている
「では、次アリアルナさん」
「はい」
アリアルナさんは綺麗な飾りのついた杖からココさんより大きな光の球を打ち出す
光球は標的に正確に当たる
すごいな
「では、次にマルナさんお願いします」
「オウッ」
マルナは剣を構えてイメージを流していく、先の二人より少しオレンジの光球が大きい
それを勢いよく標的に向かい投げつけるように振る
威力には目を見張るものがあったが標的からは少しずれた。
「最初にしては上出来ですよ」
先生はそれとなくフォローして
次は、ファリナさんですね
「はい」
ファリナは杖を構えると杖の先に集まった緑色の光がファリナに絡みつくように動き回る
明らかに他の三人とは違うように見える
「今です」先生のかけ声にファリアが杖を振る光は杖から離れず一直線に標的に向かう
いい音がして標的が揺れる
「良い魔法ですね」
先生が笑顔で褒めて、ファリアが照れている
「さて、ではミトさん」
「はい」
僕は標的に向かい手を伸ばす。
どうしよう、みんなはある程度やり方を知ってるようだけど
イメージっていうのもいまいちわからないし・・・・・
どうしよう、と思っていると・・・・・
『大丈夫だよ』
と言う声が聞こえてきた
「えっなに」
一度イメージを切ってあたりを見渡す
「どうしたの」
ファリアが心配そうに聞いてくる
僕は首を横に振ってもう一度構える
『私の声はあなたの頭の中に直接語りかけてるの』
また頭の中に声が聞こえてくる
『君はだれ?』
『それは、おいといてとりあえず私のこと信じて言うとおりにしてみて』
『どうすれば良いの』
『まず、手のひらを上に腕を前に出して」
僕は言われたとおりにやってみることにする
『そそ、次は親指が外に行くように手を握って』
『やったよ』
『イメージを手の先に貯めるような感じに考えてみて』
『そそ、良いよその感じで』
『なんかいけそうな気がしてきたでしょ、よーしそろそろ行ってみよう』
ミトの手の先が光り始めたのをみて、周りがザワついた
「ちょっと待って」
カリラ先生が慌てて止めようとするが
『いまよ、弾いて』
僕は、その言葉にしたがって指を弾いてみた、その瞬間
ドーンと言う大きな音がしてあたりが揺れた
慌てて目を開けてみるとあたりが煙っている
少し煙が晴れてくると周りにいた人たちがみんな尻餅をついている
「あれ」
よく見ると標的が無いというより奥の壁が無い?
標的の後ろには防護壁があるのだがそれを突き破り外壁ごと吹っ飛ばしていたのだ
「お見事・・でした」
「今日の授業はここまでです」
「お疲れ様でした・・・・・・・」
カルラ先生は腰を抜かしたままそう言って、後ろ手に倒れて気をうしなった
放課後 五人で校門を出る
僕以外の四人はぐったりしている
何があったかのか聞けないまま家路についた
王立魔法学校 の一室、職員用の会議室に学校長をはじめ担任のカルラ
攻撃魔法、生活魔法 ヒーリング魔法のスペシャリストがそろっていた
何ですか?あの、べらぼうな威力の魔法は?彼はいったい何者です?」
沈黙を破ったのは魔法攻撃のスペシャリスト メイフォーリン
「しかも、厳しい訓練をした魔導士で」も
あれだけの魔力を放出したら3日は寝込んで起き上がれませんよ」
あきれたと言わんばかりの物言いに
「本人あっけらかーんとしていましたからな」
笑いながら学校長が返す
「笑い事ではありません担任の私の身にもなってください」
抗議しようとするカルラを制して
ヒーリング魔法 ミランが学校長に質問をする
「彼のスフィアは何ですか?最初、緑に光っているのかと思っていましたが
中から光があふれているというか何か少し違うような」
「あれは・・・」
答えたのは学校長ではなく隣に座る白い法衣の女性
みんなの目が法衣の女性に集まる
「スフィアの中に眠る魔力核に彼の魔力が触れ核が黄金色に輝いたのです」
「黄金色に輝く魔力核?」
「黄金色の核と言っても黄色が全体的に強く出るのでスフィアのブルーに重なり
エメラルド色に輝くと言われ、それがエメラルドスフィアと言われています」
「伝説ではテレスフィア様が魔法を使うときはスフィアの中で黄金の核が踊るように揺れ動き
最大魔力放出のときスフィアが黄金色になったと聞きます」
「ミラン先生は揺れ動く黄金核を見たのではないかと」
黄金核のスフィア
誰ともなしに言葉が漏れ息をのむ
「そうです、あの子はテレスフィア様と同等もしくはそれ以上の魔法使いかもしれません」
会議は深夜まで続いた