〜いざ大迷宮へ!〜
目が醒める
2週間前に来たときの不安はすでに無い。ここの天井も見慣れたものだ。
さて、今日はダンジョンに行く。といっても攻略済みのところまでだと言っていたからたいした危険も無いのだろう、・・・だが、トラップでどこかに飛ばされる可能性も十分にあるだろう。疲れ切って帰るときにモンスターが襲ってきてもアウトだろう。 つまり、油断は禁物ということだ。
回復チートの香月がいるが即死攻撃などがあったら治癒が間に合わない。
それだけはさけてみせる
ということで今日も頑張って生きることにしよう…………
ところで・・・・・
相変わらずテーブルにはあからさまにおかしい量の朝食がのっていた。
今度ちゃんと言っておこう………
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香月と千某の部屋に迎えに行く。千某のところにも迎えに行くのはただただあいつが後でめんどくさくなるからである。
この前の訓練のとき置いて行ったら後で
「ねぇねぇ、なぁ〜んで僕を置いて行ったのかなぁ〜? 教えてくれる〜?」
とかいって訓練中ずっと付きまとってきたのだ
まぁ最終的にはうざかったし風魔法ので吹き飛ばしておいたが。
ちなみにどのくらい飛んだかというと言葉では説明できないので頭の中で考えて欲しい、トラックと人がぶつかる交通事故を………そのくらいの威力で吹き飛ばされた千某はというと魔力転換で身体能力を上げ、完璧な受身をとって着地していた。
思わず舌打ちしてしまう。
そのくらいの面倒なことになるのでわざわざ迎えに行くのだ……
いつか後悔させてやろうーーーーーそう心に刻んだ…
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エントランスに着くと待ちきれないとばかりに興奮しきった勇者達が素振りをしたりして出発のときを今か今かと待っていた。
「ほんとに大丈夫か…これ…?」
全員が顔に笑顔を浮かべている
これではとっさに身を守れない。つまり死……
まぁ俺自身が心配することは無いし死んだら自業自得ということだ
レールが広場の一段高い場所に立つ
「よし! これからダンジョンに向かう。 くれぐれも油断しないで欲しい、油断したら一気に危険に陥る可能性がある。だから要注意だ。」
「それでは出発だ!」
「「「「「「「よっしゃ〜!」」」」」」
迷宮までは馬車に乗って行くそうだ。
しかし、そこは相乗りではなく王宮の馬車だが。
王宮の馬車はさすがで、外見はただの普通の馬車なのだが中に入ると平屋の家一軒分ぐらいの広さの空間が広がっているのだ。
聞いたところ、空間魔法で空間を広げ固定しているんだとか。
だが、そんなものが簡単に作れるはずも無く王宮に勤める魔術師、『王宮魔術師』が数年をかけて作り上げた王宮魔術師の努力の結晶なんだそうだ。
そんなものが自分達に使われているということは相当期待されているのだろう。
そう考えるだけで胃が痛くなりそうだ。
ガタゴトと揺られること約30分
「魔物だ〜‼︎」
と御者が叫んだ。
レールが
「戦闘準備‼︎」
の「戦…」まで言ったその瞬間、正確には0.2秒後、瞬きするよりも速く………魔物は動きを止めていた。
「よし」
俺は魔物を仕留め終わると小さく呟いた後から魔物が真っ二つになったり斜めにずり落ちたり細切れになった。
「は⁉︎ え!お前速すぎだろ!」
いち早く復活した千某が叫ぶ。
「実験だから当たり前だろ、俺が今どんぐらい強いのか確かめるためなんだし」
「だからってな、魔物3体を瞬殺ってどんだけだよ。しかも全部Dランクだぞ」
千某が言ったように魔物にはランクがある。
上から順にSSS,SS,S,A,B,C,D,E,F,ランク外となっている。
ランク外は子供の筋力で全力で石を投げたら倒せる魔物。
Fランクは訓練を受けていない一般人が2人もいれば倒せる魔物。
Eランクは訓練を受けた人が1人で倒せる魔物。
Dランクは訓練を受けた人が4人程でパーティーを組んで連携すればギリギリ倒せる魔物。
Cランクは一流のパーティーが倒せる魔物。
Bランクは一流のパーティーが2班程いればギリギリ倒せる魔物。
Aランクは一流のパーティーが複数班いても危険な魔物。
Sランクはその国の軍隊が出ても危険な魔物。
SSランクは複数の国が密に連携をとっても危険な魔物。
SSSランクは倒すことを諦めるレベルの魔物。
過去にSSSランクの古代龍が一度だけ出現したことがあるがその時は人族の勇者全員とエルフの勇者全員、各国の軍隊、騎士団で迎え撃ったそうだ。
それでも人族の勇者は10人中9人は確実に死亡、残り1人は戦いの時にドラゴンのブレスに巻き込まれ行方不明 エルフの勇者は後方で大規模魔法を打ち込む人が多かったため5人中3人がかろうじて生き残り、各国の軍隊や騎士団は何百万人もいたが約十万人になりほぼ壊滅、という結果を残したがなんとか倒したそうだ。SSSランクどんだけだよ!
そんななかDランクを3体瞬殺できた俺は少なくとも4人パーティーの全力を軽く超えていることになる。
この分かりやすいランク表を作った人はマジで凄いと思う。
「つまり俺が4人パーティーよりはるかに強いってことだろ」
「そうだけどさ、どうやったの?」
復活した香月が聞いてきた。
「ん?刀で抜刀術を使っただけだぞ」
「いつの間に…」
「いいな〜刀」
香月は驚愕の顔をしていたが千某は羨ましがってた。
千某は相変わらず能天気だ。
……そう、刀だ。男子が憧れる武器のランキングでは上位に食い込んでくるだろう物だ。
俺も憧れていたのだが、憧れていた分知識だけは豊富だったので王宮専属の鍛冶師に作り方を教え、作ってもらったのがこの刀だ。
造り込みの仕方は一番多い甲伏せになっている。甲伏せとはざっくり言うと色々な硬さや粘り気の金属をつくった後、硬い金属をコの字のようにしてその中に別の金属を鍛接した後素延べでざっくりとした刀の形にして、火造りで鍛造整形することをいう。
今回使われた金属は硬い金属の部分には希少な、硬さが自慢のアダマンタイトを使い、柔らかい金属の部分にはこれまた希少な、ウーツ鋼が使われている。ウーツ鋼はミスリルに続く魔力伝導質を持っているためこの刀は魔力を通すことでミスリル程ではないが鋼鉄を豆腐の様に切ることができる。また、魔力を通していなくても鉄の鎧などはスイスイ切れる。
と、ここでレールが
「と、とりあえず大迷宮はあと数分だから急いで行くぞ‼︎」
レールの声でようやく他の生徒達が動きだした。
生徒達が乗り始めたのを見て
「俺らも早く乗るか」
「う、うん」
「お、おう」
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ようやく大迷宮に到着した。 草原と森の境目ぐらいの所には冒険者と呼ばれる職業の人達がいる。冒険者とは様々な依頼を受け、報酬を受け取る。といった職業だ。
この職業は以前にSSSが出現した時に住民の殆どがしっちゃかめっちゃかに逃げ回り、そのせいで勇者がブレスを体で受け止めることとなり行方不明になったことから住民もできるだけ強くなる様にと作られた職業だ。
「よし!今から大迷宮に入ることとなる!あまり浮かれているとすぐ死ぬことになるからな!気をつけろ!でははいるぞ!」
「「「「「はい!」」」」