講師のガラじゃないのに
みんなが姿勢を正し席に着く
僕の話を聞くために
こんなことが起きるなんて、前の自分だったら信じられないだろうな
前に立たされて吊るしあげられたことはあったけど
まさか簡易授業をすることになるとは思わなかった
「ミト、早く始めて時間終わっちゃうわよ」
ファリアの声に反応したのはアリアルナ
「特別に教えてくださるんです、静かになさい」
「良いでしょ友達なんだから・・・って、あんたいつの間にミトの席に座ってんのよ」
アリアルナさんは後席ではなく前列の僕の席に座っている
「貴重な抗議が聞けるんだから、できるだけ前にと思って・・・」
「前って・・」
ファリアが何か言おうとしたのを「お前らうるさい」と言うマルナの一言で
静かになる
「えーと、じゃーマルナ、火が一番説明しやすそうだからちょっと手伝ってね」
「おおっ」
「では、質問 火ってどうやってつける?」
僕の質問にマルナはキョトンとして
「どうってこ、うやって・・だろ?」
マルナは人差し指を上に向けて立て指先に火をともす
「でも、それって魔法が使える人は良いけど普通の人は?」
その質問に今度はココさんがポケットから小さい筒状の物を出して
「これを使うと思います」
「ああ、魔道具ね、普通の生活魔法ならこれですんじゃうもんね」
ファリアがココが持っているものを借りて火を点ける
「ネッこんな感じ」
僕の世界で言うライターみたいだな
「そっかー、便利になりすぎるとこうなるんだね」
「えーとね、火も燃える順番があります、例えばそれを知っているか知らないかが
魔法に大きく関わります」
「順番?」
僕は頷きながら
「そうです、小さい炎から中ぐらいの炎そして大きい炎としていく訳です
でも、ただ大きくしようと思っても出来ないでしょ」
そうですわね、魔法は記憶領域に伴って大きさがきまりますので」
アリアルナさんの言葉に
「風の魔法でもやりましたが僕はイメージを切り替えるのに
ちょっとした、切っ掛けを与えています」
「切っ掛け?」
「はい、今度はイメージと切っ掛けを言葉で説明しながら魔法を使ってみます」
僕に注目が集まる中
右手を前に出しパチンっと指を鳴らすと火花が中に舞う
「この火はものすごく小さいですよね
これを、手のひらに落とすと」
火花が手のひらに落ちると小さく燃え上がる
「これは、手のひらに油溜りがあるイメージをしています」
「で、この火をガストーチに点けると大きくなって、さらにガスの勢いを上げると」
ゴーという音と共に炎が天井付近まで届く
僕は手を握って火を消すとみんなを見た
「やばっ」
みんな茫然自失 口を開けてぽかんとしてる
僕は手をパッンと叩いて正気にもどす
「どうですか参考になりましたか?」
「あ、あ、あ、あた、あた・・・」
落ち着いてファリア
「あたしもイメージの仕方を教えてもらって・・理解できれば、同じようなことが出来るの?」
魔力によって大小はあると思うから確約は出来ないけど多分大丈夫だと思うよ」
「お、おれも・・今の炎の魔法出来るようになりたい」
「私にも教えてくださいお願いします」
「ちょっと待ってくださいまし、質問をしたのは私です一番に教わるのは私ではなくて?」
みんな喧々囂々ギャーギャー言い争っている
これは困ったな
そんなことを思っていると午前の授業の終わりを告げる鐘が鳴る
「ねーみんなお昼ご飯にしない・・・聞いてくれない」
ミトを除く四人のやりとりは続く
『これ、収集がつかないよ』
僕は頭なの中に語りかける
『いいさ、みんなが仲間になってくれるなら、この先心強いよ』
『ところで、ガストーチって何?」
『ン?ああ、内緒』
「ミト、お昼に行きましょー」
午後はみんなでイメージを造る練習にあてるとして 先生方はどうしたんだろう