セーブ2 ~失敗は成功の元~
まずは現状を把握しよう。
俺はマルスの転移魔法で日本からこのハーブリアに転移した。そして、国王とお姫様と話しステータスが弱かった為に殺された。
ハッキリ言ってとんでもないことされたが、怒りよりも疑問の方が優っている。
何故生き返ったのか?
どうやら特殊スキル『セーブ&ロード』の効果らしい。死んでから発動したということはロードは死なないと発動しないスキルなのだろうか?
これは一度試さないといけないな。だが。
「というか魔法ってどうやって発動するんだ?」
魔法の使い方が分からない。
マルスは特に詠唱したりしていなかったが詠唱ではないとしたらどうすればいいのだろう?
魔法の使い方が分からず悩んでいるとあの3人がまた部屋に入ってきた。
「おお!成功した!!成功しましたぞ!」
「流石はマルスじゃ。良くやってくれた」
やはり完全に戻っている様だ。なら、さっきのステータスの件で少し多めに言えば残してくれるだろう。さてどのくらい盛ればいいだろうか…
「言葉が通じんのか?それは困ったな…」
「あっ、すみません。大丈夫です」
質問に答えながら、ステータスの盛り具合を考える。とりあえず3倍くらい言えばいいだろう。流石に一般的兵の3倍優秀な人材は逃さないだろう。
実際と離れすぎてもスグにバレてしまいそうだしな。
「それでは能力窓よ開けと言ってください」
もうその件か…
「能力窓よ開け」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ケント・アマノ(人族) male
HP:108/108
MP:53/54
攻 :14
守 :15
速 :15
知 :8
運 :56
【スキル】
身体能力上昇(小)4/10 MP自動回復(小)4/10
経験値取得率上昇(8)42/80 スキル取得率上昇(8)52/80
【特殊スキル】
セーブ&ロード
【魔法】
セーブ-/-
ロード-/-
【称号】
異世界人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ステータスが出ました」
「どうですか?素晴らしいステータスでしょう?」
お姫様はやはり期待の眼差しで見てくる。残念ながら俺のステータスは一般兵レベルなんだよな。
「この世界の一般的なステータスってどのくらいなんですか?」
「そうですね。一般的な兵士ならHPMPは50〜100ほどでそのほかは10前後ですね。スキルは3つほどあれば良いくらいでしょうか」
「えっと、それの大体2〜3倍ほどですかね」
「え?」
「なんじゃと?」
あれ??このパターンはもしかして?
「はぁ、お主はどうやら異世界人としては落ちこぼれの様じゃな。使えん。マルス、後始末は任せた。行くぞフィリア」
ヤバい!3倍じゃ全然足りなかった!
このままではまた穴空いて燃やされる!!
「すまんのぉ。お主に恨みはないのじゃがこちらも必死なのじゃよ」
「……僕は殺されるんですよね?」
「ほぉよくわかっておるの。だからステータスも嘘をついて多めに言ったんじゃな?」
「!どうしてそれを!」
「ワシのスキルには『鑑定』というものがあっての。他人のステータスを覗き見できるのじゃ。もっとも能力値だけじゃがな」
なんということだ。主人公の必須スキル『鑑定』はどうやら敵側が持っている様だ。
こうなったら出来るだけ情報を集めてやり直すしかない…
「その『鑑定』スキルは珍しいスキルなんですか? 」
「『鑑定』スキル自体はさほど珍しくはない。じゃが相手のステータスを見れるほどの『鑑定』は恐らくワシくらいじゃろう」
「できれば痛みとか少なく死にたいのですが…」
「ほほう。死に対しての恐怖が薄いな。お主の世界はそんなに過酷じゃったのかの?」
「いえ、死ぬほど平和でしたよ」
「うーむ。その精神力ならステータスが低くなければ完璧な戦士になれたろうに…」
「なら殺さないでくださいよ」
「そうはいかん…国王の命は絶対じゃ。せめて楽に死なせてやるわい」
マルスの手から紅い光がゆっくりと出てきた。
恐らくマルスの魔法だろう。やはり詠唱はしていない。
そんな事を考えている間に紅い光が俺の中に入ってきた。命が消えていくのをなんとなく感じた。だが痛みは…ない。これなら…別に……死ん…で…もいい………な。
死亡した為『セーブ&ロード』発動セーブデータを探しています。ーーーセーブデータが見つかりません。データが見つからない為 初期データをロードします。ーーーロード完了。ーーーーーロードの効果により全スキルレベル上昇。
「っ!やっぱ何度でも使えるみたいだな」
またスキルレベルが上がっていた。思いついたのだが、情報を集めつつこれを繰り返せばスキルレベルカンストまでいけるんじゃね?
頼めば楽に死ねるしこれはチャンスだ。ここでスキル上げをしよう。
「おお!成功した!!成功しましたぞ!」
マルスよ貴様は俺の肥やしとなるのだ。せいぜい大事に育ててくれよ。
ありがとうございました。