王国会議1
少し間が開いてしまいましたが
もう少しお付き合いください
白い大理石の天井
目が覚めて最初に見えたもの、でも知らない天井
「此処は・・・何処?」
「あら、目が覚めたのね?」
いきなり声を掛けられて声のする方を向く
そこにいたのは
「おかあさん?」
「ン?・・私が分かるのなら大丈夫そうね?」
お母さんは笑顔で頭をなでてくれる
「ゴメンなさい、お母さん」
そう言って起き上がろうとする僕をお母さんが押さえる
「もう少し、寝てなさいこれで2回目でしょ魔力欠乏症おこすの?」
「魔力欠乏症?」
「そっ、結構やばいのよ、自重しなさい」
真顔で言われて頷くことしか出来なかった
ミトはあたりを見渡し
「それっで此処は何処?」
お母さんに聞くとお母さんは 「チッ」と舌打ちして
「王城よ」
「王城?王様の?お城になんで?」
僕がびっくりして聞くとお母さんは
「私は家に連れて帰ると行ったんだけど・・あのわがまま娘が・・」
そのとき、静かに入り口のとびらがノックされる
お母さんの目がギラッと光る
「なに、何か用?」
お母さんの言葉の圧力に負けず扉が静かに開き王女様が顔を出す
「あ、王女様」
僕が少し起き上がって挨拶をしようとすると慌てた王女様が
「そのままで、無理しないでください」
「良かった気がついたのですね」
王女様はホッと胸をなで下ろし近づこうとしてお母さんと
目が合いにらみ合う
視線が重なって火花散ってるの初めて見た
「おかあさん?・・・」
お母さんは視線を外して、そっぽを向く
王女様はお母さんと反対の僕の横まで来た
「気分はいかがですか?」
王女様は椅子に座りながらそう言う
「だいぶ良いです、もう大丈夫ですよ」
「よかった」
「ご心配おかけいたしました」
王女様はお母さんをチラッと見た後、少し辛そうな顔をした
「ミトさんよろしければ、王国会議に出席して頂けませんか?」
「王国会議?」
「国内外に緊急を要する事態が起こった場合に
お馬鹿さん達が集まってお話し合いをすることよ」
お母さんがとんでもないことを言う
王女様がお母さんをにらむけどお母さんは何処吹く風とそっぽ向いている
「まったく否定できないこともあるけど」
王女様は小さく呟いた後
「先日、ミトさんが大王樹の地下から救い出した3人の女性ですが」
「はい、」
「三人の内、姫と呼ばれていたのはスレング皇国、エレノワ皇女
あと二人は伯爵令嬢リステ嬢と同じく子爵令嬢ミルラ嬢の三人と分かりました」
「スレング皇国?」
「バラン帝国の下に位置する小さな国ね
ここからだと、幻想の森の奥から抜けていくのだけど途中危ないところがいくつもあって
安全に行くならバランを抜けるのが普通ね」
王女様はお母さんに頷いてみせる
「その、皇女様?が何故あそこに?」
「そのことについて、我が国には情報が入っていなかったのですが
先日皇国がオークの侵略を受け圧倒的な力の差に陥落した事が判明しました」
「陥落?陥落って?」
「簡単に言うとオークの攻撃を受けて国がオークに占領されたと言うことね
信じられないけど」
お母さんが説明してくれ王女様は頷き話を続ける
「しかも、隣国バランは門を固く閉じ無視を決め込んだそうです
スレング皇国の皇帝は主立った部下と一族で地下に逃げたと
エレノ皇女とリステ嬢ミルラ嬢が王命を受け
数人の護衛と共に我が国に助力を求めようとしたようです」
しかし幻想の森で盗賊に襲われ兵士の犠牲でなんとか逃げたものの奴隷商につかまり
護送される途中オークに襲われ奴隷商は殺されあの地下に連れて行かれたと・・・」
王女様は一気に説明すると一息ついた
「奴隷商?」
王女様は僕の呟きに
「先に誤解の無いようにお話ししますが我が王国には奴隷制度はありません」
「それで会議というのは?、助けに行く準備のための会議ですか?」
僕が聞くと王女様は少し悲しそうな顔で
「いえ、助けるかどうかの・・・会議になります」
「えっ?」
「とりあえず、会議は夕方からですまだだいぶ時間がありますから
食事でもして少しゆっくりしてください
会議の準備が出来ましたらお迎えに上がります、フラン様も出席してくださいね」
お母さんは少し驚いたように
「私が出たら会議がむちゃくちゃになるわよ」
王女様は、ニコッと笑って
「期待しています」
と言って部屋を出て行った
「助けに行くかどうか?の話し合いか?」
お母さんは僕の顔を少し悲しそうな顔で見ていた
次号、フランさん大暴走