第十六話:アンデット連合の襲撃
その頃、城内ではルシファーは、国のための法律を考えていた。
(ここは誰よりもより平和な国にしないといけませんね。
中立国としてやっていきたいですが……その前にアヴァロン王国との国交ですね。
アーサー国王は理解のある優れたお方ですが、今の私達を受け入れてくれるかが問題です。
今はタツヒサがアヴァロン王国に行っているようですが……)
するとルシファーがいる部屋に慌てた様子でヒナセが入ってきた。
ガチャッ!!
「大変です!!
襲撃です!!」
「襲撃?」
「それも魔物ではなく、ヤクザなんですよ!!」
「ヤクザ!?
それってまさか……」
「そこまではわかりません!
一応、住民の皆さんには城の中へ避難させました。
そして今、シンナラ、レオライ、カイリキ、クネクネ、イベリコ、タムワース、デュロックが戦っています!」
「……ここにはまともな兵力はありません。
私は出陣しますが、あなたは私と一緒に戦う勇気がある者だけ出陣するように声をかけてきてください。
彼らも一応冒険者ですからね。」
「わかりました!」
城外では、襲撃犯を次々とシンナラ、レオライ、カイリキ、クネクネ、イベリコ、タムワース、デュロックが倒していった。
「ガオォッ!」
「ガオォッ!」
「魔物のくせに調子に乗りやがって!!」
「俺らがこんなところで躓いている場合か!?」
「さっさとここを乗っ取るぞ!!」
「そのために、ここにいる邪魔者は、たとえ目の前にいる魔物だろうが関係なく皆殺しにしろ!!!」
「ソウハサセナイ!!
ココ、オレタチ、マモル!!!」
「オークどもは雑魚だからソイツらを殺せ!!
その後に強力な一撃であのライオンとライオネスをぶっ殺してやれ!!」
すると……
ドガアァ〜〜〜〜ッ!!!!!!
「ぎゃああぁぁ〜〜!!!」
「ぎゃああぁぁ〜〜!!!」
「ぎゃああぁぁ〜〜!!!」
「ぎゃああぁぁ〜〜!!!」
「ぎゃああぁぁ〜〜!!!」
突然と巨大な隕石が襲ってきた。
「な、なんだ!?」
「隕石か!?」
「おいおいおいおい!!
こんなの出せんのは、上級魔法使いしかいねーだろ!?」
襲撃犯達がそう騒ぐと、そこにルシファーが飛びながら姿を現した。
「る、ルシファー!?」
「アイツ、引退したんじゃねーのかよ!?」
「あのクソババア……何しに来やがった!!」
「まさかここ……あのクソババアの新たな国とかじゃねーだろうなぁ!?」
ルシファーは自分のことを”クソババア”と呼ばれたことで、イラっとした怒りの表情を見せた。
「あなた方は何をしにここに襲撃をしてきたんですか?
まずは何者なのかを名乗ってください!!」
「これはこれは!!
あの引退したルシファー元女王陛下様じゃねーかぁ!?」
「俺らはなぁ……あの天下のアンデット連合様だぁ!!!」
「ここに城ができたって噂を聞いてだなぁ……親父からの命令で、ここを乗っ取れと命令されたんですわぁ!!!」
「そのために襲撃したんやが……どうやらその必要はなくなったなぁ?
ルシファーさんよぉ?」
「なんですか?」
「ここを明け渡してくれませんかね?
そうすれば、俺らも気持ちよくここを乗っ取れるんですよ!!」
「ここは穏便にお願いしやすよ!!」
「フザケルナ!!
オマエラ、ココ、ワタサナイ!!
オレタチ、ココ、マモル!!」
「そこの魔物は引っ込んどけや!!」
「そこのオークキングの言う通りです。
ここをあなた方にお渡しすることはできません。
さっさとここから離れてください。
そして二度とここに来ないでください!」
「そうでっかぁ……それなら仕方ありませんなぁ!!」
すると背後から続々と武装した男達が現れた。
「おい!!!
皆殺しや!!!
そこのクソババアを好きなだけレイプして、俺らの力をわからせてやれや!!!」
「はぁ……もう使わないと決めましたが……仕方ありませんね」
ルシファーはそう言って、闇のオーラを放った。
すると、金色の髪がだんだんと銀色に変わり、翼の色が邪悪な紫、皮膚の色が緑色となった。
「な、なんだありゃ!?」
「あ、兄貴!!!
これ、俺ら殺されまっせ!!!」
「マジかよ……エンジェル族の中で、最も魔術を極めた者は、最強の力を得る代わりに、魔界がもたらす暗黒の闇に染まった危険なエンジェル……”フォールンエンジェル”じゃねーかよ!?」
フォールンエンジェル……つまり、堕天使としての力を目覚めたルシファーは、明らかに怒りに満ちた表情を浮かべた。
「おい貴様ら」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「……アンデット連合と言ったな?
よくも妾の国で好き勝手にしてくれたなぁ……あの時は本当に貴様ら全員を追い出すのに、どれだけ時間がかかったことか……妾の弟にこんな苦労をかけさせずに良かったが……まさかここでアンデット連合が襲撃してくるとはなぁ!!
しかも妾のことを”クソババア”と言ってくれたなぁ!?」
「ヒイィッ!」
「す、すいやせん!!」
「い、命だけは……」
「お、おい!!
何してんだよ!?
さっさと皆殺しだ!!!」
「ス、スゲー!
カッコイイ!」
すると、一人の大男が現れた。
「ほう?
アレが例のフォールンエンジェルとして覚醒したルシファー元女王陛下様じゃあありゃせんか?」
「誰だ貴様は!!」
「これは失礼しやしたな!
わしゃアンデット連合直系幹部で、生まれはオーガ族領鬼ヶ島出身のれっきとしたオーガ族の酒呑童子っていうんですわぁ!!
ここにいるんは、わしの部下どもやぁ……」
「なるほどな」
そしてヒナセと一緒に10人の住人となった冒険者達が武器を持って、駆けつけた。
「ルシファー様!?
その姿って、ま、まさか!?」
「ヒナセか……すまない。
こんな姿、できれば見せたくはなかったが……」
「す、すげぇ……やっぱりルシファー様は本物だな!」
「確か、エンジェル族の中で、最も魔術を極めた者は、最強の力を得る代わりに、魔界がもたらす暗黒の闇に染まったフォールンエンジェルになれるんだって聞いたぜ!
この能力を発動できるエンジェル族は、必ず実力そのものが最強なんだ!」
「だが、その能力を発動する代償として、制限時間は経ったの3分しか持たず、それが終わると元の姿に戻り、完全回復するのに一日間ずっとで、一日中ずっと動けなくなるっていう話だ」
冒険者達の話を聞いたヒナセは、覚悟を決めた表情となった。
「みんな!!
ルシファー様のために、私達も戦うよ!!!
ここを守るんだ!!!」
「おうよ!!!」
「やってやるぜ!!!!」
「ここに住まわせてもらってんだ……そのお礼もしないとな!!」
「あぁ、行くぞ!!!」
おおおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!!!!
「援軍がたったの11人?
ルシファー元女王陛下様、オークキング、オーク4体、ライオン、ライオネスしかいねーのによぉ……なめられたもんや!!!
おいおどれら、見とらんでさっさと皆殺しにしろや!!!!
ここをギッタンギッタンにして、わしらがこの城をいただくんや!!!!!
アンデット連合のためになぁ!!!!!」
おおおおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!!!
ちょうどその頃、俺はメローラとのお見合いが終わり、婚約証書のサインを済ませ、それをアーサー国王に渡した。
「よし、これで正式にメローラとの婚約が成立した。
後は結婚式をすれば、正式に夫婦になれる。
だが、結婚式はアンデット連合が壊滅してからとする。
結婚式が行われるまでの間、メローラはまだここで暮らすこととなるが、デートくらいなら許してやるが、子作りは結婚してからだ。
わかったな?」
「わかりました」
「よろしい……ではよろしく頼んだぞ」
すると、マーリンが慌てた様子でアーサー国王のところに駆けつけた。
「陛下!!!
申し上げます!!!
タツヒサの領土にアンデット連合による襲撃が行われているとの報告が来ました!!!」
「えっ!?
そんな!?」
「襲撃の首謀者は、直系幹部の酒呑童子じゃ!!!」
「なんと!!!!」
「ど、どうしょう……早く帰らないと!!!!」
「タツヒサよ、落ち着け。
お前にはやることがあるだろう?
それを最優先にするのだ。
お前の国は、この私がしっかりと守ってやる!」
「で、ですが……」
俺の背後には、いつの間にかランスロットがいて、ランスロットは俺の肩を優しく叩いた。
「心配するな。
俺らがしっかりとお前の国を守ってやる。
それに、俺には酒呑童子との因縁の戦いがあるからなぁ……いい加減に決着をつけてやる」
そして再び窓からカミカゼが顔を出した。
「それなら余も出陣いたそう」
「カミカゼ!?」
「すまぬが、余も汝の城を守る義務があるのだ。
それに、あのルシファーが心配だ」
「ルシファーが?」
「うむ……おそらく、フォールンエンジェルとして覚醒している頃だ。
エンジェル族の中で、最も魔術を極めた者は、最強の力を得る代わりに、魔界がもたらす暗黒の闇に染まったフォールンエンジェルになれるが、その代償として、制限時間は経ったの3分しか持たず、それが終わると元の姿に戻り、完全回復するのに一日間ずっとで、一日中ずっと動けなくなるのだ」
「なるほど、それならルシファー様の身が危ないではないか?」
アーサー国王はマーリンとランスロットを見つめて、命令した。
「マーリン、ランスロット!!
今すぐ兵士を率いて、偉大なるククルカンと一緒にテレポートして、援軍として駆けつけよ!!!」
「ハッ!」
「承知した!!」
ランスロットとマーリンは急いで、城から出た。
「では余も行くとするか。
タツヒサよ、汝はアンデット連合を潰すのだろ?
ならそっちは任せたぞ」
「ま、待ってくれ!!
俺一人だと……」
「心配は無用だ。
汝には最強の攻撃力があるし、時間と創造、最強の回復スキルがあるから、汝なら大丈夫だ」
そう言って、カミカゼはその場から飛び去った。
「さて、メローラよ、部屋に戻っていいぞ」
「……」
メローラは黙って、部屋へ戻って行った。
「……はぁ、相変わらず無口で無表情な子だ。
子供の頃はこうではなかったのに、いつからあの性格になってしまったか……」
「あ、あのー……」
「……タツヒサよ。
アンデット連合の本拠点がどこにあるのかはわからんが、奴らに不法占拠されている賢者の石が取れる鉱山に向かうと良い。
この城から北東に位置する」
「わ、わかりました」
「……娘のことも、この国のことも……頼んだぞ」
そう言って、アーサー国王は部屋から出た。
「……はぁ、仕方ない。
ちゃっちゃと片付けるか!」
こうして俺は、一人でアンデット連合に立ち向かうこととなった。