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プロローグ
「うぁっ…熱い…熱いよぉ…」
「イオリ様‼︎どうされました⁉︎イオリ様‼︎」
侍従であるセオが、突然腰を抑えて蹲った僕に慌てて駆け寄る。
熱さのあまり声が出せない僕を抱き上げ、額の汗を拭ったセオは、腰を抑え続ける僕の手を暫く見つめ、決心したかの様に「イオリ様、失礼致します」と声をかけ、シャツをめくり、ズボンを少しだけそっと下ろした。
そこにあったのは…
「あぁっ…イオリ様っ…おめでとうございますっ…桜の歌巫女様がお産まれですっ‼︎おめでとうございますっ‼︎」
『桜の歌巫女…桜…僕の、桜…』
そう心の中で呟きながら、僕の意識はそこで途切れた…。