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SPIRIT~スピリット~  作者: SHOW
第二章 ヴァンパイアシスターズ
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第二章 第三十三話 決着! ベイカー戦

ウキーウキー(ねぇねぇ)ウキ(俺様を捕まえられなく)ウキキ(てどんな気持ち)? ウキキ(どんな気持ち)?」


ベイカーがこの状況で挑発しているのがわかる。


でも今は彼に反応する余裕はない。



ウキィーウキィーウキィー

ウキキィー

  ウキィ

  ウキィー

  ウキィーウキィー



俺たちの周りには数多くの影たち。


以前ならばこの状況に混乱し、何もできなかった。


でも今は違う。彼女を助けなければならない。


瞬くと右手につるぎを持っている。


亮夜が叫ぶ。


「いくぞぉぉぉ!」


「あぁ!」


「えぇ!」


「はい!」


「おう!」


最初に仕掛けたのはベルだった。


「撃てぇぇぇ!!」


彼女の号令と共に銃声が轟く。



ダダダダダーーン!



銃弾は見事に影たちを撃ち抜く。


しかし、数が多い。


「人間を舐めないで!!」


神代がそう叫び地面に刺している槍を握ると、花壇から蔓が勢いよく生えてきた。


蔓は影たちに突っ込んでいく。


それに反応できなかったのか、影たちは霧散する。


「ウキッ!? ()ウキキー(お前らもやれー)!」


影たちも黙っていない。


屋根にいる影たちが飛び降りてくる。


「もう遅いよ」


岩城がそう言うと、チャクラムが飛び降りてくる影たちを斬っていく。


すごい、ここまで予測していたのか。


ん? 後ろからピリピリ感じる。


俺は振り返りそのまま斬る。


残っていたのは霧散する煙だけであった。


「おらぁぁぁぁぁぁ!」


亮夜の声?


声の方を見ると、亮夜が蔓の上を走って、ベイカーに向かっている。


帯がベイカーを捕まえようとする。


「捕まえ……あれ?」


しかし、ベイカーはそれを避け、亮夜の股下を通り抜ける。


ウキキー(捕まるかよ)ウーキ(ばぁぁぁか)!」


ベイカーがこっちに向かってくる。


「宏! 捕まえてくれ!」


「えっ!?」


俺はベイカーを覆いかぶさるように、全身を使って捕まえようとした。


しかし、あっさり避けられ抜かれる。


どこに行くんだ?


目でベイカーを追うと、彼は飛び上がり、花壇から出た蔓に器用に登る。


「ベイカーがあっちに逃げたよ!」


「待ちなさい!!」



ダダダダダーーン!!



ウキキィー

  ウキィ

  ウキィー

  ウキィーウキィー



銃声と猿の咆哮がどよめく。


そんな中でベイカーは逃げる。それを追う神代。


ウキキッ(へへっ)ウキキ(俺様を捕まえること)ウキーキ(なんて)……」



つるーーん



「ウキッ!?」


蔓の上で急に滑り、そのまま落下した。


影たちが消えていく。


「終わったのか?」


でもなぜだ?


俺たちは花壇の方に行き、ベイカーに近づく。


そこには完全に伸びている猿の姿があった。


「縛っておくわ」


そう言い神代は細い蔓を出し、手足を縛る。


「でもどうしてベイカーはあそこで落ちたのでしょうか?」


「知るかよ。それよりもこれが鍵か」


そう言い亮夜はベイカーの首に掛かっている鍵を取ろうと、近づいた瞬間「うっ、なんだよこれ! くっせ!」と鼻を抑える。


「なんだこれ!? 酸っぱい臭いがするぞ」


「酸っぱい臭い?」


酸っぱい臭い……その言葉に思い当たるものがある。



『岩城くんの口から岩城くんが……』



あれだ。


「それ岩城くんのものじゃないかな」


「え゛っ!? 岩城のものってことは……」


「あぁ、吐いたやつだね!」


「うぇ、岩城、あんたが取れ」


「え〜、なんでだよ〜」


「あんたの中に入ってたものだろ? だったらあんたが取れ」


「はぁ、仕方ないなぁ」


そう言い岩城はベイカーから鍵を取る。


「ほら、鍵取ったよ」


「それじゃ、行きましょ」


神代がそう言い、屋敷に向かおうとする。


亮夜、岩城が彼女と一緒に向かっていく。


俺も行こうとした瞬間、「あの!」と後ろから声が聞こえた。


振り返るとベルが俺たちの顔を見ている。


そして、下を向きこう言った。


「ベイカーを見張ってていいですか? なにが起こるかわからないので……」


来ないのか。


俺はベル以外のみんなの顔を見る。


みんな小さく頷いている。


「わかった。ベイカーを見張ってて」


「うん、これからは僕たちに任せてよ!」


「あぁ、だからあんたはその猿を見といてくれ」


「よろしく」


彼女は頭を上げ「はい!」と返事する。


後ろから「皆さん、頑張ってください!」と声援を受けながら、俺たちはそのまま屋敷の玄関まで行くのだった。

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