7、成長、そして学園へ!(ギルド編2)
イマリは朝が弱い。
夢から覚め、微睡みに身を任せていると隣に水枕のような触り心地のいいものがあった。
なんだこれ、柔らかくて気持ちいい...。
しばらくその柔らかさを楽しんでいるとなまめかしい声が...。
あぅぅ...。ま、ますたぁ...。
...!?
目を開けると隣にはヘルが寝ていたのだ。
そして、イマリの手はヘルの胸を鷲掴みにしていたのだった。
イマリは慌てて飛び起きた。
なんで!?
昨日、刀の状態に戻ってから寝たはずだよね!?
「ヘル!なんで僕のベッドで寝てるんだ!?」
「その方が魔力を補給できるからです。」
「だからって裸になる必要は無いよな?」
....................................。
「効率を良くするためですよ?」
「なんだその間は!そしてなぜ疑問形なんだ!」
「マスターはえっちです...。」
「ぼ、僕が悪いのか!?」
昨日の薬草採取の後、ギルドに報告をしてから宿に戻った。
宿に戻ったはいいが宿代が2倍になった...。
僕は朝ごはんを食べながらヘルの話を聞くことにした。
ヘルの話によると、ヘルという存在は武器精霊と言うらしい。魔力の強い魔法武器や長年使い込まれた魔法武器に稀に宿ることがあるそうだ。
武器精霊は基本食事を必要としない。契約者が寝ている間に契約者から魔力を補給して顕現するらしい。
「じゃあ、魔力の強い武器を作れば精霊が宿るのか?」
「それはyesでありnoです、マスター。」
「ん?なんで?」
「精霊だって宿る武器を選ぶ、ということです。」
「あぁー。なるほど!」
「理解して頂けましたか。」
「ん、理解した。んで、精霊は食事を必要としないはずだよな?」
「はい、そうです。」
「じゃあ、なんで僕の朝ごはんを奪っていくんだ?」
「精霊の中には人の食事を好む精霊もいるのですよ。(もぐもぐ)」
「あぁ...。僕のサンドイッチが...。」
朝ごはんを食べ終え(半分ほどヘルに奪われた...)ギルドに行く前に服屋に向かった。
「ヘル、好きな服選んでいいぞ。」
「いいのですか?」
「お、おう」
ヘルは上機嫌で服を選び始めた。
なんか、嬉しそうだな。
「マスター、この服がいいです。」
ヘルが持ってきた服は黒いキャミソール2着、膝丈くらいの黒のワンピース、白いショーツだった。
「へ、ヘル!?下着は見せなくていいから!」
「マスターは喜ばないのですか?」
「そんなことはないけど…...、じゃなくて!」
イマリはヘルをカウンターまで移動させ、会計をすませた。
「マスター、早速着ても宜しいでしょうか。」
「いいけど、ここで着替えるなよ?」
............。
「...そんなことすると思ってたんですか?」
「いや、お前ならやりかねない。」
「やっぱりマスターはえっちです。」
「なんでそうなるんだよ!」
更衣室へ行き、黒いワンピースを来たヘルは......正直すごく可愛かったです。はい。
ヘルを連れてギルドに向かった。
ギルドに入る前にヘルには刀に戻って貰った。
なぜかって?すごく目立つから。
ギルドに入り、クエストボードを見ていたらレベッカさんに呼ばれた。
「どうしたんですか?」
「あなたにご指名の依頼ですよ。」
「え?そんなことあるんですか?」
「はい、高ランクの冒険者よりも低ランクの冒険者の方が安いですしね。」
「なるほど。」
「奥の部屋で依頼主の方がお待ちしております。」
その部屋まで案内してもらった。
部屋に入ると小太りの男性がソファに座っていた。
「どうも、私は商人のヘンリー・レイマールです。」
「はじめまして、Fランク冒険者イマリ・グリンフィールドと言います。」
「今回の依頼なのですが隣町のイブリルまで護衛をお願いしたいのです。」
「イブリルまでですか。」
「えぇ、最近は荷馬車が襲われる事件が多いのですよ。」
「そうなんですね。」
「報酬金はイブリルに着いたら払います。」
「わかりました。私はいつでも出立できますよ。
」
「それはありがたい、では行きますか!」
地図を見ると王都からイブリルの間に森がある。ここは要注意だな。
イブリルまでは歩いて2時間ほどだ。
途中までは何事もなく順調に進んでいた。
森沿いに差し掛かった時であった。
グォアアァァァァァァーーー!
森の中から3mほどのドラゴンが出てきたのだ!
前足がなく翼になっている。ドラゴンの下位種族のワイバーンだ!
「レイマールさん!逃げてください!」
「ま、待つんだ!君も逃げなければ...」
「そんなこと言っている場合ではありません!僕が囮になります!早く逃げてください!」
「わ、わかった!すぐに助けを呼んでくるから待っててくれ!」
ヤバいヤバいヤバい!ドラゴンじゃん!
めっちゃカッコイイィィィ!!!
でもこれ、勝てるのか?
ワイバーンは首をもたげ火のブレスを吐いてきた!
その時、腰に佩いていたヘルが顕現したのだ!
「マスター、油断しすぎです。」
ヘルは右の掌を前に突き出した。
するとそこに防壁があるかのように火のブレスを防いているのである!
「マスター、反撃の時間です。」
ヘルは左の掌を差し出してきた。
「あぁ、わかってるよ!」
イマリはその手のひらを握った。
すると、ヘルの姿は光のつぶとなり刀となった。
「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
刀を振りかぶりワイバーンを袈裟斬りにする。
ぎぁ...お...ぉ.........。ドズンッ...!
ワイバーンは一太刀で息絶えたのであった。
ギルド編はもう少し続きます