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現代社会で使えるのか

 さて、今でも本屋の片隅に並んでいる孫子の兵法ですが、現代社会で使えるのでしょうか。

 結論からいいますと、使えます。

 読んだことのない人は、一度お読みになった方がいいと思います。

 「勝つ」という事は何なのかを分かりやすく教えてくれます。

 勝利する事、この一点にのみに価値を掲げるなら、孫子の兵法は人類が生み出した金字塔です。二千数百年たった今でも書店に並んでいるのも納得です。

 実行の難易度は高いですが、戦いの必勝法も教えてくれています。

 また、勝利についての思考の立脚点としても優秀でしょう。これ以上に説得力のある兵法書は中々存在ません。

 問題なく使えます。


 使えるんですが、ビジネス書とかに書いてあるような内容で使う事は、私はお勧めしません。根本的に向いていないと思います。

 孫子の兵法の根本的な理念は「短期決戦」です。


 短期の決戦です。


 大事な事なので二度言いました。

 決戦というのは一回で勝負を決めてしまう事です。二回目はありません。関ヶ原の戦いのような物です。

 しかし、現実のビジネスに、短期決戦なんて状況がどれほどあるでしょうか。

 この商談がまとまれば、暫く仕事はないなどという状況は特殊な事例でしょう。大手商社の大規模な取引や、国家間の取り決め以外に思いつくステージがありません。

 毎日が決戦などというのは、理論ではなく精神論です。

 決戦は破れると身の終わりです。毎日そんな事してたら命がいくつあっても足りません。

 孫子の兵法は精神論ではなく理論です。頭で考える学問です。心で感じる大和魂に出番はありません。


 身近なビジネスの多くは、日々の努力の積み重ねです。むしろ長期戦、持久戦であることが多いでしょう。

 孫子の兵法は長期戦や持久戦には向いていません。

 「するな」と言われて終わりです。

 日々のビジネスに孫子の兵法を取り入れることは、農具の移動に新幹線を使うようなものです。用途が全く違うのです。


 そもそも、孫子の兵法は将軍の教養です。

 一般兵卒や下士官レベルでは使いようがありません。

 教養として楽しんだり、将来に向けて勉強する分には有用ですが、兵卒の行動や、部下の教育には向いていません。と言うか使える場面が限定的過ぎます。

 一般的なビジネスシーンでスパイの活用法などを勉強しても、何の役に立つのでしょうか。

 情報収集は一次情報を重視する孫子です。誰かが書いた新聞やTV、ネット情報などに重きを置きません。参考資料程度です。

 一番重要なのは、スパイからもたらされた生の情報です。

 これにあてはまる職種ってなんだよ。

 それこそ外務省や諜報機関、産業スパイぐらいしか思い当たりません。

 また、相手を陥れることに重点を置いたビジネスなんてものは、ビジネスではなくただの詐欺です。

 これまた使い道はありません。

 (;´・ω・)ないよね? あるとか言わないよね。


 孫子の兵法は漢文特有のカッコよさがあるので、一部分を切り取ったら使えるような気がします。

 例えば「兵は拙速を貴ぶ」なんて良い例でしょう。

 素早い決断と行動を推奨しています。

 これ自体には何の問題も無いのですが、前提条件なしに何にでもくっつけると誤解を生みます。

 先にも書きましたがこの言葉は、何も考えは無いけど、とにかく体を動かせではありません。

 何通りもの選択肢の中から、瞬時に最良の選択をせよという意味です。

 いいたかありませんが、突発的事項に対して何通りもの選択肢を用意している段階で、ただ者ではありません。相当な人物です。孫子はさらにそこから瞬時に、最良の選択をせよと言っているのです。選択肢が無い人間はそもそも考慮されていません。

 優秀では駄目なんです。最優秀でないと駄目なんです。二番は駄目なんです。

 これが「兵は拙速を貴ぶ」の本意です。

 何でもいいから動けではありません。

 これを、新人研修で話したとして誰が活用できるんですかね。

 (;´・ω・)//あたしゃ無理だよ。

 ベテランの管理職だって大半は失格でしょう。

 彼らだって選択肢なんて用意していませんから、自然と「巧緻(こうち)」になります。じっくり考えて時機を見て動きます。

 はい。巧緻は孫子的には失格です。


 決定的なのは兵站の概念の欠如です。

 資本主義社会において、補給は文字通り生命線です。

 基本方針が少々おかしくても、現場が何かミスをしても、兵站がしっかりしていれば持ちこたえられます。

 しかし、孫子の兵法において兵站とは基本的に現地調達です。

 資源や資本を現地調達を基本とするビジネスって何?

 あったとしても所詮、泥縄方式です。早晩破綻いたします。だから孫子は破綻する前に終わらせろと言っているのです。

 以上の様に、私はビジネス書として孫子の兵法を読むことはお勧めしません。

 使えるのは最初の方に書かれた、基本理念ぐらいだと思います。


 ビジネスと同様に、スポーツでも使いにくいと思います。

 理由はスポーツマンシップに則っていないからです。

 ルール内で策略を使う事は問題ありませんが、孫子はそんな甘っちょろい使い方はしません。審判を買収したり、ルールを変更したりすることも、ドーピングだって立派な兵法です。

 孫子の兵法は勝利に重きを置いています。勝ち方に重きは置いていません。事実、こんな勝ち方は駄目だという記述はありません。

 それどころか謀略による勝利が最上とすら言っています。(戦わなくてもいいからです)

 勝てば官軍の極致を行くのが孫子の兵法なのです。

 これは、ガチの戦争指南書ですからね。拡大解釈すれば、効率のいい人の殺し方が書いてある本です。

 一度殺した人間は蘇りません。よって死んだ人に対して、次の事を考える必要が無いのです。

 そんなビジネスやスポーツはありません。

 孫子の兵法は使える個所も多々ありますが、根本的には異質なものでしょう。




 ・効率のよい利用方法


 普通のビジネスでは使えないと言いましたが、使える場面もあります。

 孫子の兵法が最も適しているのが「投機」です。

 投資でも使えますが、より短期決戦である投機の方が向いているでしょう。

 買い時を見極めて、ガッツリ買って、売り時を見計らって、全て売り払います。

 日々の積み重ねも、防衛も考える必要はありません。その瞬間に最大の力を発揮すればよいのです。

 投資や投機には情報収集は必須です。

 早く正確な一次情報こそ宝です。遅かったり不正確だったり人づての情報など、投機には役に立ちません。場合によっては相手を欺くテクニックも必要かもしれません。

 投資対象の意志や実力も関係ありません。こちらが予測した通りに「動くか」「動かないか」の二択です。

 売っぱらった銘柄が、この後どうなろうと知ったこっちゃありません。チャートを追いかけるだけでいいでしょう。興味が出るのは次に買う時です。

 孫子の兵法は投機には、ジャストフィット致します。

 投機をお考えの方はお読みになると良いでしょう。

 私は投機をしないので、無責任な言い草になりますが、たぶん役に立ちます。

 (=゜ω゜)ノたぶん。

 



              続く


 以上にて、孫子の兵法解説&考察を終わりにいたします。

 お付き合いいただき、ありがとうございます。

 韓非子は二話程度を予定しています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] わかりやすく、簡潔です。 加藤さんの目線が読者に近く、直感的に受け入れやすいところが良いです。 といううことは、曹操さんの「魏武注孫子」より加藤さんの方が手際が上かも [気になる点] 孫臏…
[一言] バブルの頃に、『孫子に学ぶナンパ術』だか『孫子に学ぶ恋愛テクニック』だか、そんなタイトルの本があったようなwwwwww
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