キャラメイク
テテテンテテテンテンテンテテテテン♪--
日が傾きかけてきた時間に秋樹の電話が鳴る…
このタイミングは…やっぱり蓮か。
電話をかけてきた相手は弟の蓮だ。
内容はもちろんゲームのことだろう。
「もしもし?」
「秋にぃ!今日の夕方6時からゲーム開始ね!!」
「いきなりだな…了解、それまでにアパートに帰って準備するよ」
「俺と雪乃は学校休みだから準備はもう大丈夫!んじゃまたあとで!!」
電話を切り時間を見る…午後4時30分、今日は定時であがるか…
約束の6時に間に合うように仕事をある程度のところでまとめ、午後5時に会社を出て自宅へと向かう。
いつもなら適当に買い物をしたり、食事をして帰ったりするが、今日は寄り道せずに直帰だ。
下手に寄り道してログインする時間に遅れたら、蓮やみんなになんて言われるか…。
「…ゲームか、みんなでやるのは久しぶりだな」
――――――
ガチャン…
「ただいま」
就職してから住んでいるアパートに帰ってきてつぶやく、ひとり暮らしなのでもちろん返事はない。
午後5時40分、あと20分で約束の時間…夕飯を食う時間くらいはあるか。
「さてと、とりあえず飯食って準備するか…」
そう言って秋樹は家にあるもので食事を簡単に済ませた。
あとは時間通りにログインすれば問題ないな…。
午後6時…時計を確認していた秋樹は時間通りにVRゲーム機を装着してログインする
「やるか…Dive」
Dive…その合図を呟くとともに秋樹の意識が吸い込まれるように遠のいていった。
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「ようこそいらっしゃいました。ここはFrontier World Online…」
ゲーム内にログインする…秋樹が気が付くとそこは白い部屋の中だった。目の前に女性が…おそらくNPCがこのゲームの世界観を説明しだした…いろいろ難しいことも言っているが要約すると、職業、レベルがあり、この二つに応じてスキルを得られるみたいだな…最初は全員【Novice・初心者】らしいがレベルが30になると自分の好きな職業を選べるようになっているようだ。
まぁ最初は初心者としていろいろやってみて、そのあと好きな職業に就けってことなんだろう。
「なにかご質問はございますか?」
「いや、無い」
「では、これからキャラクターメイキングをしていただきます。こちらのボードに現実での体型を反映させますので参考にしつつ、ゲーム内でのお名前、性別、体格、外見をお決めください。なお体格を大きく変更されますと慣れるまでに違和感がございます。その後、最初に使用される武器をお選びください。」
世界観の説明が終わりキャラメイクになった。
名前…アキでいいか(決して考えるのが面倒臭い訳ではない)
性別…これは迷わず男
体格…いじってもしょうがないのでこのままで
外見…髪型とか色か、とりあえず少し髪を伸ばして色を軽い青にでもしておくか。
うーん…あんまり見た目変わってないな…でもめんどくさいからこれでいいか。
決定…と。
キャラメイクが決まり、次は武器選びだ。
・両手剣
【物理攻撃力が高く一撃のダメージが大きい・扱うにはそれなりの体格や筋力が必要。】
・長剣
【モーションが早く、一撃離脱を得意とする武器・扱うにはそれなりの筋力が必要。】
・片手剣+盾
【扱いやすく、盾での防御ができるので守りに向く・初心者向け装備。】
・斧
【攻撃力が高いがリーチは短い、投げて使うこともできる・経験者向け装備。】
・弓
【遠距離から敵を攻撃することができる、技術力に非常に影響される・狙った場所に当てるにはそれなりの経験とセンスが必要。】
・ナイフ
【リーチ、攻撃力ともに低いが手数が多い、投げて使うこともできる。】
・杖
【魔法を使うことができる 物理攻撃力は低い。】
・ナックルダスター
【リーチは一番短いが手数が多く連撃することができる・経験者向け装備。】
思ったよりも種類が多いな…無難に長剣か片手剣と盾が一番っぽいが、蓮か兄貴が選びそうだし装備がかぶるのも面白くないな。…ナックルダスターってだぶんメリケンサックのことだよな?対人戦ならいいけど、モンスター相手とかになったら有効なのかこれ?これは除外か…すると両手剣かナイフだが…どっちにするか。
というか、選んだらそれで、行ってこい! になるのか?
日常生活でこんなの使った事あるわけないんだから、いきなり使えるとは思えないんだが…。
「質問なんだが、武器は選んだらそれだけで、はい終わりなのか?」
「選んだ武器に応じて武器を使用するための補正とスキルが得られます。なのである程度、選んだ武器をすぐに扱えるようになります。」
なるほど…ある程度はすぐに使えるようにしてあるのか…そうじゃなきゃ武器の扱いだけでかなりの時間を必要とするだろうしな。
蓮と兄貴が剣士系を選ぶだろうから俺は斥候系のナイフを選ぶか…うん、バランス的にそれがいいか。
そう思った俺は、8つある武器の中からナイフを選ぶ。
「ナイフですね。お間違いがないかご確認ください。」
「大丈夫だ」
「確認いたしました。ではゲームを開始いたします。存分にお楽しみください…ゲームスタート!」
説明をしてくれたNPCの女性の声とともに、俺は白い光に包まれていった