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必殺技

 さて、ここまで孫子の兵法の難しさについて語ってきましたが、孫子の兵法には全てを解決する超絶必殺技と呼べる策が存在します。

 流石、孫子。厨二心が分かっています。

 ( ̄▽ ̄)//そうそう、こういうの聞きたかったんだよ。

 戦士にとって、問答無用で敵を薙ぎ払うの必殺技は必須です。少年漫画でも一番盛り上がるシーンです。

 それではご紹介いたしましょう。孫子が提唱する必殺技です。


 「戦わずして勝つ」


 (。´・ω・)ん?・・・・戦わないのが必殺技?


 はい。必殺技です。

 戦わずして勝つので、負ける要素が数学的にもゼロです。文字通り勝率100%です。

 これまでは、百戦百勝の方法について述べていましたが、そんなものは孫子の兵法で言えば中級編です。ここからは上級編のお話し。

 一見矛盾しているような一節ですが、大丈夫。矛盾していません。その説明がこれの前の一節で表現されています。

 

 「百戦百勝は善の善なる者に(あら)ず」

 

 何度も戦ってそのたびに勝っても、最善の策ではないよ


 この一節の解釈は色々あります。

 百戦百勝よりも、戦わずして勝つ方が価値が高いよ。という意味。

 例え何度でも勝利したとしても、全くの無傷という訳ではありません。何らかのダメージを受けます。

 現代の戦争で考えてみても分かります。

 圧倒的戦力で被害なく敵陣を踏みにじったとしても、軍隊の維持には運用費が掛かります。

 食費に燃料費に弾薬費に機材のメンテナンスだってお金がかかります。部隊に損害が無くても、経費というダメージを受けるでしょう。

 そうすると、次に戦う時は一回目に比べると勝率が確実に下がります。運よく百勝したとしても百戦後はフラフラになっているはず、もしかしたら百一回目にやられてしまうかもしれないので、百戦百勝は善ならずなのでしょうね。

 昨今で言えば、アフガン情勢がまさに「百戦百勝は善の善なる者に(あら)ず」の良いサンプルです。

 米帝様は反政府勢力相手の戦闘では負け知らずだったはずですが、20年も費やしたのに、結果としてアフガンから叩きだされました。

 ですので、百戦百勝はいい結果ばかりを生むという訳ではないことが分かります。


 私はここにもう一歩踏み込んで、独自の解釈を入れたいと思います。

 孫子は言外にこう言いたいんじゃないですかね。

 

 (。-`ω-)//「百勝は立派だけど、百戦している段階で駄目だよキミィ」


 孫子の兵法は、完璧な兵法書のように思えますが、そうではありません。書いていない項目が色々あります。

 その一つが、長期戦についての言及です。

 なんと、孫子の兵法には長期戦の項目自体が存在しません。したら駄目な理由は述べてくれていますが、なった場合については書いてくれていません。

 長期戦については要約すると「するな」の、一言だけで終わりです。

 ここ辺りが、私が孫子を科学者だと思う要素の一つです。

 長期戦は論外だから論じない。論じるに値しないから無視する。占いとかと一緒の扱いです。


 これを踏まえて考えると、百戦している段階でアウトなんじゃなかろうか。

 

 孫子  (。-`ω-)//「君。いつまで戦ってるの。まだ、終わらないの。それじゃ将軍失格だよ」


 そんな孫子が提唱する究極の勝利方法が「戦わずして勝つ」になります。

 圧倒的な戦力差を見せつけたり、謀略、外交戦などを駆使して一睨みで相手を屈服させるのです。


 超絶短期決戦。

 始まる前から終わってます。

 完全無欠に損害ゼロです。


 絵になりませんけどね。

 少年漫画の主人公が、戦わずして勝ったら非難轟轟ですよ。

 カウンター系の作品を連載している私だって、こんな作品は書きません。

 (。´・ω・)何が楽しいの?

 面白くも何ともありませんが、孫子に言わせると戦いは面白いものではないのでしょう。

 負ける可能性もありますし、人が死にますし、お金もかかります。リスクヘッジすると、戦いは非効率です。よって、戦わずに勝つことが至上になります。


 孫子にバトル漫画のシナリオを頼んだら駄目ですね。確実に炎上します。

 (゜Д゜)//バトルシーン無しだと。ふざけんな!

 孫子の兵法の運用が難しいのは、男の闘争本能すら否定してしまうところかもしれません。

 なんかズッコイい感じがしますもんね。身体は闘争を求めているのですよ。



                  続く

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