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風林火山

 ここら孫子の兵法の内容に入ります。

 はい。そして、いきなりメインディッシュです。

 まともな人間なら始計編とかから始めるのでしょうが、そんなの知りません。

 やりたいようにやります。


 「風林火山」


 日本人でも知っている孫子の一節、第一位でしょう。

 むしろ知らないと日本人かどうかを疑われるレベルです。戦国大名、武田信玄が旗印にしたことでブレイクした流行語です。

 読み下すとこうなります。


 「その(はや)きこと風の如く、その(しず)かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」です。


 原文には続きがありまして「知り難きこと(かげ)の如く、動くこと雷霆(らいてい)の如し」

 要するに「風林火山陰雷」ってことですね。

 語呂が悪いので後ろの二つはカットしたのでしょう。陰はともかく風と雷は意味が若干かぶってますしね。

 さすが信玄公、いい判断です。


 これが一番簡単な孫子の兵法だと思います。

 難しい事はありません。読んだままです。

 「風林火山」は軍事行動に出る時の作法です。

 この一節は、兵法を知らない初心者にも分かりやすいでしょう。


 移動はちんたらしないで、ちゃっちゃと行う。

 潜伏するときは息をひそめて、みだりに音を立てない。

 攻撃するときは燃え広がる炎のように苛烈に。

 守る時は一歩も引くな。死守命令。(。-`ω-)/チキショーメ。


 これに近い一節が他にもあります。


 「初めは処女の如く、後には脱兎のごとく」


 軍事行動を起こすときは、処女の如く物静かに振舞い敵の警戒心を解く。

 その後、脱兎の如く攻撃をして敵に反撃のいとまを与えない。そうすれば勝てるよ。

 ファイティングポーズを構えず、いきなり拳を放つようなものでしょうか。これは防ぎようがありません。

 

 孫子はとにかくスピードに煩い人です。

 速ければ速いほどいい、みたいな価値観です。

 特に初動の速度に煩い。

 パッと最高時速に達しろ要求します。雷霆や脱兎はそれを強く表していますね。

 この人は長い年月がかかる造り酒屋の運営は向いていません。主要道路沿いにサッと開店して、駄目ならササッと閉店する牛丼屋のような形態の運営こそ天職です。

 この辺りのスピード感が現代のビジネスでも通用する事なのでしょう。


 スピード繋がりでもう一つ。


 「兵は拙速(せっそく)を貴ぶ」


 拙速の解釈にはいろいろあるようですが、孫子は迂遠な表現はしません。

 文字通り「さっさと動け」という事でしょう。

 誤解が生じるとすれば、考えがないのに闇雲に動くことですかね。

 これも基本的な事なのですが、孫子の兵法は理論ですので、考えが無いということ自体を想定していません。

 基本理念や戦略目標は認識していることが大前提です。

 思考しないおバカは端からお断りなのです。

 この言葉は、考えは無いけどとにかく動けではありません。どう動けばいいか分からない段階で指揮官失格です。

 常に考えていて、その上でさっさと動けと言っているのです。

 ハードル高いな。(;´・ω・)//


 亜種もあります。


 「拙速は巧遅(こうち)に勝る」


 さっさと動くことはじっくり考えるのに勝る。

 孫子の兵法を題材にしたビジネス書とかに書いているらしいんですが、残念ながら孫子の兵法にはこの一節はありません。

 語呂はいいですけどね。

 孫子に言わせれば「戦場に行く前にじっくり考えとるわ。戦場に着いてから考えてどうする。遅いよ」って事だと思います。


 孫子の兵法は決断力の重要性を教えてくれます。

 指揮官たるもの、常日頃から色々考えて、時期が来れば迷わず一瞬で決断し、決断した瞬間に動けって事なんでしょうなぁ。

 これ、出来るかな。(;´・ω・)?

 色々考えて迷わないという事が、まず矛盾しているような気がしないでもない。

 まぁ、これの解決策も考えているんですけどね。このマッドサイエンティストは。

 


                 続く

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― 新着の感想 ―
[良い点] 興味深いエッセイです。 おさえ所からして、面白いですし。 [一言] 私も孫子の愛読者です。 いまは岩波版のを、ここ五年くらい 読んでいますが、 それ以前には副読本に近いのを 読んでいたりし…
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