もし、明智光秀が秀吉の援軍に向かったら? 9 中国編
交渉。
と言っても、織田方に譲歩する余地はない。
つまり、毛利が石見を手放し織田家に組み込まれるか、それとも最後まで抵抗し滅びるかという二択。
もちろん抵抗する際には石見銀山を破壊するとオプションも含まれるが、少なくても毛利が石見を手にしたまま生き残るという選択肢は存在しない。
いわゆる「滅びの美学」を愛する者にとってここは毛利側に徹底抗戦をしてもらいたいところだが、そうはならず。
安芸、周防、長門の三か国の領有を保証されることを条件に割譲地に石見も加えることで毛利は生き残ることになる。
四十九万三千石。
少なくはないが、最盛期のことを考えれば微々たるものといえる数字となり、毛利は事実上信長の対抗者の地位から転げ落ちた。
だが、それでは非常に都合の悪い男がいた。
足利義昭である。
もちろん信長のは義昭など眼中にはないのだが、義昭本人はそうは思わない。
それどこか毛利の交渉の材料にされかねないのだから、いつまでもここに留まるわけにはいかない。
同じ立場の荒木村重らとともに脱出する。
西へ。




