マリシェル王妃
話がだらだら長くなりますが
もうしばらくこんな感じで続いていきます
「だから、家の方が良いって言ってるの」
「此処の方がすべてにおいて言いに決まっています」
二人の言い合いは今だ続いていたが
「あれ・・・ミトは?」
「お母様?」
「あの」
「あの、ルミナ先生」
「何ですか?」
「カレット将軍?」
「何でしょうか?」
「自分で歩けますので、下ろしてくれませんか?」
「「ダメです」」
ミトはルミナ、カレット、騎士二人に抱えられ廊下を走っている
マリシェルはその先頭を走る
「此処です」
そう言って大きな扉を勢いよく開けて中に入る
部屋は部屋というにはあまりにも大きく
豪華な造りで大きな天蓋付きのベッドまで置かれている
「「「「せーーーの」」」」
かけ声とは違い凄く丁寧にゆっくりとミトはベッドに下ろされる
「あ、あ、あの」
あっという間に掛け布団が掛けられる
慌てる僕に王妃様はビシッと鼻先に指を突きつけ
「動くのは禁止、良いわね」
王妃様は先生と将軍になにか言って
椅子を僕の枕元のベッド脇に置き「さて」と言って座る
「あのー」
まるで尋問でも受けるかのようなマリシェルの雰囲気に飲まれる
それが、分かったのか少し笑顔を向け静かに話し始める
「まずは、お帰りなさい、それと ありがとう」
「あ、はい ただいま帰りました」
マリシェル様は僕の返事に笑顔で頷いてくれたけど
すぐに真顔になって
「それで、どこに行っていたの?」
「えっ?」
王妃様はくすっと笑って
「だって、お帰りなさいと言ったら ただいま帰りましたって言ったじゃない」
それは、帰れるということがわかっていたという事でしょ
とても死んでた人が言える言葉じゃないわよね」
「あなたは誰?フランの子ではないのでしょ」
「あっ、あの・・」
「大丈夫、さっきの人たちがフランたちの足止めをしてくれているから」
僕がドアのほうを気にしてたのを感じ取られた
「僕は ミト ミト・ハンジェリンです
それは間違いありません・・・・・・ただ・・これからお話しすることは
絶対秘密にしてください」
「そう、そんなことが・・・・」
「はい」
「となると、フランは貴方が、自分の子供が違う世界に転生して生きていると知った
あまつさえ、それを見つけだし、貴方のあまりの厚遇の悪さに耐えかねて
こちらの世界に召喚したということ?」
「はい、そうだと思います」
「無茶するわね、まったく・・で、テレスフィア様も一枚かんでいると・・・」
頷く僕を見て王妃様は大きくため息をつく
「テレスフィア様とフランの能力を併せ持っているのね
そりゃとんでもないわけだわ」
「あ、でも剣技と格闘は旦那さんのほうだって言ってましたけど」
僕の言葉に半眼で
「言ってるだけでしょ、たく
テレスフィア様の旦那様は伝記にもあまり書かれていないので知らないけど
そんなに凄い人なら記録に残っていないのは変だし
おまけに、フランの連れ合いは私が紹介した人だから良く知ってるの
そんなすごい人じゃないわよ、元騎士だけど普通よ普通
多分あなたの剣技術がすごいのは
あの、飛んでもフランの血じゃないかしら
あの子、何でもかんでも力業で解決するからね」
「飛んでもフラン?力業?お母さんが?」
「あの子、何千と押し寄せる敵に一人で突っ込んでいって敵の総大将殴り倒したからね」
「な、殴り倒した?魔法じゃなくて?」
「そ、あの子一人で一個大隊と同等ぐらいの力があったからね・・
そんなことされたら一発で相手の戦意喪失よ」
「そんなに・・・」
「あ、ごめんなさいね良くわかったわ・・・ありがとう
ただ、最後に一つ、もうあの魔法?神聖法術だったかしらあの力は使ってはダメよ」
「どうして」
「どうして?あったりまえでしょフランのあんな顔は二回も見ればたくさん
三回目があったら私の心がぶっ壊れるわよ」
「二回あった?」
王妃様は頷きながら椅子から立ち上がる
「一度目は貴方が消えたあの日、声すら掛ける事が出来なかった
二度目は貴方が私たちを救ってくれたあの日、助けてもらったのに
胸が押しつぶされそうになった
もうあんな顔見たくないの」
「私たちに使ったパーフェクトリジェネレーションは
命の危険もあるから使わないとは思うけど
他の神聖法術も
使うなとは言いわない、だけどできるだけ隠しておきなさい」
使えることが分かればあなた自身が世界から狙われることになる」
「わかった良いわね」
僕が無言でうなずくのを見て顔をほころばせ
「でも本当に良かったミト、フランの元に帰ってきてくれてありがとう」
「フランの事お願いね」
「はい」
「そろそろ、時間ね」
王妃様がそう言うと
大きなドアが物凄い勢いで開けられお母さんとミッシェル様が飛び込んできた
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