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第7話 初めまして、天使族

 目の前で完全に消滅したカンタ。

 アリスは座り込み、何度も名前を叫ぶ。


「カンタ、カンタ、カンター!」

「はい、カンタですが」

「カンタ! 無事だったのね! ってあれ、今消えて……」


 消えたはずのカンタが無傷で後ろに立っている。

 でも私は見た。白い羽根に貫かれて霧のように消えていくところを。


「残像だ」

「残像? 分かった、分身(ダブル)ね!」


 私が見てた消えるカンタは分身だったのよ。

 すごいわ、カンタ!

 急に攻撃されたのに一瞬で『分身(ダブル)』を使えるなんて!


 私はカンタの頭をなでなで。

 カンタは嫌そうな顔をする。


「で、お前は何だ?」


 カンタは頭を撫でるアリスの手を払いのけ、空に浮かぶ来訪者に目を向ける。

 空高い場所で来訪者は口を開く。


「我が名はガブリエル。天使族であり、この世界の守護者でもある。鳥などでは無い」


 天使族……って何?

 聞いたこと無いんですけど。


 アリスが知っているのは人間と魔族だけ。

 いきなり、新種の名前が出てきて驚く。

 だがカンタは天使を知ってるような口ぶりであった。


「何だ天使か。何か用か?」

「な、何だと? 貴様ヒューマンであろう。天使と聞いて何故そんな堂々としていられる?」


 カンタが普通に質問すると、ガブリエルはその態度に驚いていた。


 カンタが聞いたのはごく当たり前のこと。

 そんなに驚くことあった?

 カンタもガブリエルの言葉に首を傾げている。

 

 急に現れて攻撃して来て、その上謝りもせず偉そうに。何なのよ、コイツ!


「ちょっとアンタ、話があるなら上からじゃ無くて、ちゃんと目線合わせてから話しなさい。ほら、降りてきなさいよ!」


 私はガブリエルの態度にムカついて、声を荒げる。

 すると今度は私を見て、ガブリエルは驚きの顔を見せる。


「黒い翼……お前、まさか悪魔族か!?」

「悪魔族? 惜しいけど違うわよ。私魔……」

「下がれ、アリス!」

「うげぇっ!」

 

 ガブリエルの質問に答えようとしていると、カンタは私の首根っこを掴み、勢いよく後ろに飛ぶ。

 いきなり何と思ったが、目の前で地面に突き刺さる無数の白い羽根を見て、すぐ状況を理解した。


 私はガブリエルから攻撃された。

 背中についた白い羽がこっちを狙ってたなんて思ってもいなかった。

 カンタの助けが無かったら、羽根が刺さりまくってた……って、危なっ!?


「喋ってる途中で何してくれんのよ!」


 私はガブリエルに怒りをぶつける。


 怒っていいのは攻撃されたこちら側のはず。なのにガブリエルもまた私を見て激怒していた。


「お前のような薄汚い下品で卑劣な悪魔はこの世界にいてはいけないのだ! この世から消えて無くなれー!」

「げ、下品ってまた……何してるのよ?」


 ガブリエルは大きく息を吸い、右手を高く上げる。そして人差し指を天に突き立てる。

 その姿は私が寸前で見たことのある、トラウマになりかけているあのポーズ。


天罰サンダーボルト!」

「ぎゃあぁぁ、やっぱり!!」


 空から落ちる雷はアリスとカンタを襲う。


「危ない、アリス!」


 カンタは私を抱きしめて、地面に倒れ込む。

 守ってくれるのね、カンタ!

 でも強く抱きしめ過ぎ。キツいわよ。ってあらやだ、いい体してるじゃない!


 アリスは一瞬妄想の世界に入るが、すぐに現実に引き戻される。


「クッ!」

「ぴぎゃあぁぁあぁ、何でええぇぇ!?」


 雷は2人に降り注ぐ。

 背中に直撃して痛みを感じるカンタ。

 そして直撃はしてないけど感電するアリス。


 それもそのはず。さっきまでの物理攻撃と違い、今度は広範囲の雷魔法。カンタの下にいたアリスにも電撃が届くのは当たり前。守られたと思っていたアリスも電撃をくらうのであった。


 ぷすぷすと焦げる私を見てカンタは「大丈夫か、しっかりしろ!」と叫んでいた。


 大丈夫じゃないわよ!

 今日これで何回目よ?

 カンタといいガブリエルといい、バンバン雷打って来て、許すまじ!


 私はカンタをどけて立ち上がり、ガブリエルに宣戦布告する。


「アンタみたいな失礼なヤツは私とカンタで一回ぶちのめしてあげるわ!」

「ふん、悪魔族がほざきおって!」


 ガブリエルを指差して宣言する。

 カンタが「えっ、俺も?」みたいに自分の顔を指差していたが、強制でカンタにもガブリエル撃退をさせることにした。


「くらいなさい、馬鹿天使!」


 魅了の弓『私が心を射止めちゃう(キューピットアロー)』を発動。ガブリエル目掛けて一斉照射。

 右手を上げてる暇なんてないでしょ。もらったわ!


 アリスはガブリエルが『天罰サンダーボルト』を出すよりも先に弓が届くと確信していた。

 しかしガブリエルは別の方法で弓を対処する。


 白い羽を大きく羽ばたかせ、空気を乱す。

 羽によって生じた風は私の弓を払いのけ、逆に弓は私たちの方へと飛んでくる。


 ぺち、ぺち、ぺちぺちぺちぺちぺちっ!


 向かって来た弓矢はカンタが素手で簡単に処理。

 跳ね返された魅了の矢はことごとく地面に落ちて行く。


 流石カンタねって言いたいけどまたぺちぺちって。

 守ってくれるのは嬉しいけど、その音はもうちょっとどうにかならない?

 ほら、見てよ、あの天使の顔。拍子抜けした顔してるわよ。

 私が弱いみたいになってるじゃないの!


「カンタ、こっちも反撃よ!」

「反撃か!? ……でも空飛んでるぞ?」

「だから何よ?」

「落ちたら危ないだろ。怪我するぞ、あの人」


 ……怪我?

 もしかしてこのすかぽんたん、襲われてることに気づいて無いの?


「攻撃されてるのよ?」

「そうだな。だから理由を聞きたい」

「はぁ?」

「あの人は勘違いして襲って来てるのかも知れない。だからとりあえず話を聞かないとな」


 なるほどね、知ってて言ってるのね……。

 勘違いで殺されそうになってても反撃ぐらいするわよ、普通。

 コイツ、ホントに何か抜けてる!


「ちょっとそこのガブリエルっての! 何で攻撃してくるかちゃんとか説明して! じゃないとこの馬鹿勇者、反撃しないって言ってんのよ。ほら、早く説明して!」


 アリスはカンタの説得を即座に諦め、ガブリエルに説明を求める。

 カンタに反撃する理由を説明するより、そっちの方が手取り早いと思ったからだ。

 

 ガブリエルは一度手を止め、アリスの説明要求に答えてやる。


「理由を知らない? まさか俺たちのことを忘れたなんて事無いだろうな!? 俺たちはお前たちのことを忘れたことなど一度も無いぞ!」


 眉間にシワを寄せ、ガブリエルはアリスを睨みつける。

 そして、怒りの真相を話し始めた。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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