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スサノヲ  作者: 荒人
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兵士砦 一

兵士砦 一


 新たな組が編成され、組頭(くみがしら)も決まったところで、これから何をするかが決められた。

三つの組が、それぞれ三つの兵士砦へ向かった。

残る十二組は、一人一人が松明を手にし、大砦周辺の探索を始めた。

その時、フツシ達が逃げ去ってから四時間余が経っていた。


 この約一時間前、フツシ達がグルカ砦を伺っていた。

物見(やぐら)には、所在なさそうに二人の兵士が立っていた。

その下の番小屋の外で、二人の兵士が立ち話をしている。

砦の真ん中にある広場の脇に、高床式の食料庫がある。

入り口の階段で、二人の兵士が居眠りをしている。

隣には、半地下の穀物庫が二つ並んでいる。

双方の入り口にも、壁にもたれかかって居眠りする兵士が見える。


「フツシ、何人見える?」

 ムカリが囁いた。

「八人だ、番小屋の中は二人だな。この砦もいつもの配置だ。ダキル砦と同じ形で行ける」

この二時間前、首尾よく待ち伏せを終えたフツシ達は、ダキル砦を襲っていた。

やぐら櫓の二人と倉庫番の四人、そして兵士小屋の外の一人は、心の臓を一矢で射抜いた。

 兵士小屋の外の残る一人は肩を射抜き、声を上げさせた。

それを聞いて飛び出してきた二人の心の臓を射抜き、肩を射たれた兵士にも止めを刺した。

 遺体を隠して門を開き、やぐら櫓に仲間を登らせ、残りの者は広場の周りの物陰に隠れた。

全員が配置についてから、一番声の太いアスキが、居住小屋を走り回って緊急を知らせた。

各自の小屋で寝ていた十人の兵士は、広場の手前で様子を伺った。

物見と番小屋の兵士達が、門の外を見ているようである。

それを見て、十人は門に向かって走り出した。

そこへ矢を射ち込んだ。

一番手が外しても、二番手が射止めた。


 ダキル砦では、アスキ以外は誰も声を発しなかった。

しかしグルカ砦では、兵士を倒したあと大騒ぎしながら食料庫を襲い、ゆっくりと谷の方へ引き上げた。



 兵士砦へ向かった大砦の三つの組は、砦への中間地点に転がる兵士を見つけた。

数えると三十人、その全てが心の臓を貫かれている。

組頭(くみがしら)、誰も砦には帰り着いてないぞ。砦の連中も殺られてるのかな・・・どうする?」

 一人の兵士が怯えた声で尋ねた。

「三十人全部がこんな殺られ方をしているなんて・・・どんな武器を使ってるのだ?」

 別の兵士の声も怯えていた。

「そうだな、どんな武器だ?・・何人で襲ったのだ?・・この人数で砦に向かっても、何も出来んな・・・砦には、夜が明けてから出直そう」

 組頭(くみがしら)は、大砦に向かって歩き出した。


「なに、砦に帰ろうとした者達全員が、心の臓を貫かれているのか」

 各砦に向かった組頭達の報告は、全く同じだった。

フツシ達の足取りを探した組頭達も、成果を伝えることが出来なかった。

「奴らは何人だ?一対一で戦ったとしても九十人だぞ・・・砦も全部殺られてるかもしれんな」

ミシロが、答えを求めるように組頭一人一人の顔を覗き込んだ。

「この暗い中で右往左往してもしょうがない。明日考えようではないか」

 このワクリの言葉に全員が納得し、組の者が待つ場所に散らばった。


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