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第一話:異世界へ転生したヤクザの息子

俺の名前は豹狼辰久で、今年で15歳……変わった名前かもしれないけど、実は俺は地元では有名な暴力団「豹狼組」の組長の息子だった。

まるで京都にある二条城のような感じの広さを持つ豪邸で生まれ育ち、常に俺の周りには豹狼組の組員達がいた。


「坊っちゃま、お疲れ様です!」

「坊っちゃま、明日の授業で使う習字セットの準備を整いました!」

「坊っちゃま、お友達が遊びに来ました!」


こんな感じでいつも俺の世話をしてくれる。

当然、これは俺の親父があまりにも俺に対する過保護な親バカだった。


「ワシの息子は豹狼組の跡取り!!

息子に手を出す奴は獣の餌にしてくれわ!!」


という感じで、それを口癖のように言っていた。

まぁ、確かに豹狼組の周囲には敵が多く、常に抗争が起きていた。

俺も敵の標的になっているのも事実だ。

でも、俺を襲い掛かろうとした敵の組員は俺を護衛していた組員達に取り押さえられ、敵の組員はその後に海に沈められたり、家で飼っていたお腹を空かせたヒョウとオオカミの餌食となったり、生きたまま豹狼組が所有する親父こだわりの有機農業の畑にある専用の場所の奥深くに埋められたりなどをしていた。


「お、親父……わざわざそこまでしなくても……」

「いいや、ダメじゃ!!

お前がいなくなったら、ワシが暴走してしまうのじゃ!!」


といった感じである。


そんなある日、俺は学校の行事で、修学旅行として、広島へ行くことになったが、学校側から俺だけで行くように言われた。

確かにどう考えても、俺の周りに組員達がいるのは目立ってしまうからだと考えていた。

勿論、学校側は俺の事情を知っているからだ。


「坊っちゃまだけ行かれるのですか?」

「あぁ、そうやって俺のところにいたら、目立ってしまうし、敵からの襲撃だってあるはずだ」

「で、ですが……」

「大丈夫」


組員達を説得させ、親父も学校側から聞かされているのか、複雑な気持ちになりながらも一応納得した。

しかし、それでも不安なのか、密かに尾行するように組員達に言っていたのを俺は聞いてしまった。


「お前達、修学旅行で辰久を死なせたら、お前ら全員、エンコだと心得るのじゃ」

「は、はい!」

「しっかりと、誰にもバレないように、尾行するのじゃ……くれぐれもバレないにな」

「わかりました!」


それを聞いた後、俺は黙ってへ自分の部屋へ行って、修学旅行の準備をしてから寝た。

それから数日後、俺は修学旅行で広島へ行った。

原爆ドームや厳島神社などを見て行ったりなど、俺もなんだかんだ言って、楽しかった。


ところが修学旅行最終日になった時、事件は起きた。


「さてみんな、修学旅行は楽しく過ごせたか?

色々あったけど、それはそれで、素晴らしい思い出になっただろう!

さぁ、後は荷物と土産を持って、家に帰るとしょう!」


そう言って、みんなで観光バスに乗って、今から出発しょうとした。

その時、観光バスを囲むように突然と数台の車がやってきた。


「な、何!?」

「あの車はなんだ!?」


生徒達は大騒ぎになった。

しかし、俺は見てわかった。


そう、その車は全て、敵だった。

そして一台の車から降りてきた組員の男が大声で叫んだ。


「このバスは豹狼組の息子が乗った修学旅行用のバスや!!!

テメーら、皆殺しやで!!!!」


そう言った瞬間、車から一斉に組員達が降りてきて、組員達は全員、観光バスへ襲撃した。

そして隠し持っていた銃で生徒も担任の先生も運転手も全員皆殺しにした。

しかも、他のクラスの観光バスも敵による皆殺しの標的となっていた。


「観光バスを手当たり次第皆殺しにして、豹狼組の息子を見つけ出すんや!!!」


そう言いながら銃を乱射しまくった。

俺は隠れようとしたが、担任の先生と生徒達が観光バスの窓ガラスを割って、逃げるように言った。


「辰久君、逃げて!!」

「あなたを探しに来てるの!!

早く逃げて!!」


しかし、時すでに遅し……それに気づいた組員達は担任の先生と生徒達を銃で殺し、そして俺を囲んだ。


「残念やったなぁ……お前に尾行していた組員達は既に先手を打って皆殺しにしておいたで。

俺らはなぁ……豹狼組が大嫌いなんだよ……いつもお前らのことを憎しみ、恨みながらこの日を待っていたんやで」

「俺を……殺して、どうするつもりだ?」

「決まってるやろ?

お前の父親も引き摺り出して殺すんや。

そうすれば、俺らの親父が報われるんや!!!

お前らを殺すことで、俺ら鬼獄組が報われるんやで!!!

そういうわけで……悪いが死ね!!!!」


こうして、俺は殺された。


しかし、何故か目の前に光が現れ、だんだんと近くなって眩しく感じた。

思わず目を開いてみると、目の前に謎の老人が二人いた。


「だ、誰ですか?」


思わずそう聞いた。

すると二人の老人は口を開いた。


「お主は死んだのじゃ。

じゃが、お主が死ぬのはあまりにも若すぎるのじゃ」

「我らはお主を第二の人生を送り出そうと考えた」


それを聞いた俺は驚いた。

しかし、あの後のことが気になったので、聞いてみることにした。


「俺が……死んだ?

そ、そうだ!!

もしも知っているのなら……あの後何があったのかご存知ですか!?」

「……お主が死んだ後、世間では”鬼獄組襲撃事件”として騒いでおり、それを知ったお主の父親は怒り狂って、鬼獄組との全面的な抗争へ発展したのじゃ」

「じゃが、当然じゃがお主はヤクザの子供……お主のせいで自分の子供を巻き込んだと保護者達がお主の父が率いる豹狼組に対する怒りを買ったのじゃ。

そして最終的には、豹狼組によって鬼獄組は壊滅したが……」

「お主の後を追うように、お主の父は他の組員達と一緒に全員で自殺したことで、豹狼組は消えた……まぁ、生前での行いがあまりにも悪すぎたから全員、地獄へ堕ちたがな」

「そ、そうか……」

「じゃが、お主は何も悪くない。

むしろワシらにも責任がある」

「幸いにも一緒に殺された生徒達は、天国へ旅立っていた」

「じゃ、じゃあ……俺も天国に?」


すると、二人の老人は首を横に振った。


「いいや、お主は天国にはいけない」

「お主がヤクザの息子として生まれてしまったのはワシらの責任であり、さっきも言ったように、お主には第二の人生を送ってもらう」

「勿論、生前とは違った新たな人生をな」


俺は驚きを隠せなかった。

すると二人の老人は名前を言い出し、そして俺にこんなことを聞いてきた。


「……申し遅れたが、ワシはオーディン」

「そしてワシはゼウスじゃ」

「お主、本当はヤクザの息子ではなく、普通の家の息子として生まれたかったのじゃろ?」


そんなことを聞かれた俺は、素直に言った。

本当はヤクザの息子ではなく、普通の家の息子として生まれたかったことをそのまま言った。

すると二人の老人改めて、オーディンとゼウスは納得したような表情をした。


「……そうか。

やはりそうであったか」

「うぬ……なら問題はあるまい」

「問題?」

「……よく聞くのだ。

お主はこれから異世界へ転生して、そこで第二の人生を送ることになる」

「じゃが、お主が望み通りに普通の人間になれるが、異世界では普通に生きることはできぬ」

「そこで、お主が生きれるように完全に生まれ変わることにする。

じゃが、生まれ変わっても、お主自身は変わることはできぬ……魅力的なカリスマ性の持ち主で、生まれつきの優しさとヤクザの息子としての義理人情を持ち、そして友達思いな部分があるお主自身をな」

「は、はぁ……」

「まぁ、問題はないがな。

さて、次は名前についてじゃが…どうする?」

「うーん……下の名前だけでいいかな?」

「辰久のことか?

ならば、お主は”タツヒサ”と名乗るが良い。

それと……次はオーディンの出番じゃろ?」

「うぬ……お主には、これからスキルを3つ与えよう。

なんでも好きに言うが良い!」

「スキル?」

「簡単に言えば魔法じゃ。

例えば、ワシが操っている雷を操る魔法とかな」

「なるほど……じゃあ、チートスキルも!?」

「……限界はあるが、一応チートと呼べるスキルなら可能じゃ」


俺は考えた。


(何がいいかなぁ?

……そうだ!

一つ目は俺が読んでいたあの漫画で使ってたチート能力!!)


一つ目のスキルが決まった。


「一つ目は、時間を止めるスキルが良いです!」

「な、なんと!?」

「だ、ダメかな?」

「い、いや……驚いただけじゃ。

じゃが、時間を止めるのは可能じゃが、止めれる時間は1時間までが限界じゃ。

1時間以内なら自由に止めることができるが、1時間を超えてしまうと、時間が勝手に動き出して、お主は1時間の眠りにつくことになる」

「それってつまり、1時間以内に自由に時を止めることができるってことは、1時間を超えなかったら、自由に使えるってことですか?」

「そう言うことじゃ。

さぁ、一つ目のスキルにするか?」

「……はい、お願いします!」

「良かろう……二つ目は?」

「二つ目?」


俺は二つ目を考えた。


(次は何にしょうかなぁ……でも、どうせならなんでも作れる能力が欲しいなぁ……)


俺は思わず質問した。


「な、なんでも作れるスキルって可能ですか?」

「なんでも作れる?」

「例えば簡単に武器が作れたり、簡単に家を建てたりとかかな?」

「なるほど……創造スキルというものか?

確かに可能じゃが……それが欲しいのか?」

「あぁ……ひっそりと暮らしたいなと思って……」

「なるほど、創造スキルは望み通りに二つ目のスキルにしてやるが、お主にはひっそりと暮らすことはできぬ。

何故なら、お主自身が変わることはない……少なくともお主は一つの国を作り上げて、その国の王になるとワシらはそう予言するであろう」

「それより、次で最後の三つ目じゃ。

時間停止スキルと創造スキルの次は?」

「最後の三つ目か……」


三つ目のスキルを考えた。


(……三つ目か。

そうだなぁ……そう言えば、俺は生前、敵の組員に銃で撃たれて死んだっけ?

……だったら、もうアレしかないな!

前に読んだ別の漫画の敵みたいな感じに!)


俺は確信した。


「三つ目は、傷を再生し、他者に傷を癒す回復スキルにする!!」

「ほう?

まさかここで回復スキルを求めるのか?」

「本当に良いのか?」

「あぁ!」

「……良かろう、お主には最強の回復スキルを与えてやろう!」


こうして、俺の固有スキルとして、時間止め、創造、そして最強の回復となった。

そして次はゼウスだった。


「次はワシじゃ。

ワシはこれからお主が第二の人生を送ることになる世界について説明する……だが、その前にお主には異世界では必須となるものを与えよう」


そう言って、俺に固有スキル以外に異世界必須のものとして、収納スキルと図鑑スキルを与えた。


「収納スキルは、アイテムを無限に自由に保管することが可能じゃ。

そして図鑑スキルは、その目で見た魔物やアイテムなどを知ることができ、それらを図鑑として登録されるのじゃ。

そして登録されたものは鑑定すれば一発でわかるのじゃ」

「なるほど……それはありがたいスキルだね」

「じゃろ?

これらは必須のスキルで、お主と同じ異世界へ転生した人間も全員必須スキルとして持っておる。

そしていよいよ本題に入るが、お主が第二の人生を送るためにこれから転生される異世界には、お主の常識が大きく変わる。

例えば、お主が知っているライオンや虎などの動物は、異世界にも同様に存在するが、動物ではなく、魔物として扱われており、魔法などのスキルを持っておるのじゃ。

それで戦うことができるのじゃ」

「マジかよ」

「しかも、恐竜などの絶滅した生き物やドラゴンなどの架空の生き物も全て、異世界の魔物として存在しておる。

当然、異世界オリジナルの魔物もいるし、ほとんどの魔物は強敵じゃ」

「じゃが、場合によっては従魔契約を結んで、味方として仲間にすることは可能じゃ」

「そして次じゃが……お主は異世界では普通に人間として扱われるが、人間以外にもエルフ、ドワーフ、セイレーン、オーガ、エンジェル、ディノサウロイド、サテュロス、ケンタウロス、ミュルミドン、エキドナといった多くの種族がいて、それらの種族は国や集落がある。

じゃが、オークやゴブリン、ミノタウロス、ゾンビ、スケルトンといった人の姿をした魔物がいるが、その者達は種族ではなく、ただの魔物に分類し、従魔契約の対象にもなるじゃろう」

「まるで異世界ファンタジーそのものだね」

「うむ、お主らはそういう風に言うぞ。

まぁ、これでわかったか?」

「あ、あぁ!」

「質問は?」

「問題ないです!

だが、異世界で俺、生前とは違った幸せな暮らしをしてみせる!!」

「良かろう!

その息じゃ!!」

「これより、お主を異世界へ転生させよう!!」


こうして俺は、”タツヒサ”として、異世界へ転生した。

ここからが、俺の第二の人生が始まった。

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