初戦闘
現れたモンスターはウサギが3匹…現実のウサギよりは若干だが大きく、中型犬並みの大きさをしている。
いくら兎でも中型犬並みの大きさだと気持ち悪いな…。
「こいつは【チャージ・ラビット】!!一定の距離まで近づくか、ある程度ダメージを与えるとひたすらツッコんでくるやつだ!そんなに強いモンスターではないけど、頭の角には気を付けて!」
モンスターの知識を持っているアレンが叫ぶ。
この声に反応して、俺たちは各々の武器を構えてチャージ・ラビットにむける。
「とりあえずある程度の立ち位置とスキルの確認をしながら戦闘してみましょうか」
「そうだな、支持は後方にいるほうが出しやすいだろうし、基本的には姉貴、頼むよ」
「まー打倒なところだね、分かったよ…アキは1匹攻撃して釣ったら、残り2匹をナツがとめて!アレンはナツのほうの敵に集中攻撃、ユキはアキとナツの体力を見つつ回復魔法を!」
姉貴の指示が俺たちにとぶ。
「ねぇ、ハルは?ハルは~?」
「姫はパパを守る魔法をかけてあげてくれ」
「はーいっ!!【汝に敵を打ち砕く力を!エンチャント・パワーブースト】!」
姉貴の支持を聞き元気に返事をする姫、そして各自指示に従って動く俺たち…。
俺は【チャージ・ラビット】に走り寄り、肉薄しつつ、さっそくスキルを使用しナイフを投擲する。
「【スローイングナイフ】」
「ピィー――――――!?」
補正がかかっているためか、投げたナイフは切っ先がまっすぐに飛び、狙ったチャージ・ラビットへと見事突き刺さった。
ナイフが突き刺さったチャージ・ラビットはさすがに倒れることにはならずにこっちに敵意を見せ、そのまま突っ込んできた。
姉貴の指示通り、一匹釣りだすことに成功…そのまま突進してくるウサギをかわしつつ背中あたりに刺さったナイフを引き抜く。
チャージ・ラビットっていうだけあって動きは直線的で読みやすくかわすのは簡単だ…引き抜いたナイフを使い、突っ込んできたところを躱して、切る…その繰り返しであっけなくウサギは倒れ消えていった…。
「…案外あっけないな、もう少し苦戦するかと思ったが…兄貴たちのほうももう終わるな」
兄貴たちのほうを見ると、兄貴がウサギの突進を受け…攻撃後の硬直を狙ってアレンが長剣を横凪に、姉貴がもう一匹にスキルを使い射抜いているところだった。攻撃を受けた2匹はポリゴンになり消えていった。
すべて倒し終わったことを確認し、アレンたちに声をかける。
「おつかれさん、たいしたことなかったな」
「いやいやいや!アキにぃ…いくら初期の低レベルモンスターだからって【チャージ・ラビット】の突進てそんなに簡単に躱せないからね!?どうやってんの?」
「たしかに…突進力もそうだがスピードもなかなか速かったぞ?」
アレンとナツから、ウサギの突進を躱して攻撃していたのをおかしいと指摘される…まぁ確かに速いは速いが、よく見ていれば反応できないことはないし、なにより直線的だから難しくないんだが…。
「…普通に躱してるだけなんだけど」
「はは…アキにぃは現実での運動神経も異常ですからね…それがゲームにも反映しているんじゃないですか?たぶんですけど、あ、…ナツにぃ、HP回復しますね、【癒しの光よ!汝の傷を癒せ!ヒール】」
「パパ!ハル、役に立ったー!?」
「ユキ、ありがとう。ハルもありがとう!すごく助かったよ!」
「やったーー!!いぇい!!」
ユキがアキの異常な回避行動の訳を説明しつつ、ナツに回復魔法をかける。
パパの役に立ったのが嬉しかったのかはしゃぎまわる姫…。
そうか…このゲーム、現実の能力が反映されるのか…運動神経は悪いほうではないのでいろいろとゲーム内でも助かるだろう。
「問題なく戦闘はいけそーだね、それじゃこのまま森を目指していこうか!!」
「了解!ねーちゃん!」
「ゲーム内でねーちゃんて言うな!」
ゴチンッ!!
「痛ぇ!? りょ、了解です!!サクラ!」
姉貴にげんこつをもらいながら元気よく返事をするアレンであった。
アレン「アキにぃも姉貴って言ってるじゃん!」
アキ「…言ってない言ってない」
アレン「絶対言ってた!!ねーちゃーん!アキにぃが…」
サクラ「ねーちゃんて呼ぶなぁぁぁーー!!!」 ゴチンッ!!!
アレン「いっっったぁぁぁぁーーーー!!!」