テルスフィア・ホーネット・スカイ
今回もだらだら長いです
「此処は?」
白い靄がかかった空間何も見えない世界。ミトはそこで目がさめた
「どこだろう此処」
寝ていた体を起こす
ン?この感触は・・・・畳?」
そう、思った瞬間周りの景色が見え始める
見覚えのある6畳間、そこに置かれている茶箪笥
僕はいつの間にか炬燵で居眠りしていたようだ
「ここは、僕が住んでいた部屋?」
「そうか夢を見ていたんだ、ははリアルでびっくりしちゃった・・」
僕が安どのため息をつくと台所から声がする
「あら、起きたの、御飯出来たから今持っていくわね」
そう言って大きなトレイに二人分の食事を載せ炬燵の反対側に腰を下ろす
「あのね、お母さん・・・えっ」
誰、?お母さんじゃない フラン母さん?似ているけど違う
「あなたは?」
「あら、お母さんの顔忘れちゃったひどいな?」
その人は、自分が母親だと言った
僕がキョトンとしていると
「ウーン、まー300年ぶりだからね無理もないか」
「さ300年・・・?」
「久しぶりね貴方のお母さんテレスフィア・ホーネット・スカイよ」
「テレスフィアさんって?学校の廊下に飾ってある大きな絵の綺麗な人」
「あら、ありがとう、実物はもっといいでしょ」
何だろう、まだ夢でも見てるのかな僕は自分のホッペタをつねってみる
「痛くない・・やっぱり夢」
それを見ていたテレスフィアさんが大笑いしている
「そりゃそうよ・・貴方死んでるんだから」
「あ、そうかって ええっ?」
「あなた、王妃様を助けるためにパーフェクトリジェネレーション使ったでしょ」
思い出したそうだ、あの時
「あれね、とんでもない魔力使うのよ、と言うか生命エネルギーまで持ってかれるから
こうなっちゃったわけ」
「お母さんの悲しそうな顔見たくなくて・・・」
言い終わる前に両方のホッペタをテルスフィアさんにつねられる
「イタイイタイ」あれ死んでるから痛くないはずなのに
「この世界はあたしが作ったからね何でも思い通りさ
このバカ息子あんたが死んで、私やフランがどれほど悲しんだか」
テルスフィアさんが真顔で僕を見る
「だって、僕本当の子じゃないし・・」
それを聞いてテレスフィアさんは悲しい顔で手を頬から離してくれた
「そっか知らなくて当たり前だけど、貴方は間違いなくフランの子よ」
「え?」
「私の子でも間違いないけどね」
「いや、意味分かんないです」
「そう?でもさおかしいと思わない?」
「おかしい?」
「だってそうでしょ、いくら指示があったとしても魔法をあんなに簡単に操って
しかも、王女様の馬車助けた時はオークキングに跳び蹴り食らわせて一刀両断してるじゃない」
「普通の12歳に出来ると思う?」
「それは・・・」
お母さんはご飯を食べてと僕に言ってお茶を一口飲んだ
「今から300年ほど前メリファスト国と言う魔法王国があったの私はそこの魔法大臣を務めていた
夫と息子と3人で暮らしていたの・・一人息子の名前はミト5歳・・」
「ゴホッゴホッ・・・」
「大丈夫?はいお茶」
「魔法王国は魔力を集めて魔力炉を形成、国のエネルギーに変換していたんだけど
いきなり火山が噴火しちゃってね火山弾が魔力炉に当たってもう大変」
そこまで言ってお母さんはお茶をまた一口飲む
「それでどうしたの?」
「魔法王国は2000年続いた平和な国でまさかの自体に何も対処が出来なくて
あっという間にすべてが無に帰って行った、今はオークの国が同じ所にあるわ」
確か、火山地帯にオークの国があるって言ってた
私は、自分の魔法力と知識のすべてをスフィアの中に込めて、あなたの体内に
忍ばせ、ミトを未来に転生させることにしたの
転生自体はうまくいってね300年後フランの子として転生した
「でも、僕は・・」
「もう少しだけ、話に付き合って・・ね」
「貴方の中にあるスフィアであなたがあたしの子供ということもすぐに分かったわ」
「ミトはフランの昔を知ってる?」
僕は首を横に振る
「あの子の魔法の資質もすごくてね15歳で初代魔法師団師団長に抜擢されたのよ」
「それは、聞いたことがあります」
「でも、優れた能力は反感も買いやすい、フランは味方に裏切られ孤立していった
そんなフランを命を懸けて救ったのがマリシェル王妃・・・
フランは王妃に恩を感じながらも自分は魔法を使う資格がないと魔力に封印をして王国を去ったの」
それからフランは王都から少し離れた森の中に家を造りすむことにした
しばらくして、あなたのお父さんと出会い数年後貴方が生まれた」
そこまで話すとテレスフィアさんは立ち上がり窓の近くに行く
窓の外はいつの間にか雨が降っていた
「涙雨かな」
そう呟いてまた話し始める
「バラン帝国は知ってる?」
僕が頷くと
「バランは魔物と手を組んでいるといううわさがある国でね
フランがいる王国と何度も小競り合いはあったんだけどあの日、本格的に攻め込んできた
王妃と第二王女が毒に倒れたのもそのときよ
バランの侵攻は速く魔の手はフランにまで延び、夫は殺され・・・
3歳になったばかりの貴方も殺されそうになった時
フランの魔力が大暴走をしたフランから放出された途轍もない
魔力は巨大な衝撃波となり森を削り帝国、王国双方に甚大な被害を与へ、とりわけ
帝国は国の半分を壊滅させられた」
「国の半分・・・?」
テルスフィアさんは頷くと
「でも、気が付くと腕に抱えていたあなたはどこにもいなかった小さなスフィアを残して」
フランの魔力エネルギーを浴びて私のスフィアが反応し転生陣が構成された
多分、あまりのエネルギーに危険を感じて転生さてしまったのね、しかも違う世界に
それが、分かったのは少したってから
スフィアの中に元気に暮らすあなたが映っていたから
フランは喜んでねーそりゃ自分が死なせたと思ってるわけだから
元気でいてくれるだけでよかったの、このまま違う世界で戦いのない世界で
幸せに暮らしてほしいと・・・・・・」
テレスフィアさんは僕を半眼でじっと見て
「あっちの世界で結構、大変な目にあわされてたわね、あなた?」
「あははははは・・・・」
僕が笑ってごかすとさらにジト目で見てくる
「まーいいわ、それを見たいたフランの怒りが限界に達し
魔力を暴走さえたんだけど、今度はスフィアがその魔力を吸って
膨らみ中からあなたが出てきたそれが運命のあの日の出来事・・・わかった」
「はぁー」
僕の気のない返事にも気にした様子もなくお茶を飲んでいる
ふっと頭の中に何かが浮かぶ
「あれ、なんか髪の飾りの花をむしって怒られた?」
「あそれ、あたしだ式典に行くとき抱っこしてたらやられたの・・もう大変で」
「たくさんの火の雨が降ってる」
「火山が噴火した時だね」
「真っ暗な森の中をにげて・・る?」
「それは、フランとの時にあったことだね」
「あれ、なんで・・・あれ?」
僕が顔を上げるとテルスフィアさんと目が合う
優しい笑顔・・・どこかで・・・・あ・・・
「おかあさん・・?」
「ン?なあに?」
「お母さん」「お母さん」
僕はいつの間にかお母さんに抱きついていた
「お帰りミト」
その言葉に僕の涙腺はほうかいした
時間がゆっくり流れるどれぐらいたっただろうお母さんが
「名残惜しいけど、そろそろ、戻ったほうが良いよ」
「戻る?」
「そ、ミトが持っていた、あの世への片道切符はキャンセルしといたから」
お母さんは笑いながらとんでもないことを言った
「それに早く戻らないと荼毘にふされちゃうよ」
「戻れるの?って荼毘って?」
「あんたの残った身体燃やして骨にするの」
「も、も、もどります 戻ります」
「そう、戻ったらフランによろしくね
それと、もうここに来るような事しちゃだめだよ」
「お母さんにはもう会えないの?」
お母さんはくすっと笑って
「私はあなたのスフィアの中で眠っているからなんかあったら呼べばいいよ」
「はい、じゃお母さんが待ってるから」
そう言ってからミトは考え込む
「なんかお母さんとお母さんってわかりにくいね」
「そお?」
ミトはポンと手をたたき
「あ、おばあちゃんだ」
「なっっ」
余りの息子の発言にテルスフィアは絶句する
「ア、違うか」
「そうそう、おばあちゃんは無いで・・」
「もう一人いるから、ひいおばあちゃんだ」
「ブチ」、テルスフィアの中で何かが切れた
「ミーーーーーートーーーーーー」
「アハハ、戻りまーーす」
ミトは白い光の中に消えていった
「元気でね」
テルスフィアは笑顔でそれを見送った
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