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メディカルセレモニー

作者: 椎名めい

そして、ついにその朝がやって来た。私たちは「もう今日で最後になる」硬い三つ編みをして、いつも実習で被っていた三角巾をつけた。それから正装となるワンピースの白衣に、エプロンをつけた。


そして、私は総代としての誓いの言葉の紙を持った。硬い紙に書かれたそれは、もう暗記してしまったものだ。それから、印鑑を持つ。



「学生、入場」の合図とともにみんなで足並みを揃えて入場する。


「着席!」ここまでは入学式と一緒である。呼名も着々と進み、「以上、東亜大学医療技術専門学校 50名、全員初期実習への参加を許可する!」と言われ、着席した。いよいよだ。



大島さん、いるよね。


いないはずの彼女に語りかけた。


巴原さん、見ててください。


巴原さんはいつも通り透き通った肌のままだった。



よし!


壇上で誓いの言葉を読み、捺印した。


そして、深呼吸した。


ゆっくりと話し始めた。



本日、私たちは医療従事者としての歩みを新たにしました。これまでの学校生活では辛いこともありましたし、くじけそうなこともありました。でも、いつも仲間がいたから耐えられました。


これからの実習でも、辛いことや苦しいことがたくさんあるでしょう。ですが、その一方で、くじけずにたゆみなく歩けば、絶対にゴールがあります。


私の知人は「白衣は何色にもなる」と言いました。白衣は純潔の白です。私たちは何年後かには別の色の白衣をみんなまとっているでしょう。ですが、どの人の白衣も綺麗であってほしいと思います。


これで私たちの誓いの言葉といたします。



堂々と言い切った。巴原さんは今まで一度もそうしたことがなかったのに、目を潤ませていた。教員は唖然としていた。盛大な拍手が沸き起こり、私は壇上を降りた。


「三角巾返納、及び校章・微章・灯火の授与」


ハルヒからだ。三角巾を取り、たたみ、盆に載せる。その動作にはたゆみない。微章を胸につけてもらい、襟元に校章をつけてもらい、ヒポクラテスの像から灯火を受ける。


一人一人が灯火を受け終わり、全員が並んだ。そして、校歌を歌い、その後だった。


指揮者の人が頷いた。


「いくよ」と口で合図した。


「The sun'll come out tomorrow,bet your bottom dollars that tomorrow……」


教員の唖然具合はますます高まった。止めようにも止められない。


私たちが昨日徹夜で練習した曲。


私がハルヒに誓いの言葉でやろうとしていることを打ち明けてから、みんなが協力してくれた。



こうして、メディカルセレモニーは終わった。


「学生、退場」

みんな最高のセレモニーになった、という充実感があった。


自分たちでセレモニーを作ったという充実感。


そして、教室へ戻り、記念撮影をして、私たちは寮に戻った。


私にはさらなるサプライズがあったのだった。

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