勇者は創造主、マジでウザイ
生意気でむっつりなメイド×創造主で態度のでかい勇者。
コメディ。
「… 寒い」
休もうかな、メイド。
「うわ、雪じゃん。マジで休も」
窓から見える風景。
真っ白。吹雪いてる吹雪いてる。
寒くて当然だ、雪が降ってるもん。
ベッドの中で休も、王様ごめんなさい。
そして鳴らすな、勇者。あの私だけ聞こえるベルを。
『チリンチリン』
「何も聞こえない」
『チリンチリン』
「無視」
『チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン』
「うっさいわ! 頭の中で鳴らすな!」
何なんだよー、寒いのに。雪降ってるんだぞ!? 今日くらい休ませろ。
行きたくないから風呂入って来ようかな、王様たちにばれないよう、こっそりと。
裸のときに勇者のアレが来たら大変だな、私は清楚で可愛らしい17歳のメイドなのに。可愛らしくて、大人しい、メイドさん。
『チリン』
「わーってる」
「答えろ、アレは何だ」
偉そうに椅子に座りやがって。
指すのは、
「雪」
「ゆき? ゆきって何だ、魔法か?」
「仕事を休まないといけない、です。アレが降ったら」
「ふむ」
少しの静寂。
「民たちは働いているが?」
「じゃあ、この城は?」
「さっき食事を運ぶメイドを見た」
「くそっ」
舌打ちをしそうになりやめる、可愛らしいメイドだから私は。スマイルスマイル。
「ふむ、ゆき、ゆ、き、か。
オレの世界にはなかったな、帰ったら創るか」
帰れ帰れ。
「だが、この世界を楽しみたいな。オレじゃない奴が創った世界を。そのために、16歳の人間の体になったのだし」
早く帰れ。
「わかった、ゆきだな」
「はい」
「じゃあ、この温度は何だ」
「温度?」
「震えるような」
「いや、暖炉つけろや」
よく見たら暖炉に火をつけてないじゃねえか。道理で寒いはずだ。
この世界知らずの年下(体だけ)は…!
「だんろ」
「もうそれいいから。
いい? これを、こうして、ほら、暖かくなった。ふう、マシになった。
消すときは、ここを、こう。すぐにつけますが。ふう、よくなった」
「ほう。
それもオレの世界には」
「だからそういうのはもういいって」
ずっとぬくい世界、凄いけど。
「これを寒いと言います」
「わかった」
「逆が、暖かい。わかりましたか?」
「うむ、わかった。
何か飲ませろ、熱いのを」
熱いは知ってるんだよな。
「今日は休みです」
「じゃあ勇者のオレからの命令だ、働け」
「私じゃないとダメですか?」
「ああ、ダメだな。お前は唯一、創造主のオレに対して生意気な奴だから」
「くそっ」
舌打ちもしてしまう。
『おお、勇者よ』
『頭が高い』
『は、はい?』
『頭が高いとオレは言った。
貴様、冠を生意気に被る貴様、オレを誰か知っているか?』
『い、いや』
『元の世界では神だった。無意識の意識から生まれ、世界を創り、崇められていた。オレは創造主だ。だから頭が高いと言っているのだ、老いぼれ』
『は、ははあっ』
『折角オレが創った世界じゃない世界に来たのだ。
魔王? 知らないな、興味ない。16、16歳の体になってこの世界を楽しませてもらおう。16歳の体は完璧とは言えない。
まあ、創造する力は捨てないけどね』
本当に、生意気な勇者。
このうら若き乙女のメイドを、こんな寒い中働かせやがって。
「はい、勇者。暖かい飲み物、ホットミルク」
「どの牛から、しぼった」
「その辺の牛の乳から」
乳、乳。
えっろ。
ああ、いけないいけない。
私が私のアレからああする所を想像しては。
「お前、むっつりなことがあるよな、たまに」
「な、ナニモソウゾウシテマセンヨ? ウラワカキオトメセイソデカワイラシイ。オッパイダナンテソンナ。
そんな、そんな可哀想な奴を見る目をするなっ!」
「どの牛か教えろ、じゃないと飲めない」
「じゃあ飲むな」
「…。
どの牛かわかった、飲むぞ」
「じゃあ飲めよ」
「はははっ。
創造主に対してその態度、やっぱりお前は生意気で面白い」
くそが。
ありがとうございました!




