表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/33

第九話:チートスキル対策がされている世界

「死ぬ覚悟はできておるか?」

「やれるもんならやってみろ」

「ほう?

どうやら死にたいようだなぁ……だが、戦わせやろう!!

行くぞ!!」


こうして、俺と八岐大蛇との戦いが始まった。


「グワアアァァッ!!!!」


ボゴォッ!!!


ボゴォッ!!!


ボゴォッ!!!


ボゴォッ!!!


「よし、時間よ止まれ!!!」


そういった瞬間、時間が止まった。


「よし、これで攻撃してやる!」


そう言って、俺は攻撃を試みた。


ところが……


バキッ!


「えっ!?」


パリーンッ!!!


なんと、空間が割れて、強制的に戻されてしまった。


「な、なんで!?」


すると八岐大蛇はニヤリと笑った。


「貴様、時間を止めるスキルを持っているのであろう?

なら尚更、わしには通用せぬぞ。

確かにそのスキルは最強なのは認めるが、わしらのような最強の魔物とククルカンやガネーシャ、キムンカムイなどの伝説の魔物には、そんなものは通用せぬ……つまり、わしの前では強制的に解除されるのだ!」

(なんてこった!

まさかそんな落とし穴があったとは……となると、時間止めは使えないな!)


俺は焦った。


ちょうどその頃、ルシファーはヒナセ、シンナラとレオライと一緒にあのダンジョンへ向かっていた。


「時間を止めれるの!?」

「えぇ、彼には時間を止めるスキルがあります。

ですが、あのスキルには、確かに最強ですが、その分のデメリットがあります」

「デメリット?」

「……止めれる時間は、無限ではなく、1時間までが限界です。

1時間以内なら自由に止めることができますが、1時間を超えてしまうと、時間が勝手に動き出してしまい、1時間分の眠りについてしまうことがあります。

これについてはタツヒサからそう聞かされています。

ですが、もう一つは……これは古代の本に書いてあったのですが、おそらくタツヒサ本人は知らなかったのですが、実は世界三大最強竜や世界三大魔獣などの最強魔物とそれをさらに上回る伝説の魔物には通用しない性質があり、使おうとすると強制的に解除されてしまうのです」

「そ、そんな……」

「特に八岐大蛇には再生スキルがあります……攻撃力が高いタツヒサですら倒すことはできないでしょう」

「だ、大丈夫かな?」

「ですが、カミカゼなら奴を倒すことができます!」

「そりゃ……アイツはククルカンという伝説の魔物だからそりゃ倒せると思うよ!」

「確かにカミカゼなら倒せますが……問題はそもそも八岐大蛇などの大型の魔物はダンジョンの奥深くに引き篭もるため、ククルカンなどの伝説の魔物は、大きさ的に入ることができないし、相手も強敵なので、倒すのに相当な時間がかかることです」

「そうなんだ……」

「とにかく、急ぎましょう!」


一方、ダンジョン内では……


「な、なんだこりゃ!?」

「魔物が全員、失神してやがる!?」

「動いてないし……」

「おまけに宝箱もほとんど開けられているな……」

「きっと、タツヒサという方が攻略しているのかと」

「となると……」

「あぁ、早く駆けつけないとな!」


ダンジョン内には、ヒナセから俺が作ったあの住宅街のため、そしてそのためのカミカゼとの交渉が成立した冒険者達が集まっており、俺が攻略した後を見て唖然としていた。


すると、何故かあのオーク達がやってきた。


「おや?

さっきのオーク達だな!

なんかあるか?」

「ブヒッ……」

「ブヒッ……」

「ブヒッ……」

「ブヒッ……」

「ニンゲンタチ、ゴメン!

ナニモナカッタ!」

「……そうか、お疲れ!」

「周囲を見てくれてありがとうな!」

「ウ、ウン……ドウイタシマシテ」


実はダンジョンに入る前、オーク達のリーダーで、人間の言葉を話せるオークキングは冒険者達にとある事情を話し、一時的に冒険者達と手を組むことになった。

ちなみにオークは知恵のスキルを取得したイノシシの個体が進化した魔物で、本来なら凶暴でなんでも食べる雑食性の危険な魔物とされているが、実は上位種であるオークキングと更にその上位種であるオークロードは、最低限だがごく稀に人間の言葉を話すことができる個体がいるそうで、中には温和的なオーク達がいるようです。

そのため、場合によっては冒険者と手を組んで一緒に行動することもあるそうで、中にはオーク達を従魔にしている冒険者がいるようです。


そんな中、俺は今、まだ八岐大蛇と戦っていた。

幸いにも大ダメージを受ければ、すぐに最強の回復スキルで死なずに済んだが、それでも八岐大蛇は手強い強敵だった。


「どうした人間よ!?

もっとこの戦いにこのわしを楽しませよ!!」

「いいや、ここからが本番!!

俺が逆に楽しませてやるよ!!!」


そう言いながら、俺はだんだんとヤクザの息子としての血が騒ぎ始めたのか、目つきが変わった。


「面白い奴じゃ……その目つきはなんだ?

まるで血に飢えた凶戦士として覚醒しているように見えるぞ?」

「さぁ?

気のせいじゃねーか?」



ズバァッ!!!!


「俺の強すぎる威力での毒斬りはどうだ?」


しかし、八岐大蛇には効かなかった。


「わしの再生スキルで傷を癒す……そして、わしは元から毒耐性なんでなぁ……そんな攻撃は効かぬ!!!」

「なるほど……流石だな!

世界三大最強竜とされているから当然か」


その時……


ドガッ!!


突然と大きな棍棒が飛んできた。


「……なんだぁ?

何かがわしに当たったぞ……フッ、くだらぬ」


すると、奥から冒険者達とあのオーク達がやってきた。

どうやらあの棍棒はオークキングが投げたようだ。


「ニンゲン、スケダチシニキタ!

オレタチ、オークノオンガエシ!!」


そう言って、オークキング率いるオーク達は、一斉に八岐大蛇に攻撃を仕掛けた。


「ブヒブヒッ!」

「ブヒブヒッ!」

「ブヒブヒッ!」

「ブヒブヒッ!」

「ツイニキタ……オークロードサマトウシナッタナカマタチノカタキヲトル!

ソシテ、アノニンゲンヘノオンヲカエスゾ!

アノニンゲンニテダシサセルナ!」


それに続いて冒険者達も……


「オーク達に続け!!

オーク達に遅れを取るな!!」

「倒すことを考えるな……どうやってコイツを外へ追い出すかを考えろ!!

そして生き残れ!!」


おおおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!!!!!


「雑魚どもが……わしの戦いに邪魔をするのなら、ここで皆殺しにしてくれるわ!!!!!」


そう言って、八岐大蛇は俺ではなく、冒険者達とオーク達へ標的を変えた。


しかし、それだけではなかった。

なんと、いつの間にかシンナラとレオライが駆けつけた。


「ガオオオォォ〜ッ!!!」

「ガオオオォォ〜ッ!!!」


ガブッ!!


ガブッ!!


「な、なんでシンナラとレオライが!?」


するとそこへ、ルシファーとヒナセがやってきた。


「間に合ってよかった!」

「大丈夫ですか?」

「二人とも!?」

「……タツヒサ、あなたはレベルが低すぎます。

いくら高い攻撃力と最強のスキルを持つあなたでも、八岐大蛇を倒すのは不可能です。

私ですら倒せなかったので」

「……奴を倒す方法は?

例えば弱点とか?」

「……すみません、それは私でもわかりません。

ですが、カミカゼならご存知かと……」

「カミカゼが?」

「そう、アイツは今、奴が外へ出てくるのをずっと待っているんだよ。

カミカゼはアイツしか倒せないので」

「……なら、カミカゼに任せるしかないのか……となると、どうすればいい?」

「外へ追い出すしかありません。

ですが、私達にできることは、誘き出す形で外へ連れ出すことしか……」

「そうか……でも、俺はまだやれる!

俺はそのためにここにいるんだ」

「いいえ、ダメです!!

また立ち向かえば、本当にあなたが死んでしまいます!!

……いくら最強でも限度ってものがあり、先程申したはずです……あなたはレベルが低いから、どんなに最強のステータスを持っても、あのレベルの魔物を倒すことはできません」

「……」


俺は深く考えた。

確かにルシファーの言う通り、八岐大蛇に立ち向かうにはあまりにも早すぎた。

そして俺は同時に理解した。


……”この世界では、俺のようなチートスキルを持っても、しっかりとそのチートスキル対策がされている世界”なのだと……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ