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魔国会議

 人物や世界観の紹介含めた内容です。中ボスみたいなのがいっぱい出てきます。

 魔王城の一室、長卓を囲んで会議が行われていた。

 ここにいるのは先程のテラスにいたメンバーが殆どだと思うが、アベルと フェイを含めて総勢十名、メイド達は外で待機しているようだ。

 ちなみに十人の内、六人はハロウィンパーティーかって言うくらい、もの凄い見た目だった。

 そんな面々に囲まれながら、混乱する頭で必死に現状を把握しようと考えている。


「現在、我々は大陸にある、王国アストラルの軍と交戦中でございます。現在の戦況は拮抗しておりますが、国力の差から考えると長期戦は不利でございます」


 ローブを身に纏った小柄な老人が話しだした。彼はデイビッドという老人で、見た目は小柄な人間……に“近い”と言う印象だ。皺だらけの顔に、大きく尖った高い鼻が特徴的な人物だった。夢に出てきそうな恐怖を覚える顔をしている。


 デイビッドは卓上に地図を広げて説明をする。

 この世界には大きな二つの大陸と、幾つかの大小の島によって構成されている。比較的大きな方の大陸に、そのアストラルという王国がある。ここファラデルは、アストラルのある大陸の北東に位置する、少し大きめの島の中心に位置していた。


「そして大陸の東側沿岸部には我々の拠点となる砦があるのですが、近々、アストラルの軍隊が攻め込むとの情報があります。この砦は大陸にある我々の数少ない重要拠点の一つでございます」


 いきなり話が始まったが、周囲の面々の怖さにビビって何も言えないでいた。


「その軍の編成は既に完了しており、アストラル屈指の武将、ローガンという王国正騎士の将軍が指揮を取るとの情報が入っております。なかなかの強敵ですが、ここを死守しなければ大陸での形成が一気に不利になるでしょう」


 深刻そうな顔でデイビットは魔王の顔を伺った。しかし、本人にはその意図が全く分からないでいた。

 期待した何らかの反応が得られなかった為、デイビッドは黙り込んでしまった。

 沈黙を破ったのは灰色の毛並みをした狼のような顔の獣人だった。


「アベル様、この砦の防衛は私にお任せ下さい」


 見た目は少し怖いが、カッコいい獣人だと思っていた。しかし、声を聞くとその獣人が女性であるという事に気付いた。顔を見ただけではさっぱり分からないものである。

 その発言に対し、机を勢いよく叩いて立ちあがった男がいた。


「トーラス! この砦は俺の部下が多く居る拠点だ! 俺の方が適任のはずだ!」

「黙れ! ウェンデル! 貴様は先の戦で失態を犯したばかりではないか!」


 トーラスとは獣人の事であり、そのトーラスに異を唱え、反論されたのはウェンデルという人物だった。

 ウェンデルの見た目は魔族という言葉がしっくりきた。人のような顔をしているが、肌は濃い紫のような色をしており、頭には二本の角が生えている。そして背中には蝙蝠のような大きな羽があった。ウェンデルと呼ばれた男の方が、ゲームなんかで出てくる魔王に近いビジュアルだと思った。

 二人は睨み合い、一触即発の空気が漂っていた。


「二人共いい加減にせんか!」


 デイビッドが二人を睨みつけ、制止した。

 トーラスは目を瞑り、深く呼吸をして冷静になる。

ウェンデルは舌打ちをし、椅子に勢いよく座りこんで腕を組み、視線を逸らした。


「失礼致しました。アベル様、この戦の状況、どう判断されますか?」


 突然、話を振られたアベルは、困惑した。現状も分かっておらず、目の前で繰り広げられた獣人と魔物のやり取りに気押されてしまっていた。

 なんとか平静を装いつつも、隠しきれない動揺を含んだ声で答える。


「あの、戦わずに済む方法とかって無いのかな?」


 アベルに注目が集まった。中には驚いた顔をしている者もいる。その中でフェイは何故かうっすらと楽しそうな笑みを浮かべていた。


「それは難しいと思いますぞ」

「デイビッドの言う通りです! 敵は排除しなければ!」


 ウェンデルが語気を強めて主張する。

その勢いに臆すアベルを庇ってフェイが助け船を出した。


「アベル様はまだ降臨されたばかり。情勢も把握できていなければ、我々の戦力すらも把握しておられない。いきなり判断を仰がれるのは酷というものです」


 フェイの言う通り、アベルは彼らがどういった人物なのかも分からなければ、この世界がどんな所なのかも分かっていない。

 しばしの沈黙が流れ、新たな声が場を仕切った。


「砦の防衛には、私とフェイが向かおう。アベル様にも同行して頂きたい。私とフェイで護衛しつつ、アベル様には大陸を直に見てこの国の現状を把握して貰う。何か意見は?」


 その場にいる全員が仮面を付けた男に注目していた。皆が注目しなければ、アベルは誰が話していたのか分からなかった。

 男は顔を仮面で隠している。仮面に刻まれた怪しい造形の目、真っ赤で裂けたような笑みを浮かべる口元が特徴的だった。

 皆が押し黙っており、先程はすぐに反論したウェンデルも不満そうな顔をしているものの、今回は何も言わなかった。

 仮面の男が大きな発言力を持っている事が伺えた。


「トーラスには大陸の調査に向かってもらう。詳細は後程伝えよう。ウェンデルは他にやる事があるだろう。他の者も普段通りの仕事を頼む。構いませんか?」


 仮面の男がアベルの方に顔を向けた。仮面の下の表情は分からない。だが、怪しく笑う表情の仮面に圧倒され、アベルはぎこちなく頷く。

 ここまで仕切られている状態だとアベルは自分の存在意義が分からなかった。


「仕方がありませんな。道士とフェイ殿が一緒ならば安心でしょうし、アベル様にもいいご経験になるはず……我々は普段の仕事をしましょう」


 道士と呼ばれた男とフェイは、それだけ信頼が厚いらしい。そう言えばフェイは宮廷魔術師だかなんだかと言っていた。実は凄く強い魔法使いか何かなのだとアベルは無理矢理に納得した。


「では、大陸へ向かう者は準備をしましょう。敵も待ってはくれないので時間が惜しい」


 トーラスが発言と同時に席を立って退室した。かなり自由な会議というか、統率が取れていないのかなとアベルは考えていた。

 続いてフェイが立ちあがりアベルの元へ歩を進める。その様子を見ながら他の何人かも席を立って退室していった。


「では、我々も行きましょう。砦までは陸路と海路で10日ほどかかります。必要なものがあれば仰ってください」


 10日もかかるのかとアベルは衝撃を受けた。長い旅になりそうだ。

 フェイに連れられて部屋を出たアベルは、後から出てきた道士と合流して歩いていた。


「アベル様は争い事がお嫌いなようだ。しかし、避けられない戦いもあります。時には戦わなければならない事もあるのです。そして、何故戦うかの理由もアベル様には知って頂かないといけませんね」


 戦っている理由をアベルは知らない。人間と魔物が戦う理由なんて、そう言えば深く考えた事は無かった。なんとなくだが、魔物が一方的に悪いような気がしていたが、仮面の男の言い方だと、何らかの理由がありそうだなと思った。


「早速ですが明日の朝には出発します。明日は港の街に一泊しますが、そこまでの道中でも色々と見る事を意識して下さい」

「わ、わかった」


 アベルは流されるままになっていたが、戦場で敵とは言え人間と会うのであれば、人間側に保護して欲しいと思いながら旅立ちの準備を行っていた。


 物語が本格的に動くのは次回からになりそう……好きに書いてると構成とか適当になっちゃいますね。

 書きたいシーンまで暫くかかりそうですが、そろそろ盛り上げどころが欲しい。

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