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長い後書き

 最後に本編で言いそびれた事を、つらつらと書いてみようと思います。


 孫子と韓非子は、日本人が東洋思想を理解する上で、取っつき易い二人でしょう。

 まず、二人の思想は、日本人の共通認識として既に存在している事です。

 「勝てば官軍」なんて言葉は、孫子の兵法を一言で表していますし、矛盾や逆鱗に至っては、もはや日本語です。

 知っている言葉があれば、理解も速いでしょう。

 また、儒教と比べても理解しやすいのではないかと考えます。


 東アジアの統治方法は大きく分けて二種類です。

 「人治」か「法治」です。

 人治の代表が孔子が開いた儒教。

 法治の代表が商鞅、韓非、孫武などの法家と呼ばれる人々です。

 現在法治国家である日本では、孔子の教えよりも法家の教えの方が呑み込みやすいでしょう。

 儒教の教えは、個人の立ち居振る舞いとしては理解できますが、統治方法としては理解不能です。

 「徳によって治める」などと言われても、実際の方法が思いつきません。

 もう一回、大政奉還でもすればいいのでしょうか。しかしながら法律によって治めると言われたら、一発で理解可能です。

 逆にそれ以外が思いつきません。

 他の地域には、神権政治なんてものを掲げる人たちもいますが、それもなんだかなぁ。


 

 一方、孫子と韓非子の思想は、無理なく理解できます。理解できるという事は価値観が近いという事です。

 二人の共通点は、戦いや人間を分解して分析している所です。

 人情などという、個人によって価値の違うもを、全て排した合理主義の塊です。

 合理主義は、いい変えると科学的とも言えます。

 科学は科学的思考さえ持っていれば、国や時代を越えてゆけるでしょう。残念ながら儒教は非科学的です。個人の価値観に重きを置き過ぎです。

 

 私が仮に古代中国の世界に飛ばされたとして、孔丘先生と話が噛み合うとは思えません。ですが、孫子や韓非子とはある程度、会話ができるでしょう。

 それは、価値観が近いからです。とても二千数百年前の中国人とは思えません。

 むしろ、我々が二千数百年かけて、ようやく彼らの思考回路に追いついただけなのかもしれない。


 私は孫子からは「勝利への執念」、韓非子からは「現状への怒り」を感じます。

 その二つが、海を越えて日本に根付いていることに、不思議な感慨を覚えました。



 以上でございます。



 さて、皆さま「マンガ孫子・韓非子の思想についてのあれこれ」いかがだったでしょうか。

 解説と言いながら、よく分からない考察込みの、超解説のエッセイとなりましたが、私の個人的見解120%ですので、話し半分でお願いします。

 浅学菲才の分際で、孫子と韓非子を語るという無茶な企画でした。

 始めにも書きましたが、皆さまもお腹一杯になったと存じます。


 たった一冊で、孫子と韓非子という二大巨人を解説する本書。お勧めです。

 特に東洋思想に触れる入門書としては、最適だと思います。

 本書の面白い所は、作画が蔡志忠という方でして、たぶん中国か台湾の人だと思います。絵柄はコミカルで、日本人が持っていない独特の風合いのある漫画です。

 いつもと違う感覚を得られることでしょう。



               完

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。


 ご意見、ご感想などございましたらお気軽にどうぞ。基本的に返信いたしております。

 評価などして頂けたら喜びます。

 本作に不満を覚えた、そこの貴方。是非とも、孫子・韓非子をテーマにしたエッセイをお書きください。

 喜んで読ませていただきます。( ̄▽ ̄)//

 他の人でもいいですよ。荀子とかお勧めです。


 長々とお付き合いいただき、感謝いたします。<(_ _)>

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