アテネ・レムニア
メロンの次にサツマイモが好きだと言う(その次は梅干しなんだそうだ)少し日に焼けた少女と、なぜ星を描く時に五芒星を描くのかについて話をしていた。窓からは西日が差し込み、隣の隣の建物からはコンクリを砕かんとする工事の音が時折伝わってきていた。
私のかかる問題提起に共感したらしいその少女は、「本当はこんな感じかしら」と呟きながら、手許にあったノートに何本もの線を集束させたものを書きなぐった。
そのイコンのなんと端整なものであったことか。黄金比はここにもあったようだった。
私が言葉に詰まっていると、話に飽きてしまったらしい少女は机に突っ伏し、「やっぱりつまんない」と吐き捨てた。