もし、明智光秀が秀吉の援軍に向かったら? 51 北国編
そして、始まった春日山城の戦いであるが、上杉勢の希望と予想に反して柴田軍は城に攻め上ってくる気配はない。
むろん上杉を滅ぼしたという名誉と功は欲しい。
だが、それとともに「手取川の戦い」で手痛い敗北を喫している大将柴田勝家は上杉軍の強さをよく知っている。
佐久間信盛、佐々成政、長連龍らが春日山城の東側を中心に陣を敷き、残る直峰城などの東に残る支城からの攻撃に備え前田利家を配置するが、完全包囲が完成しない状態で春日山を登っても損害を被るだけだと攻撃は禁じていた。
もちろんこの状況では四方のうち特に西側は包囲がまったくできていない状況であるが、山間部に孤立した形で陣を敷いた場合、攻撃されても救援ができないため、火をかけるだけで陣を敷くことを諦めていた。
一方猪武者の集まりですぐにでも攻め上ってくると思っていた柴田軍が動かず、このままでは徳川軍が到着してしまうのを待つだけとなるため、上杉軍は新たな策が必要になる。
夜襲。
包囲が完成されていない山側から背後に回り込み襲撃するというものである。
地の利を生かした攻撃というところであろうか。
そして、柴田軍が到着して三回目の夜。
上杉軍が動く。




