18、学園編(鍛治工房へ)
あれから1ヶ月が過ぎ、噂もだいぶ落ち着いてきた。
あー、なんであんなに騒ぐかな...。
授業も終わり人もまばらになってきた。
「さて、帰るか。」
そう言って立ち上がろうとした時だった。
「あの、イマリさんですよね?」
後ろから声をかけられた。聞き覚えのない声だ。
「そうだけど、君は?」
「あ、はい。私は1-Cクラスのケリー・ハリスです。」
「よろしく。それで、何か用?」
「イマリさんの刀を見せて欲しいんです。」
「いいけど、なんで?」
「私、鍛治職人を目指しているのですが思ったような剣が作れなくて...。その刀を参考にさせて頂きたくて。」
「あれ?鍛治の授業って2年からの選択じゃなかった?」
「教務課に申請すれば誰にでも貸し出してくれますよ。」
「そうなんだ。まぁ、いいよ。」
「やったー!それじゃ工房まで来てください!」
イマリは袖を引っ張られながら工房へ向かうのだった。
ここが鍛治工房か...。
第2アリーナの裏に小さな小屋が6つほど並んでいる。その小屋一つ一つに煙突がついていて、二つの小屋から煙が出ていた。
「私が借りている工房は一番奥です。」
「授業ってここでするのか?」
「いえ、授業の方はここではやらないそうです。」
「そうなのか。」
工房の扉を開けると独特な匂いが漂ってきた。鉄の匂いと炭の匂いが入り交じった匂いだ。
それと、ケリーの匂いが...。
僕は何を考えているんだ!?落ち着け...変なことは考えるな!
《マスターはえっちです。》
!?
頭の中にこえがちょくせつひびいてくるんだけど!?
《マスター、私です。》
この声...ヘルか?
《はい、マスター。》
こんなことが出来たんだな。
《そうですね、前にやっていたのを思い出したので。》
そうなのか。
《マスター。変な気を起こさないでくださいね?》
わかってるよ!
「イマリさん?何をしているのですか?」
「な、なんでもないよ。」
そう言いながら工房へ足を踏み入れた。