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後編

ららちゃん、、、



誰なんだ。



でも確かに、、、



さっき見せられたももという女の子は確実に僕の記憶にある容姿をしている。



もう一度あのトイレ行くべきなのか?



いや、、、怖い。



悩んでいるうちに夜になった。



正直、夜の道を歩くのは今は怖い。



しかし、ももという子との約束をすっぽかすわけにもいかない。



びくびくしながら歩く。



無事にたどり着いた。



しかし、油断は出来ない、、、



だって僕は昨日ここに送り届けたんだから



ピンポーンとインターホンを鳴らし、人が出てくるのを待った。



ガチャ。



人が、、、



「ひっ」



思わず声を出してしまった。



出てきた女性は、、、



ららちゃんだったから。



「久しぶりこうくん。」



震える。



「久しぶり。」



「あれ?どうしたの?ももが可愛くなりすぎてびっくりしたの?」



ももちゃんか、、、



確かにかわいい。



ららちゃんと同じ。



全く一緒だ。



「まぁ入って。」



「お、お邪魔します。」



「うん。」



「これ、母さんが。」



一応、お土産を渡した。



「ありがとう!今ね、両親の友達が来てるから、私の部屋に、、、」



「うん。」



大事な話とはなんだろう。



もしかして、全て彼女のイタズラ?



容姿が全く一緒だし、背丈もそのくらいだった。



声がちょっと違う気がするけどね。



それならいいんだけど、、、



「そこに座って」



「うん。」



今思えばそんなに怖くないかもしれない。



よく腕を見てみればなんか違う跡みたいだし。



彼女のイタズラの線が濃厚になってきた。



「ららちゃんのこと覚えてる?」



それは不意だった。



驚く暇も許されず、考える時間もなく、反射的に



「うん」



と僕は答えた。



すると写真を持ち出してきた。



「これ、唯一、三人で撮った写真。」



その写真を見て僕の記憶は蘇った。



そう、彼女たちは双子だった。



それまでずっと一緒に遊んでいたのに、急に一人としか遊ばなくなった。



いや一人ずつだった?



そこはまだ曖昧だ。



だけど、毎日同じ質問をされていたんだ。



きっと片方としか遊ばなくなっていたんだろう。という事は安易に推測できる。



でもなんで?



理由がわからない。



仲のよい双子。



そんなイメージがあった。



多分、僕が何かをしたんだ。



で、ららちゃんは昨日僕の家にきた。



あの約束のために。



きっと今はリビングにいるんだ



ご両親と共に。



あの夢は僕の罪悪感から見たんだな。



ほとんど全て繋がった。



「あのね、、、あのねこうくん」



ももちゃんの声が震えている



「どうしたの?」



僕は結構安堵している。



「らら、死んじゃった。」



「は?」



「5ヶ月前にね。病気だったの。」



「冗談言わないでよ」



「冗談じゃないわよ!」



「だって昨日、ららちゃんと会って話をしたんだ!」



「、、、な、何言ってるのよ!ららは死んだの!もう戻ってこないの!」



迫真の演技だ。



人を騙すためにこんなになれるなんて。



ももちゃんは女優になれるな。



「本当にうまいなぁ。じゃ昨日ら僕が送り届けた人は誰なんだい?」



「わからない、、、全くわからない!なんで信じてくれないのかも!冗談みたいに言うのかも!」



「え?嘘だろ、、、」



じゃ昨日のは何?



あの優しい笑顔は?



「こっちに来て」



隣の部屋に案内された。



そこには仏壇があり、ららちゃんの写真がたくさんあった。



「あと、これ。」



渡されたのは10枚程の封筒。



「これは?」



「ららちゃんからの手紙」



涙を流している彼女を横目に僕は封筒から手紙を取り出す。



稚拙な文章と字だ。



小学5年生の時書いたらしい。



その次の封筒は小学6年生



僕は次々と読む。



中学1年生、2年生、3年生、高校1年生、2年生



高校からは一年に二枚書かれていた。



そしてラストの手紙。



…こんにちはこうくん。


久しぶりですね。


この時、私たちは会えてるのかな?


君が読んでいるということは会えてないよね。


私は今、必死に生きてます。


君にまた会えることを信じて。


病気と闘っています。


約束覚えてるかな?


私は覚えているよ。


私とももは君の事が好きだったんだ。


その所為で昔、ももと喧嘩しちゃったの。


そして毎日交代でこうくんと遊ぶことにした。


んでね、ももと勝負したの。


懐かしいなぁ。


その勝負で私が勝った。


で、二人だけの約束をした。


私、ずっと君の事が好き。


小学生の頃にただ遊んでいただけなのに、ただそれだけなのにずっと君の事が頭から離れない。


だから君の家の前の公園に行ってみたりした。


君の成長した姿を見たよ。何度も。


ももにストーカーって言われちゃったけど、ももだって時々あの公園に行ってた。


やっぱり双子なんだね。


沢山言葉を書きたいけど、私がいろんな言葉を遺しても邪魔なだけ。


ただ一つだけ、一つだけお願いがあります。


あの約束、、、私が結局破ちゃったあの約束を私のかわりにももとお願いします。


幸せになってね。…



胸が締め付けられる。



何故、僕は彼女が病気で苦しんでることを、、、



死んでしまう前にもう一度会わなかったのだろう。



名前も記憶も忘れかけていたんだろう。



さっきは彼女のことを怖いと思ってしまった。



僕は全部思い出した。



僕はこの2人のことが大好きだった。



だから引っ越したことを聞いた日、悲しくて、何もかも忘れたくなった。



そうだった。



記憶を閉じ込めていたんだ。



「ららちゃんごめんなさい、、、」



涙が手紙を持つ僕の手に落ちる。



「ららは最期までこうくんのことを想ってたよ。」



その言葉を聞き、僕は走った。



呼吸が出来ているのかわからないくらい全速力で走った。



あの公園に、あの約束を交わした場所に。



「ららちゃん!ららちゃん!」



近所迷惑を考えないほどの大きさで呼んだ。



けれど何も返事はなかった。



鳥になったら何処に行きたい?



毎日聞かれていたんだ。



あの約束を交わした日、確か僕はあまり真面目に答えて無くてその日、初めて君のいるところ。って答えたんだ。



2人とも同じくらい好きだったけど、ららちゃんのほうが少し好きだった。



ももちゃんは僕をからかうところがあったから



ららちゃん、、、



涙が止まらない。



胸が苦しい。



悲しい。



約束、、、



パッと壁を見ると



僕とららちゃんの名前が書かれた場所にはららではなくももと書かれていた。



「2人とも幸せに、、、だけどこうくん。私のこと忘れないでね」



どこかでそんな言葉が聞こえた気がした。





トイレから出るとももちゃんがいた。



「ももちゃん?」



「ららと会えた?」



「会えなかった、、、」



「やっぱり私よりららのほうが好きだったんだね。」



「2人の事が好きだったんだ。」



「へぇ。」



「どうしたの?なんで怒ってるの?」



「私のことも見てよ!ららばっかりじゃなくて!」



「見てるよ。」



「嘘つき、、、私を通してららを見てる、、、」



「えっ?」



「もういい、、、」



「僕は君を幸せにする!何年かかろうが絶対に幸せにする!それがららちゃんとの約束だ。そして僕の君に対する想いだ!」



「そんなの綺麗事よ」



そう言って僕に向かって走ってきたももちゃんの手には包丁が握られていた。



薄れゆく意識の中でも僕は確かにももという名前の女の子を両腕で思いっきり抱き締めたという記憶を残した。



「大丈夫、死なない。君を幸せにするから。」



それが僕と彼女の最後の約束だから。


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