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4月
新たに高校生として、華の女子高生としてスタートを切った少女がいた。
「打てー壮亮!打てー壮亮!打てー壮亮!打てー壮亮!らーらーららーらーららーオーオーオオオー」
華々しく、女子高生をスタートした少女は、埼玉県所沢市の野球場にいた。
「おっしゃー! 回れ回れスリーベース!」
「…………」
そんな少女をポカンと見つめる少年がいた。
「さ、沢田さん」
「あ、ゴメンね。えっと、これが受け入れられないなら、ボクと付き合うことは難しいよ?」
「えっと、毎日?」
「当たり前じゃん。なんのために所沢市の高校受けたと思うの? 飯能から来るより合理的でしょ。ビジターもあるから、毎日ってことはないけど、ボクにとって野球は命なんだよ。そしてライオンズは人生だよ」
時は入学式に遡る
「新入生代表沢田歩です。本日は私達新入生の催しを開いてくださりありがとうございます。私達は、これから三年間いろんなことを学んでいきたいと思っています。これからよろしくお願いいたします」
「あの代表かわいいよな?」
「ああ、ちっこいけど、スポーツ特待生なだけあるよな」
「なんのスポーツ特待生なんだ?」
「さあ? あの体格だし、卓球とかテニスかな」
身長143センチ
女子高生としては小さい部類になる。もちろん胸もBあるかないか。小さいだけに胸はBでも目立つ。
1年A組
「今日から一年共にする仲間だ。みんなよろしくな」
「先生」
「なんだ沢田」
「帰っていいですか」
「はぁ?」
「失礼。行ってきますか」
「沢田、何を言ってるんだ?」
「何を? おいおい、所沢市民が今日なんの日か知らんのか。それでも教員か。今日はライオンズの本拠地開幕戦なんだ! まったく、こんな日に入学式しやがって……。とにかく、ボクは行きますね。クラスの役員決めは何でも良いですよ。どうせ学級委員か風紀だろうけどね。また明日」
廊下に出ると、そこには男子学生がいた。
「沢田さん。一目惚れしました! 付き合ってください」
「……は?」
「一年B組、牧和久です」
「ふーん。悪いけど、日を改めてくれ」
「野球だよね。西武ドーム行くんだろ? そこで見極めてくれないか」
ここで冒頭に至る