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私は人であるが故
連続投稿!
あれから私はこの途方もない壁を登り続けている。
幾日、幾年の月日が流れたか、もはや分からない。
ただただ、登り続けている。
初めは何故このような事をしているのか、何故このようになったのか、頭を悩ませていたが、頭の片隅にまで追いやられてしまった。
ただ、登り続ける。それだけだった。それだけのハズであったが。
しかしどうやら、ここはやはり変らしい。
「おぉーい!あんさん、なーにやってんの!また犬か猫みたいに歩いて。」
鈴を振るような、それでいて快活とした声が頭上から降ってきた。
私は未だに慣れないその声に、呆れを滲ませて答える。
「私はね、人なのだよ。そのように歩けるわけがない。人、だからね。」
人だから、壁を歩くなんて、無理に決まっているだろう?