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練習後
所沢市の商店街にあるカラオケ屋。佑司の誘いで新入生四人とやって来た。
「改めて、西川野球部の主将、秋山だ。今年は一年の一軍が珍しく複数いるから、歓迎会を開くことにした。監督から粒揃いと聞いている。まずは6月から始まる県予選に向けて戦うことになる」
「はーい。泉は西野泉だよ。キャッチャーやってます。ちなみにスイッチだよ」
「片岡美希よ。セカンドとショートを守れます。守備と足に自信あります」
「牧和久です。牧田選手に憧れてアンダーになりました。よろしくお願いします」
「ボクは沢田歩。左のアンダーだよ。よろしくね」
「あの、秋山先輩。沢田さんの幼なじみと聞いています。野球を始めたのは沢田さんのおかげって聞いてます。ホントですか」
「なんだ。もう知っていたのか。確かに俺と歩は幼なじみだし、野球始めたのも歩のおかげだ」
「ふふーん。今年のドラフト最上位候補と幼なじみなんだぞ」
「最上位か。今年、甲子園行ければな」
「大丈夫だろ。ボクと牧くん、佑司がいて、二年には松本先輩、今井先輩と次期ドラフト候補もいるしな」
こうして、西川学園野球部は新たな選手を迎えて、夏の県予選と向かって行く。
練習後
「歩。久しぶりに野球行かないか」
「いいけど……それ見に行くわけじゃないな?」
「ああ。実は、某プロから抵触しない程度に練習見てもらってるんだ」
「マジかよ」
「見てもらわないか?」
「ボクも?」
「シンカー投げたいって言ってただろ?」
「たしかに、言ったけど。いまのプロにシンカーいたか?」
「まあ、最近はツーシームをシンカーっていう選手もいるし、シンカーをツーシームっていう選手もいるからな」
「ニールとかな」
「山崎とか」