〔3〕さらば我らの学び舎よ
私服の高校に通う友達が袴の写真を送りつけてきた。うらやましくなんかないもんねー!
三年間過ごした星影高校ともお別れか。うーん、やっぱり寂しいな。この青いチェックのスカートを穿いていられるのも今日が最後なのね。
「卒業旅行?」
「俺と晃一と、美幸と東雲ちゃんで?」
「そう。受験終わった後に美幸と話したんだけど、道内だけどさ、四人でどこか行こうよ。離れ離れになっちゃう前にさ」
日和ちゃんの提案を聞いて、こーちゃんとハルくんは顔を見合わせた。そして、日和ちゃんの方を向く。
「合格発表出てからならいいけど」
「晃一は絶対合格ってるって。二人も小論文うまくいったんでしょ? なら大丈夫だって。よし、じゃあ四人でどこかぱあっと行こうぜ!」
後期試験は受けない、滑り止めには多分行かない、という前提で話しているわたし達のことを見る視線が若干痛い。ひどい、わたしとハルくんよりもっともっと頭よくて今のわたし達と同じようなこと話してるグループ他にもあるじゃん。何でこっち見るの。わたしとハルくんがいるから?
「へへへ、晃一はどこ行きたい?」
「俺? 俺は別に……」
「こーちゃん、道内には色んな場所があるんだよ。楽しいことしようよ」
「晃一は本当にガリ勉だよな」
「こーちゃんのガリ勉!」
「今それ関係ないだろ。それに俺はガリ勉じゃない」
「あはは、また三人でトリオ漫才してるのー? 仲良しだねー」
日和ちゃん、わたし達三人は腐れ縁幼馴染なんだけど漫才してるつもりはないの。
教室のドアが開き、時田先生が入ってきた。
「おまえ達も今日で卒業だ。三年間、長いようで短かっただろう」
いよいよ卒業式が始まる。
北海道の卒業式は雪に覆われて真っ白だけど、それでも、とってもあったかいんだ。みんなが進む道はそれぞれ違うけれど、いつかまた、この学校で過ごした三年間を同じように思い出す日があるんだろうな。




