【短編小説】地獄のホワイトデー!ラスト!
LAST WHITE DAY
第壱回リア充爆発させ隊本部基地。
第三飛行場格納庫。
1000人近い集団が集まり、その最前列には強そうな体格の十人が集まっていた。
ハサギ「よく来た、我がリア充爆発させ隊精鋭諸君。
出発の時は来た、一人一人自己紹介したまえ」
「ハッ!」
全員が敬礼した後、一人ずつ前に出る。
ボクド・ラエモン「ウ~フ~フ~フ!
ボクド・ラエモン!大好きなミイちゃんにフラれた事二千回!
二千一回目で遂にストーカー扱いされたんだ!
今日はリア充を全員爆破させちゃうよぉ!」
ヒデブ「ヒャ~ハッハッハァ~!
俺の名はヒデブ!世界を征服する男だぁ!(死亡フラグ)
今まで俺の必殺技を喰らって死ななかった奴はいなぁい!(死亡フラグ)
皆ー!帰ったら温泉旅行行こうぜー!(死亡フラグ)」
アベシ「アベシだ!
俺の年齢イコール彼女居ない歴だ!
女の子と手を繋いだ事はおろか、目を合わせる事さえ出来ねえ!
今日はリア充を残らず爆破させ、我が苦しみを味あわせてやるのだ!
ヒャッハー!汚物は消毒だー!」
次々と強力な奴等が自己紹介していく。
アイ達はそれを特別席から暇そうに眺めていた。
アイ「おーおー、ハサギの奴張り切ってるなぁ。
こりゃ、俺達の出番ないかな」
ルトー「というか、なんか途中から女性への恨みごとになってる気がしないでも無いけど……」
メル「な、何か凄い人ばかりいるなぁ、黒山羊どう思う…?
黒山羊?」
黒山羊「め、メエェ。
あ、主、言う通り……メェ」
メル「?」
ノリ「…………」
ノリは特別席の一番端の席からじっとハサギを見つめていた。
ノリ(先月のバレンタイン。
ボクはチョコを渡せなかった。
それは、ボクがハサギさんとの絆を壊したく無かったから。
でも今、ハサギさんにチョコを渡さないと皆全滅しちゃう…。
どうすれば……いや、決まってるッス!)
ノリは静かにすくっと立ち上がる。
ノリ(大切な人から逃げるのは、ボクが一番したくない事ッス!
正体を明かすくらい、屁でも無いッスよ!)
アイ「あれ、ノリどうした?」
ノリ「ちょっと……ハサギさんと話をしてくるッス」
ノリはそう言い残し、走り出す。
一人一人の自己紹介を真面目に聞いているハサギは全く気付く素振りを見せない。
ノリは勢い良く叫ぶ。
ノリ「ハサギさ」黒山羊「メエエエエエエエ!!!」
しかし、ノリの覚悟を決めた叫びは黒山羊の叫びがかき消した。
全員が黒山羊に目を向ける。
黒山羊「我、白山羊、敵対、無理!
我、徹底抗戦、宣言!」
メル「く、黒山羊!?」
黒山羊「メエエエエエ!!」
黒山羊は叫びながら、自分が座っていたパイプ椅子を持ち上げ軍団に向けてぶん投げる。
そして椅子が何故か爆発しドカアアン、という音と共に部下達が数名吹き飛んだ。
部下達「うわあああ!
黒山羊様がご乱心じゃー!」
部下達「反乱じゃー!革命じゃー!」
部下達「ゲバラー!」
ハサギ「黒山羊!
あいつめ、裏切ったな!行け十人の仲間達!裏切り者を破壊せよ!」
ガイア「へへっ、俺達の出番だぜ!裏切り者を始末してやろうぜ!」
マッシュ「おう!」
オルテガ「へへへ、とんで火に入る夏の虫ってかぁ?」
ガイア「行くぞマッシュ、オルテガ!
ジェットストリームアタックを仕掛ける!」
マッシュ「おう!」
オルテガ「吹き飛ばしてやるぜ!」
三人の大男が黒山羊に向かって走り出していく。
黒山羊は三人を睨み付け、反撃の体勢を構える。
しかし突然メルが乱入し、ガイアの背に乗り跳躍した。
ガイア「俺を踏み台にしたぁ?」
メル「黒山羊は傷付けさせない!
能力発動『膨張』!」
メルは腕を巨大化させ、マッシュを殴り飛ばした。マッシュはきりもみ回転しながら吹き飛んでいく。
メル「喰らえええ!」
マッシュ「おううう!」
アイ(あいつ、最後まで『おう』しか言わなかったなぁ)
オルテガ「だが俺を忘れちゃ困るぜ!」
オルテガが報復しようとバズーカを構えメルを狙おうとする。
……しかしバズーカは黒山羊が吹き飛ばしてしまった。
黒山羊「メエエエエエ!」
オルテガ「何いいい!?」
更に黒山羊はガイアを吹き飛ばし、メルと一緒に構える。
黒山羊「主、すまない」
メル「大丈夫だよ、黒山羊。
さあこい!僕達が相手だ!」
メルと黒山羊は1000人の軍団に向かい、走り出していく。
アイはぽりぽりと頭をかいた。
アイ「あーあ、俺が今の役やりたかったなあ。
ま、いいや。ルトー」
ルトー「?」
アイ「今の内に俺達も裏切るぞ。
鼻がすっかり伸びたハサギの鼻をへし折ってやるんだ」
ルトー「え、でもそしたら……」
アイ「リア充爆破は、また次にやろうぜ」
アイはニヤリと笑いながらアイスボムを取り出す。
それを見たルトーも笑みを浮かべた。
ルトー「面白そうだ、行こうリーダー!」
アイ「ああ!」
アイも黒山羊達に参加し、次々と軍団を倒していく。
ハサギはそれを目を丸くしながら眺めるしかできなかった。
ハサギ「な、何故だ何故皆俺達を裏切るんだ!」
ノリ「ハサギさん…」
ノリは思わず声をかける。
ハサギはギロッとノリを見つめた。
ハサギ「ノリ!まさかお前は裏切らないよな?
お前は…俺の味方だよな?」
ノリ「ハサギさん……」
ハサギ「お前はいつも俺の味方だ…味方だったよな?」
ノリ「……そうッス。
ボクはハサギさんの味方ッス」
ハサギ「ならば」
ノリ「だから、ハサギさん!」
ハサギの弱々しい主張を、ノリは黒山羊がそうしたように叫んで制止させる。
ノリは自分の顔が凄く赤くなっている事に気付いていたが、止める気は無かった。
ノリ「……ハサギさんに、渡したいものがあるッス」
ハサギ「な、なんだ?
顔を赤らめて……何を渡すってんだ?」
ノリ「これを……」
ノリは懐からチョコを出そうとする。
だがハサギがそれを見るより先に、アイが投げたアイスボムがハサギに命中し、ハサギは緊張した顔のまま凍りついた。
ノリ「……え?」
アイ「いょしっ!
大将討ち取ったりっ!」
ルトー「僕達の勝利だ!
ハハハ、参ったか!」←何もしてない。
メル「皆ー、大将は討ち取ったぞ!早く降参するんだ!」
部下達「は、はは~っ!!」
部下達は全員頭を下げて、降参のポーズを取る。
あっというまに戦いは終わり、あっというまにハサギの野望は消え、あっというまに皆何処かへ行ってしまった。
残されたのは、ノリとハサギの二人だけ。
ノリ「…………えっ…えっ?
皆……いなくなっちゃった。
あれ?手紙?」
拝啓、ノリへ。
わりーけどそいつの氷を溶かすの手伝って欲しい!
その解凍ボムなら直ぐに溶けるぞ!
―アイよりー
ノリ「……自分でやればいいのに」
ノリはそう言いながら解凍ボムをハサギに向けて投げつける。
氷はあっと言う間に溶け出し、ハサギは元に戻る。
ハサギ「……あ、あれ?
皆何処に?」
ノリ「……ハサギさん、全て終わりましたよ。
もう、野望は果たせなくなりました」
ハサギ「……そうか。
皆帰っちまったか。
ノリ、すまないな。お前にはいつも迷惑をかけている」
先程とはうって変わって優しい口調でノリに話しかける。
ノリは顔を少しだけ赤くした。しかし先程より熱く感じる。
それでもノリは懐に出す予定の無くなってしまったチョコの重みを感じながら、ハサギに精一杯の笑みを見せた。
ノリ「……いいえ、ハサギさん。
ボクは貴方と一緒にいたいから一緒にいるのです。
また貴方が暴走した時、今度はボクも一緒に付き合わせて下さい。
ボクがいれば、絶対ハサギさんの力になれるッス」
ハサギ「ああ、その時は宜しく頼むぞ、ノリ!」
そしてノリはハサギと一緒に基地を出ていく。
こうして、『角が有る者達』のホワイトデーは終わった。
ホワイトデーは地獄の日、古事記にもそう書かれている。




