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角が有る者達 番外編または短編集  作者: C・トベルト
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【番外編】シティと果心の『踊る』ハロウィーン

シティと果心の『怖ーい』ハロウィーン




注意事項


トベルト「今回は長いよ、パトラッシュ」

パトラッシュ「ワン!」


注意…終了。



司会「さあさあ皆さん、これからこのコスプレパーティーの華、コスプレコンテストを始めたいと思います!

 自分の洋服には自信がある皆さん!

是非参加して下さ~~い!!」



舞台の上で派手な服を着た司会者が、コスプレコンテストに集まるよう呼び掛けている。

ダンクとガーナはお互いに顔を合わせる。


ガーナ「洋服には自信がある人?」

ダンク「コスプレコンテスト?

 おいおい、凄いコンテストもあるもんだな。人前にこんな姿晒すなんて」ガーナ「参加しましょうよ」

ダンク「参加しないに決まって…ええ?」


ダンクは再びガーナの顔を見合わせる。

ガーナはニッコリと笑って、


ガーナ「ダンクさんは参加した方がいいですよ。

 そんなに素晴らしいミイラのコスプレをしてるんですもの。きっと優勝できますわ。」

ダンク「い、いやいや…これは」

ガーナ「そんな謙遜なさらなくても。そのミイラの衣装を作るのに大分苦労したんでしょう?

 今こそその苦労が報われる時ですわ。」


ニコリと笑ったガーナの笑みは、ダンクにとってとてつもなく眩しくて、直視出来なかった。


ダンク(ヤベエ ホンモノデス イエナイ)

「は、はははは…そうだなあ、一丁やってみるかあ、あは、あははは、あはははははははは!」


ダンクは壊れたように笑いながら、受付へと向かっていく。それを遠くにあるテーブルの向こうで見ていたシティは溜め息をついた。


シティ「はぁ、ダンクの奴、どこまでお調子者なのよ…。そろそろ私が出て一発電柱をかましてやろうかしら?」

果心「あら、それじゃあシティもコンテストに出場するのかしら?」

シティ「か、果心!?

 ビックリしたわ…。」

果心「出場するのかしら?シティ」

シティ「ん?そうね、ダンクを一発殴るにはあの会場にいかなきゃいけないわけだから…。

 出場するわね。」

果心「その言葉…」

シティ「?」


そこで初めてシティは違和感に気付く。

果心の眼が、今まで見た事ない程キラキラと輝いている事に。

シティの頬を、何故か冷や汗が垂れていく。

嫌な予感がする。

それも恐ろしく当たりたくない嫌な予感が。


果心「その言葉を待っていましたーーーー!!」

シティ「ええ!?」

果心「シティ、私はコスプレが好きだ。

 シティ、私はコスプレが好きだ。

 シティ、私はコスプレが大好きだ。

水着が好きだ。白衣が好きだ。体操服が好きだ。婦警が好きだ。スーツが好きだ。お姫様が好きだ。男装が好きだ。騎士が好きだ。戦士が好きだ。魔法使いが好きだ。天使が好きだ。悪魔が好きだ。囚人服が好きだ。死に神が好きだ。迷彩服が好きだ。和服が好きだ。ドレスが好きだ。軍服が好きだ。ゴスロリが好きだ。ギャルが好きだ。ボンテージが好きだ。」

シティ「あ、あの果心…?」

果心「コミケで、ネットで、カラオケで、パーティー会場で、忘年会で、洋服屋さんで、街中で、学校で、異世界で、施設で、戦地で、

 私はこの世のありとあらゆるコスプレが大好きだ。」

シティ「え、え~と…」

果心「様々な洋服を着こなす自分が好きだ。

 あの服はこうすれば似合う。この服はこうすれば似合うと考えるのが大好きだ。

 そして似合う服を着こなし、人前に出た時に見た人が「おーー!」と感嘆を漏らした時はもうたまらない!!」

シティ「お、お~い…」

果心「格好いいキャラクターの服装に感動し、それの作り方を調べ衣装を自力で作り、それが完全に完成した時など心が踊る!!」

シティ「……(ああ、なんかヤバい、

 なんかこう…叫びたくなる。)」

果心「シティ、私はコスプレを…更なるコスプレを望んでいる。

 シティは、何を望む?

 コスプレか?三千世界のコスプレファンを唸らせるような、素晴らしいコスプレを望むか?」

シティ「……コスプレ、コスプレ、コスプレ、コスプレ、コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!」←言ってる内にテンション上がって来た。


果心「宜しい、ならばコスプレだ!!

 私達は今、力を込めて振り下ろさんとする握り拳だ!

 だが、今の私達には只のコスプレではもはや足りない…。」

シティ「え、そうなの?」

果心「大コスプレを!!

 一心不乱の大コスプレを!!」

シティ「あ、えっと……コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!コスプレ!」

シティ「そして今、我々はコンテストの受付を済まし、会場へと昇る…。」


果心はババッとポーズを取り、ニンマリと笑う。


果心「我が友、シティに告げる!

 果心林檎からのお願いである!」

シティ(…ゴクリ)

果心「シティ、優勝するわよ。」

シティ「……………

 まあやるからには勝ちましょうか。」


こうしてシティは、コンテストに参加した。

果心はプロデュース役、という事で参加しないらしい。


果心「私とあなた、たった二人。

 しかし私はあなた一万人分の魅力を持っていると確信している。

 ならば私とあなたで、一万人と一人の大部隊に」

シティ「いや、もういいわよ…」


妙に熱がこもった演説を背に、シティは控え室に入る。


果心「私はコスプレコンテスト用に更なる洋服を用意してくるから、それまでこの宇宙人服で待っててね」

シティ「なるべく早くお願いね…」

果心「任せて!

 さあ何着せようかなあ今から楽しみだなあウフフフフフフ」

シティ(不安だ…)


去りゆく果心を見送り、シティは改めて控え室の中に目を向ける。

控え室の中はとても広く、コスプレを着た人達が数十人会場に呼ばれるのを待ちわびていた。


シティ(うわ、この中からダンクを探すのは難しいわね…。

 一人一人探さないと。)


シティはそっと柱の影に隠れて様子を窺おうとする。

するとシティの後ろ頭に何か固い物が押し付けられた。


?「動くな。犯罪者。」

シティ「!

 その声は………白岩ケシゴ!」


白岩ケシゴ…多分ほとんどの人が忘れているので解説。本編の第一章にペンシと共に登場。

『動物使い』の天才であり、様々な動物を引き連れて行動している。

 また、『恐怖の魔眼』を持ち、その目を見たものを必ず恐慌状態に陥れる恐ろしい力を持つ。

 そのため普段は夜であろうとサングラスは外す事はない。

 シティの初黒星を手に入れた男であり、性格はハードボイルドそのもの。


そのケシゴが今、シティの後ろにいる。


ケシゴ「全く…犯罪者が一般人に混じって仮装大会に出場とは、世間から逃げ隠れしているお前に相応しい舞台だな、シティ」

シティ「私も、こんなふざけた大会にあなたのような腹黒堅物が紛れ込んでいるとは思わなかったわ。あなたもコスプレが趣味なのね。」

ケシゴ「………。

 本当は今この場で手錠をかけたいんだが、かける事は出来ない。

 今仲間に連絡するから、動くんじゃないぞ」

シティ「…っ!

 抜かったわ………なんてね!」


シティはすぐさま自分の能力、『2メートル以上ある単純な形の単純な素材の物質を操る能力』を発動させ、自分のすぐ後ろに金ダライを落とす。


ケシゴ「ぐ!」


ガン!という音が聞こえて頭を抑えた銃が離れる。すぐにシティは振り返り、ケシゴを睨みつけようと構えようとして…動きを止める。

何故なら白岩ケシゴは、パンダの着ぐるみを着ていたからだ。しっかサングラスは装着している。


シティ「………………………………ぷぷっ、

 あはははははははは!

何そのカッコ!?馬鹿じゃないの、あははははははははははははは!」

ケシゴ(パンダ)「何だ、何がおかしい?

宿敵との対決を、まさかパンダの服装如きで止める気は無いな」

シティ「アーーッハハハハハハハハ!!

 パンダが!パンダが!パンダが!ハードボイルドなセリフを語っても何の意味も無いわよ!

 はら、腹が痛い!

アーーッハハハハハハハハ!!!」


シリアスな空気も決闘の空気も吹き飛ばして、笑い転げるシティ。

 そういう自分も宇宙人服を着ているため、奇天烈な光景だ。

そして気まずいケシゴ(パンダ)。


パンダ「ち、ひとまず勝負は預けた…っ!

 ああ畜生!これならペンシに誘われた時、断れば良かった…。

 あと、俺の名前はパンダじゃないケシゴだ!」


パンダさんはプンスカ怒りながら何処かへ行った。しばらくシティは笑い転げていたが、ケシゴの姿が消えた瞬間パッと立ち上がる。


シティ「あ~~、やられた!

 あいつ警察やめて動物園で働けば良いのに、

パンダて、くく、パンダはないでしょ、くくく

アーーッハハハハハハハハ!!!」


再び、大爆笑。

どうやらかなりツボに入ったようだ。

すると、シティの近くを何かが横切る。

シティはハッとして柱の影に隠れた。


3メートルはある巨体に、頭は黒い山羊の顔。

更に胸には赤い機械が取り付けられており、背中には蝙蝠のような羽が付いている。

メルヘン・メロディ・ゴートの守護するために造られた2体のアンドロイドの一体、黒山羊だ。


黒山羊「何故、我、大会出場?

 仮装、白山羊、得意…。」

?「それはあなたの方が化け物じみているからですよ、黒山羊。

 そのインパクトある姿なら優勝間違い無し。

きっと主も喜びますよ。」

黒山羊「白山羊、本当?」

白山羊「ええ、本当ですよ。だからあなたはしっかり笑われ…もとい頑張って下さい。」


そう黒山羊を励ましているのは白山羊だ。

彼女もまた、メルヘン・メロディ・ゴートの世話をするために造られたアンドロイドで、こちらは人間の女性の姿をしている。

その顔はどことなく、果心林檎に似ているが彼女は無表情である事と髪が真っ白なために人間らしさを感じない。


黒山羊「主、喜ぶ…。

 了解、我、沢山、頑張る!」

白山羊「その域です。

 なんせこの大会に出場すれば百万円の賞金がでるのですからね。

 頑張っていきなさい。」

黒山羊「メー!我、精一杯、頑張る!!」

白山羊「そして笑われていきなさい(ボソッ)」

黒山羊「メ?

 白山羊、今、台詞、聞き取れ」白山羊「さあさあいきますよ。時間はあまり有りませんからね」


白山羊は黒山羊を押して何処かへ行ってしまった。


誰も居なくなったのを確認してシティは柱の影からひょっこり顔を出す。


シティ「……。

 百万円?何それ聞いてないわよ?

ともかく、何か顔見知りのメンツが揃ってきたわね、ヤバい気がプンプンするわ。

 早くダンクを見つけなくちゃ…」

果心「シティ~~~~~~!!!

 あなたに似合う服、見つけて来たわよ~!」

シティ「あ、果心。

 もう見つけてきたの?」

果心「ええ、このためにサキュバスやらインキュバスやら、様々な悪魔を呼び出して皆で考えたわ!その結果最高の服装が出来上がった…。

 悪魔達の太鼓判だから、これで絶対に優勝間違い無しよ!!」

シティ「そ、そう…。」

(まずい、果心は私と違う目的で動き始めてる…。ここは一発、バシッと言わないと後々大変な事になるわ!)

「か、果心あのね、私の目的はダンクを電柱で殴る事であって」

果心「楽しみだわ~~!!

 私の服を着て華麗に動くシティ。

男も女も皆釘付けになって、ダンクもきっとあなたを見違えるようになる。」

シティ「…え?」


シティはこの時、「え?」と言った。

言った以上、シティは話しを聞かなければならないのだ。


果心「コンテストは優勝、あなたは男達に群がられ、逃げられない。

 その時、ダンクが駆けつけてこう言うの。

『俺の仲間に何をする、離れて貰おうか』

そして二人は会場を抜け出して、秘密の場所へ駆け抜けていく…。

 なんてロマンチックなのかしら。」

シティ「…そ、それで!?

 二人はその後、どうなるのかしら!?」

果心「ダンクが『もう大丈夫だ、誰も追ってこない。』シティは『だ、ダンク…ありがとう…』

そこをダンクが果心の両肩を掴み、『俺が間違っていた、俺には君しかいないんだ…』『だ、ダンク…』そして二人は甘い口付けを…」

シティ「す、すすす、ストップストップすとーーーっぷ!!

 私、ダンクとはそんな関係じゃないわよ!」

果心「あら、違うの?」

シティ「あ、当たり前でしょ!?

あんな根暗ミイラを好きになるわけ…!」


シティは次のセリフを告げなくなる。

何故なら果心がシティの唇にそっと人差し指を当てたからだ。


果心「ふふ、騒いじゃって…。

 そんなに騒ぐとミイラさんの耳に入っちゃうわよ?どうせ姿を見せるつもりなら、もっと輝く場所で会った方が、楽しみがいがあるわよ。」

シティ「……ふ、ふん!

 果心、ただコスプレが好きなだけだと思ったら、色々考えているのね!」

果心「あら、私は本物の魔女だもの。

 豪華な舞踏会に出場させるのに、魔法の衣装を着せて赤絨毯の上を歩かせてあげたいのよ。

 そして夢の一時を過ごさせる…それこそ魔女の誇りよ。」


果心林檎という魔女はシティに向けて楽しそうに微笑んだ。

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