新人
コツコツ。
レンガ造りの白いお城にある長い長い廊下をひとりの真新しい白の軍服を着た若い男が黒の軍用ブーツの底を鳴らしながら歩いていた。
「次は…これを第8部隊のクラージュ•R•インディゴ少佐にこの手紙を渡すだけだな…」
若い男の名前はルーイ。
彼は新人兵で今はまだ配属先も決まってないので雑用をこなしていた。
ここがどこだって?
ここはクラウド島と言う島だ。
そしてルーイがいるここは王様と軍人たちが慌ただしく働いているお城の中である。
ルーイは今はまだ雑用だがもう少しで研修期間が終わりになり部隊に配属される。
20部隊あるが数字が速い部隊ほど強い隊長がいる。
隊長は少佐が勤めている。
しかしルーイは第8部隊と第9部隊には行きたくなかった。
8と9部隊には移民の軍人が多い。
現王がこの島に強力な結界を張って10年近く経つ。
そのため島民のほとんどの若者は島の外に出たことがない。
しかし、どんな強い結界を張られてもモレは出てしまい、そこから遭難者が入って来てここの島民になる。それも結構な人数だ。
けど、島の発展が遅く移民の一部はその発展の遅さに島民ここでは地元民とも言う人たちのことを馬鹿にしたり伝統ある建物に対して笑ったりとあまりいい印象がない。
ルーイは生まれも育ちもクラウド島だ。
そして移民にあまり良い印象がない。
現王になってから前王に比べれば確かに治安は良くなった。
道にゴミが溢れなくなったし、路地裏で貧しい生活をしている人はもういない。暴力事件で血が壁についたりもなくなった。
しかし移民の問題があまり解決できてないから、ルーイは軍人になった。
軍人になり昇級すれば政治に参加できるうえに、移民の取り締まりもできるからだ。
8と9部隊長そして現王は移民であるが周りからは評判はいいらしく地元民とも仲が良いらしいがルーイは半信半疑であった。
「緑地区の人もアレだけど白地区の人が茶地区の人と仲良く出来るなんてそうぞうつかないな。」
クラージュ•R•インディゴと書かれたプレートが付けられた扉をノックしようとしたその時。
ドンガラガラ!ズシャ!
いきなり大きな音が部屋の中から聴こえた。
「…!」
あまりの騒音にびっくりしたルーイは急いで扉を開けた。
そこは活動記録が書かれた書類をまとめていたファイルやクラウド島の歴史の本そして細かく記載された地図が散乱していた。かなりの量で山積みだ。
よく見ると棚が傾いている。
恐らくこれが前に倒れたようだ。
「ん…?」
よく見ると隙間から手が出ていた。
「大変だ!」
急いでかき分けるルーイ。