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第七話:ヒナセの商売

翌日、俺はヒナセに頼まれていたものを見せた。


「すごい!

流石タツヒサ!

アンタならできると思ったよ!」

「あぁ、おかげで流石に疲れたよ」

「そうなの?」

「どうやら連続で創造スキルを使い続けると、疲れが溜まってしまうみたいだ」

「そうなんだ……まぁでも、これだけあれば充分!」

「そっか……」


ちなみに俺がヒナセのために作ったのは、ダイヤモンドやルビー、サファイア、エメラルド、オパール、トパーズ、アメジスト、ヒスイ、クリスタル、ターコイズ、ガーネット、ラピスラズリといった数十種類の宝石各100個ずつ、剣や盾、弓矢、兜、鎧などの各武器と防具などの装備、後は石鹸やタオル、歯ブラシ、時計などの日常生活に使われるもの数百類を作った。

おかげで俺は疲れてしまった。


「じゃあ行ってくるよ!」


そう言った後、ヒナセは俺が創造した荷車に荷物を乗せ、荷車をシンナラとレオライに引かせながら、俺が創造したものを売りに行くべく、旅立っていた。


「……行っちゃいましたね」

「あぁ……でも、大丈夫かな?

一応アイツらがいるからいいけど……」

「大丈夫ですよ。

あの子はあの子で盗賊達を返り討ちにする力はあるので!」

「そうか……そうだといいんだけど」

「それよりあなた、疲れてますよね?」

「まぁーな」

「それでしたら、少しお休みになられた方が……」

「あぁ、そうする」


そう言った後、俺は自分の部屋へ向かっていた。

そしてルシファーは、一人で紅茶を飲んでいると、カミカゼがやってきた。


「あら?

カミカゼではありませんか?

何かありましたか?」

「ルシファーか……タツヒサは?」

「部屋で休んでいます」

「そうか……後で伝えよ。

また新たなダンジョンを見つけたとな」

「ダンジョン?」

「それも前に行ったのとは明らかに異なる。

おそらく、この無法地帯での魔物の大量発生の元凶と見た……それも相当な大きさだ」

「なんですって!?」

「放っておいたら、ダンジョンから魔物が溢れ出て、ここへ襲撃してくるであろう……魔物どもは余が蹴散らしておくが、流石に余だけではここを守り切ることはできぬ。

悪いが先に汝らがダンジョンの攻略へ行って、事前に阻止してくれると余も助かる」

「意外ですね……ククルカンですら敵わないほど、魔物が多く発生しているってことですか?」

「うむ……アレだけの数がおるのなら、そりゃここが無法地帯になっても無理はない」

「……アイツの仕業ですね」

「アイツとは?」

「……八岐大蛇。

私に襲ってきた世界三大最強竜に君臨する魔物です」

「なるほど、どうやら八岐大蛇とやらがその場所に居座ったことで、ダンジョンが生まれたのだな?」

「はい、もうそれしか考えられません。

八岐大蛇やあなたのようなククルカンなどの大型の魔物が特定の場所にいると、自身の縄張りとしての大きなダンジョンを作る時があります。

そのダンジョンには、その大型の魔物が持つ強すぎる魔力の影響により、魔物が集まることで、魔物の大量発生を引き起こす原因にもなります。

無法地帯が存在するのは、その無法地帯にはソイツらがいるからです」

「……余は今まで自分の縄張りのためのダンジョンを作ったことはないから、そこまではよくわからぬが、その八岐大蛇をどうにかしない限り、魔物が大量に発生し続けることだな?

だとしたら、ダンジョンを破壊して、八岐大蛇を引き摺り出して、その八岐大蛇を倒さねばならぬ。

まぁ、余なら余裕で奴を倒せるが……その前にそのダンジョンを攻略しなければ、余も動けぬ……何故なら、先に魔物どもの一掃を優先しなければならず、ソイツの相手にすることができぬ」

「そうだったんですね……困りましたなぁ」


その頃、やっとアヴァロン王国にあるとある都市へ着いたヒナセは早速商売を始めた。


「いらっしゃいませー!

どうですか!?

ここには良い品が揃っていますよ!」


そういうと、大勢の人達が集まった。


「安く買えるのは、今のうちだよ!!

なんせ、私でしか安く取り扱ってくれないからね!!

勿論、どの品も素晴らしいものばかり!!

どんどん買ってくださいよ!!」

「姉ちゃん、良いのかよ!?

こんな良い防具を安くしてもらえるなんてよ!!

普通なら金貨100枚分の価値があるんだぜ!?

なのにたったの金貨10枚で!?」

「うん、問題ないよ!!

でも、買うなら、今のうちだよ!!

もしかしたら値上げするかもしれないからさ!!」

「よし、だったら買ってやろうじゃねーか!!」

「毎度!!」

「おい小娘、悪いがこのダイヤモンド全部くれないか!?

こんなにいいダイヤなら間違いなく貴族どもが買ってくれるぜ!!」

「勿論いいよ!!

その代わり今は一つだけ買うのなら安いけど、全部買うのなら、買い占めとして、ダイヤ一つを本来の値段に戻してしまうから、結構高く着くけどいいかな?」

「勿論、承知の上で言っている。

それよりも早くコイツらをアクセサリーなどに加工したいんだよ!!」

「そうか、じゃあ望み通りにそれ全部やるよ!!」

「ありがてぇ!!

ほれ、これでダイヤ100個分の金が入っている!!」

「毎度!!」

「この石鹸、1個で銅貨1枚でいいの?」

「うん、勿論!」

「ありがとう!

じゃあ、お言葉に甘えて、10個買います!」

「毎度!!」

「それにしてもこのライオンとライオネス、めっちゃ大人しいなぁ……もしかして従魔か?」

「うん!

私のではないけど……」

「えっ?」


すると一人の客があるものを見た。


「あ、あのー……」

「はい?」

「そこに”入居者募集”って書いてあるけど、それはなんですか?」

「あぁ、これ?」


ヒナセはその客にある話をした。


「えっ!?

あの無法地帯に家がたくさん!?」

「うん、その家に住んでもらうために今、募集しているんだよ。

将来的にはそこを国として作ることになっているんだけど、まだ国ではないから、とりあえず作ってある家に住んでもらうために入居者を募集しているんだよ。

まぁ、自動的にその国の国民になってしまうけどね」

「おいおい、それはマジで言っているのかよ!?

あんな危険な場所に誰が住むってんだ!?」

「まぁ、そういうよね。

でも、そこにはとある人物がいて、その人物はあのククルカンを従魔にしていてな!

その人物が作ろうとしている国となる場所をククルカンの縄張りとして守ってもらっているんだ!」

「く、ククルカン!?」

「マジかよ……」

「……ちょっとだけ見てみたいなぁ」

「お、俺も……」

「私も興味あります」

「け、けどよぉ……アイツがいるのなら、そこに行くのは危険だろ?」

「アイツって?」

「八岐大蛇だよ!

最近からあの場所に奴がそこに居座るようになったことで、大きなダンジョンが生まれて、そこから魔物が大量発生したことで、その場所が無法地帯になっているんだぜ?

あんなヤベー魔物がいる限り、俺らなんて無理だぞ!」

「そうか……それは困ったねぇ」


ヒナセはポケットから蝋燭と貝殻を合わせたような道具を取り出し、蝋燭に火をつけた。

すると、火はルシファーの顔になった。


ちょうどその頃、ルシファーの部屋にも……


「あら?

ヒナセからですか?」


その道具に気づいて、取り出すと、その火にはヒナセの顔になった。


「もしもし?」

「ヒナセですか?

どうかしましたか?」


どうやら現代でいうケータイ電話のような道具だった。


「……そうですか。

でしたら、八岐大蛇がいるダンジョン攻略を条件にあの家をタダで住まわせるのはどうですか?

……えぇ、お願いします」


そう言った後、ルシファーは火を消した。


「……既にアヴァロン王国にもその話が広がっていましたね」


その時……


コンコンッ!


「ん?」


ドアを開けると、目の前には俺がいた。

そう、俺は今、目を覚ましたところだ。


「眠れたみたいですね」

「あぁ、やっと疲れが取れたよ。

それより、カミカゼから聞いたよ。

あの場所にあなたを襲ったあの八岐大蛇が住み着いて、そのためのダンジョンが生まれたと」

「えぇ、八岐大蛇が持つその強い魔力の影響で、そこで魔物が大量発生して、ここが無法地帯になったのです」

「そうか……よし、行くか!」

「えっ?」

「俺が行く。

俺なら八岐大蛇を倒すことができる」


そう言って、俺は行く準備をした。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


ルシファーの声が聞こえたが、そんなのを無視して、すぐに城から出た。


「タツヒサさん、いくらあなたでも危険すぎます!」

「大丈夫!!

すぐに戻る!!」


そう言って、俺は走って、ダンジョンへ向かった。

カミカゼの話では、城からちょうど北西にある森の中だそうだ。


「……はぁ、行っちゃいました」

「どうかしたか?

ルシファーよ」

「……タツヒサが八岐大蛇討伐とダンジョン攻略へ向かいました」

「……それは放っておけぬな。

安心せよ、余が汝の代わりにタツヒサを追うとしょう」

「……お願いします。

どうか、彼を死なせないでください!」

「承知した」


カミカゼもタツヒサの後を追うようにダンジョンがある方角へ飛んで行った。

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