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ーコムランドー  作者: 輪っ花ミモザ
第一章白と緑と茶の島
5/7

クラージュ隊長

本と書類の塊から1人の男性の軍人がでてきた。

ルーイより年季のはいった軍服で装飾も新人より凝ったものだった。

1番驚いたのは腕章に付いているバッジの数が多い。

バッジの数が多い。

これは高い地位の軍人の象徴でもある。

しかし、その腕章の主人はボサボサの髪でへそ上まである長い髪をゆるーく結っていた。前髪は伸びていて目元が見えないくらいだった。

肌がカサカサなうえに薄っすらだが顔色と唇の色が悪い。

「まさかですが…第8部隊部隊長さん…ですか?」

「ん…?あぁ!オレが第8部隊部隊長のクラージュ・R・インディゴ少佐だ。君は確かっ…!ぶべ…!」

立ちあがろうとした時に開いた本を踏んだらしく滑ってしまったうえに顔面から大胆に転ぶ少佐。

まだ紙とかがあったから床に直接ぶつけることはなかったが、それでも痛い。

こんなドジな人が少佐…とルーイは思いたくないことを思ってしまった。

コンコン!とドアのノックが鳴り響く。


「失礼しますっ!ダヴィデ!ディエゴ!ジェームズ!以下3名報告書を提出に参りました!……あれ?」

コンコン!またノックが鳴る。

「まさか…クラージュ隊長!入りますよ!」

ガチャと言う音と共に3人の軍人が入ってきた。

「大丈夫ですか!」

3人はそれぞれ分担して書類の片付けと少佐の手当てをする。

「いやー…すまないな…」

クラージュは申し訳なさそうに謝る。

「何徹目ですか?あんまりコン詰めたら体に影響でますよ!」

「まぁまぁジェム。クラージュ隊長はみんなの休みの為に頑張って徹夜されたんだよ。」

「まージェムの言ってる事も分かるさ。ダーヴィ。」

「…だな、そうだディーゴが持っている書類にハンコお願いします。」

「了解。いてて…」

入ってきた軍人の3人のうち2人は移民とすぐにわかった。髪の色と目の色ですぐにだ。

地元民はすぐわかる色をしているから。

しかしよくよく見たらもう1人の軍人はルーイの知ってい

人物であった。

「ジェームズ⁉︎」

「あれ?ルーイか?」

ジェームズはルーイの知り合いで1年前に軍に入ったルーイと同じく移民を取り締まるために軍人になった。恐らくだがルーイ以上に移民が苦手であったはず。

しかしそのジェームズは移民が多くいる部隊に居るうえに移民の軍人と愛称で呼び合っている。

「なんで!」

Bee!Bee!Bee!Bee!

ルーイの言葉をかき消す程の警報が鳴り響く。

「4回って確か城に魔物が出た時…!」

魔物。それは人間や動物達に危害を与える物体のことだ。

ジャキン……と言うハサミがなにかを切る音がした。

クラージュ少佐…クラージュがゴミ箱に何かを捨てた。

長すぎだった自分の前髪だった。

それでも長いが目元がスッキリしている。


「Fランク2体第二中庭繰り返す…」

館内放送が鳴り響く。

「確かこの近く…だったかん…?…!」

ルーイはクラージュの目をみた。

「綺麗…」

ルーイは昔海で溺れたことがある。

近くにいた住民に助けてもらい命は助かったがみんなに凄く心配された。

けどそれ以上に記憶に残っている。意識を失う直前瑠璃色の海からさすキラキラした光がとても綺麗だったのが未だに忘れられない。

クラージュの瞳はまさにそれと同じだった。

人によっては夜空みたいな瞳と言うかもしれない。

けれどルーイにとっては深海にきらめく光が詰め込まれた瞳だった。

そして部屋の空気が一瞬でピリっとした空気になった。

「ダヴィデはオレの剣持って来てくれ。ディエゴは目標確認。」

「はい!」

「かしこまりました!」

「あとジェームズ…」

「これですよね!」

「ありがとう。」

ジェームズはクラージュに栄養ドリンクを渡す。

このドリンクは特別製で飲めば1番いいコンディションになるが明日どっと疲れる代物だ。

「よし。」

がさついた疲れた声から一転。凛としたのテノールボイスがクラージュの口からからでてきた。

「かっかっこい…」

「げっほ!げっほ!あー気管入った…」

「クラージュ隊長、新人がいるからって一気飲みでカッコつけないでくださいよ。」

一瞬カッコいいと言おうとした自分が恥ずかしくなったルーイ。

「すっすまん。大丈夫かなオレで…」

「自信持ってくださいよ。」

「あっあぁ…」

「目標確認!放送通りです!噴水広場です!」

「…いってくる。」

――


「くそっ…なんでよりによって武器を修理にだしたときに…」

「まずいよ…」

2人の軍人がドロドロとした物体魔物(タイプ暗黒ゼリー)ジリジリと距離を詰められていた。

走って逃げればいいが2人は魔物討伐から帰ってきたばかりであったため体力も底をつき足も怪我している。

バリバリ…!とでかい音が2人の後ろから迫っていた。

「間に合ったか…!無事か?」

剣に稲妻を纏わせたクラージュが2人の前に行き守るように武器を構える。

「インディゴ少佐…!」

「なんとか」

「よし!…うげ。真っ黒ゼリーか。まずいな…2人とも耳ふさいでろ!」

2人は急いで耳を塞いだ。すると魔物がクラージュに襲いかかる。

()()()()()は真っ黒ゼリーとは相性悪いんだよな。」

斬。

バリバリ…!クラージュの剣は魔物を切り裂いていた。

斬られた魔物はバチバチと音を鳴らしてウゾウゾと少し動かなくなったあとパタリと止まった。

ドゴーンと言う爆発音を残して消えて。

「使ったら爆発音がうるさいから…けど今これ使わないと…」

地面からまた5体の魔物がでてきた。

「こいつらは集団で行動するから今度討伐する時は油断するなよ!」

「「えっ!あっはい!」」

「いい返事だ。」

そう言ってクラージュは剣を地面に突き刺して剣の柄にある石に念を送る。

「はっ!」

すると石が光り稲妻が剣を伝って地面にいき魔物に流れバリバリと言う音と爆発音と共に消えていった。




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