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記憶と共に逆行しました


 私の前世は二つある。

前世と前前世と言ったほうがいいのかもしれない。


 前前世は、凄腕の暗殺者だった。

スラム街で拾われた私は、暗殺者に必要なことを叩き込まれた。

そのおかげで、国内では私を知らない人はいないほどにまでなった。


 しかし、王太子の暗殺依頼に失敗し、騎士と相打ちになり命を落とした。

さすがは王太子専属の騎士、結構強かった。


 前世は、大魔法使い、フィロルだった。

膨大な魔力を使い、国の繁栄のために、国王の右腕にまでなった。

だけど、国王が変わったとたん、私は処刑されてしまった。


 理由は平民のくせに王宮にいて、さらに高い地位だったからという貴族からの

妬みだった。

とんでもなくひどい理由だ。


 どちらとも早くして亡くなってしまったので、今度こそ長生きしたかったのだが、

階段から突き落とされて死んでしまった。


 もう不運すぎて、笑うどころか呆れてしまう。

なんで私の人生はこんなに悲惨なのだろうか。

なぜ私だけこんな目に遭わなければならないのだろう。


 ああ、次があるのなら、もっと平穏に暮らしてみたいなぁ。




 次の瞬間、ぱちっと目が覚めた。

「うん?」

自分の声から発せられたのは、聞き慣れた声だった。


 え?嘘でしょ。

思わずガバッと起き上がる。

見慣れた部屋の内装。


 もしかして、と思い、鏡があるところまで行く。

鏡の中には、階段から落ちて死んだはずのルリアナ・ブルームーンがいた。

「はあああああああああぁぁ!?」


 

 転生ではなく逆行した理由がわからず混乱してしまい、大声を出してしまった。

しかもちょっと口調悪めの。

慌てて侍女のメリーが「大丈夫ですかお嬢様!?」と走ってきてくれた。

ごめんよ、メリー。


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 「いやぁ、先程はびっくりしましたよ、お嬢様。本当に大丈夫なんですよね?」


 この侍女、メリーは、5歳の時からの私の専属侍女である。

メリーは私の第二の母のようなものだ。

死んだ時はすごく悲しませてしまっただろう。


 そんなことを考えていたからか、表情が曇っていたらしい。


 「お嬢様?やはり、どこかお気分が,,,」

「大丈夫よ。ごめんなさいね。そういえば、今日って何年の何月何日かしら?」

「今日ですか?884年3月12日ですね」

「ありがとうね」

「いえ、どういたしまして」


 884年3月12日?

王子たちの婚約者選びパーティーの1ヶ月前ではないか。

どうしよう、あのバカ王子の婚約者には絶対になりたくないんですけど。


 王子たちの婚約者選びパーティーと言っても、普通に子息も来ていた記憶がある

ので、みんなの婚約者を決める会みたいな感じなのだと思う。多分。


 あ、そうだ!自分から近づかなければいいんだ!

前はとりあえず集まっている人数の少ない方に行ったから婚約者になって

しまったんだ!


 じゃあ今回はひっそりと紅茶でも飲んでいようかしら。

うん、そうしよう。


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