王家からの制裁(後編)
遅れてすいません。
マインド伯爵夫人視点です。
こんなはずではなかったのに、、、!
貴族牢の中でマインド伯爵夫人はギリリ、と歯軋りをした。
計画通りなら今頃はあの女が第一王子から身を引き、娘が婚約者になっていたはず
なのに、私は捕まっているし、女はまだ婚約者の座にいる。
「ああ!ムカつく!ムカつく!!ムカつく!!!」
貴族牢とはいえ、ほとんど貴族の寝室と変わりないので、どんどんソファーにあるクッションに八つ当たりをする。
八つ当たりをすればするほどクッションの中身の綿が出てくる。
それでも怒りはおさまらない。
そうして八つ当たりをしていると、扉が開いた。
「なんなんだ、この惨状は、、、」
そう言いながら姿を現したのは、第一王子のジェラルド殿下と、マインド伯爵夫人の夫、マインド伯爵だった。
「あ、あなた、、、」
マインド伯爵に向かって自分の手を伸ばす。
だが、マインド伯爵はその手を払った。
「え、、、?」
「この、馬鹿野郎!!!」
パンッ、という音が部屋に響く。
頬を叩かれたと気がつくのにはそんなに時間もかからなかった。
「殿下の婚約者に無礼を働くとは、一体どういうつもりだ!」
「だ、だって、私達の娘のライラの方が頭はいいじゃない。それに、ライラは殿下を好いているのだから、母として手伝いをしなくてはと思って、、、」
「はあ、もういい。さきほど殿下の婚約者のルリアナ嬢にライラが今勉強している範囲のテストしてもらったら、満点だったぞ」
「え?そ、そんなはずは、、、」
「ルリアナ嬢はとても勤勉家だ。分からなかったことが分かるように勉強している」
「そんなことはない、、、。そんなことは、、、」
「殿下、本題をどうぞ」
「ああ、分かった」
まだ本題ではなかったの?
「マインド伯爵夫人、貴女は王族の婚約者への侮辱罪、それに加え、横領罪もある」
「お、横領なんて、私はしていません!」
まさか、バレていたなんて。執事や侍女を何人も伝わせてしたはずなのに、、、
「ルリアナの教育係になる前に、領地で色々やっていたんだな」
「失望したよ、まさか横領だなんて、、、」
「罰を言い与える。あとで貴族牢から普通の牢に移った後、50回鞭打ちを行い、それから国外追放だ。これに関してはもうマインド伯爵も同意している」
「そ、そんな!どうかお慈悲を!」
去ろうとした殿下を、慌てて引き止める。
すると殿下は振り返って言った。
「慈悲?そんなもの、私にはない。もしあったとしても、ルリアナを傷つけたお前にするわけがない」
「ねえ、あ、あなた、、、」
「私にもない。ちゃんと罰を受け、更生しろ」
その言葉を受け、私は絶望した。