十字傷の大佐と夕日の王
「…間に合った。ひー…ゲホ…。」
ギリギリで間に合ったクラージュは深呼吸をしスンスンと軍服の襟付近の匂いを嗅ぎ許容範囲な事を確認して髪を結び直し意を決してドアをノックする。
手紙には部隊名や名前を名乗るなとノックは5回しろと書いてあった。
「…只今参りました。…?」
部屋の中から返事がなくもう一度ノックしたが反応がなく意を決してドアを開けるクラージュ。
「(なんでこの会議室なんだ?古いし遠いから誰も使いたがらないのに)」
部屋に右足を踏み込んだ時に違和感を感じたクラージュ。
「…!床がない!」
気づいた時には遅くそこには落とし穴があり、それに自分が落ちたという現状をたたきつかれたクラージュ。
「…!確か…!前貰った緊急用のを!」
「必要はない」
「…え?」
聞き慣れた声がし、気が抜けたクラージュ。そしてボフンという音と共に落下が止まった。
「クッション?」
「クラージュ少佐!」
いきなりの大声に驚くもすぐさま立ち上がり敬礼をするクラージュ。
「は!はい!」
そこにいたのは2メートル近い身長に軍服着ていても分かるくらいの筋肉を持ち、右頬に十字傷を持つクラージュの上司であるキーン大佐であった。
クラウド島の特攻指揮官でありおそらく軍のなかで1番強い。
「すん…。また風呂に入らなかったのか。」
「ギク!」
キーンは昔、当時のクラウド島の王に歯向かって下水近くの牢獄にぶち込まれた事が原因で周りが引くくらいの嗅覚持ちになり風呂4日入らなかった軍人がいたら説教をくらうことになる。
「(まだ大丈夫だと思ってたがバレたか…!)」