敵を知り己を知れば百戦危からず
「兵は拙速を貴ぶ」といわれましても、どうしたらいいか分からないことは普通に起こり得ます。
色々な選択肢から、咄嗟に正解を選べと言われても難易度アルティメットです。
そりゃ、あんたは出来るんだろうけど、おいらには無理だよ。
そう言いたくなります。
けれどもご安心ください。我等か孫子はちゃんとフォローしてくれます。
この手順を踏んでいれば、誰でも咄嗟に最良の判断が出来るのです。
ご紹介しましょう。
「彼を知り己を知れば百戦 殆からず」
これです。
相手の実力と自分の実力を正確に把握していれば、何の問題も無いという事です。
言われてみれば、ああ、そうかって感じですよね。
自分の利点と弱点を知り、同じ様に相手の利点と弱点を知っていれば、自分の利点で相手の弱点を突き、自分の弱点を隠し相手の利点は使わせない様にすれば、確かに百戦百勝です。
この一節の良い所は、自分の事は自分が一番知っているだろうという常識論が当てはまる事です。
自分の実力を常日頃から正確に見積もっていれば、要件の半分はクリアできます。
少なくとも自分の利点を活用し、弱点は隠せるはずです。
自分さえ知っていれば、勝機は五分五分といったところでしょうか。
さて、彼も知らず自分も知らなければどうなるか。
考えるまでもありませんよね。百戦百敗です。コールド負けでしょう。
彼も自分も知らない人がいい放つ、代表的な言葉を紹介いたしましょう。
「やってみないと分からない」です。
孫子に言わせれば「やって見なくても分かる」でしょうか。
案外誰でも陥ってしまう発想かも知れません。実際、私もよく言います。
この台詞は孫子の兵法的にはアウトです。
しかし、自分の事はともかく、相手の事はどうやって知ればいいのでしょうか。尋ねたところで答えてくれるわけがありません。
私 (。´・ω・)?どうするんです。
孫子 (。-`ω-)//調べるに決まってんだろ。
用間編
孫子の兵法が際立っているのは、諜報活動についての言及が細かい点です。
敵情を探るスパイの分類まで行っています。
これ、紀元前の著作なんですけどね。CIAのマニュアルかΣ(・ω・ノ)ノ!って内容です。
ここで少し「マンガ孫子・韓非子の思想」から一文を引用いたします。
優れた君主や有能な将軍が、戦えば必ず勝つのは、事前に敵情をキャッチしているからである。
敵情を探るのに神頼みなどしてはならないし、過去の経験から推測するのも良くない。
占いで判断するなどもってのほか。
スパイを使って情報を収集してこそ、正確な敵情が掴めるのだ。
仰る通りでございます。
スパイには五つの種類があるそうです。
①郷間 敵国の住人をスパイにします。
②内間 敵国の役人をスパイにします。
③反間 敵のスパイを手なずけて役立てます。
④死間 こちらのスパイを送り込んで偽の情報を流します。また、死を覚悟して潜入するスパイの事。
⑤生間 敵情を探って生還し、本国に情報をもたらすこと
以上五間です。
(*´▽`*)はぇー。これだけ手を打てば、彼を知ることも難しくないでしょう。今すぐ使えそうな内容ですね。
使えそうなんですけど、スパイを使いこなすハードルは高いものです。
才知にたけた将軍でなければ、スパイは使いこなせません。
仁義に熱い将軍でなければ、スパイを送り込むことはできません。
細心の注意を払う者でなければ、スパイがもたらした情報の真偽は判別できません。
こちらの動きが漏れた場合は、スパイを始末する非情さも持ち合わせていなければなりません。
人選の難易度高いな。
これは将軍じゃなくて専属の人を置いた方がいいと思います。
日本もMI6みたいなものを作った方がいいんじゃないの? そんな気にさせます。
五間のなかで一番優遇すべきは反間だそうです。
ダブルスパイが一番役に立つんですね。なるほどなぁ。
いかがだったでしょうか。
咄嗟の瞬間に正しい判断をする為には、自身と相手の戦力比を正しく把握して、そのデータにもづいて素早く対処。正しいテータを手にするために必用なものは、複数の種類に分かれたスパイ網。そこから吸い上げたデータを集計、検証していれば、相手の事は手に取るようにわかります。
迷う事など何もないではありませんか。
簡単な表にするとこんな感じ。
「完成されたスパイ網」
↓
「彼を知り己を知れば百戦 殆からず」
↓
「兵は拙速を貴ぶ」
↓
「百戦百勝」
私から感想を言わせていただきますと、「一言でいうな」って感じです。
分かるかこんなもん。
孫子の兵法は色々なパーツが複雑に組み合わさった構造をしています。
何か一つの言葉を取り出しても、真意はくみ取れないようです。
続く