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2021年 大学祭企画

架空遺言⑦

作者: パニ能ちゃん

理由

 皆知っている通り、末期の肺がんを宣告された。私が死ぬのはそう遠くないだろう。

 そこでこの家の財産を私が生きている間に全て精算することにした。弁護士先生にも見てもらっているから、信頼は担保されている。


目的

 智子、愛美、遥一、淳、香織の娘息子に遺産を配分することで、死後にいざこざが生じるのを防ぐことが目的である。


諸注意

 この配分は生前、私にどれだけ尽くしてきたかによって決めている。碌に顔も見せずにいざ死んだ時にだけ現れ、遺産を寄越せなどとは、余りにも虫が良すぎるというのが理由である。

 土地や本邸を含む邸宅といった不動産については、全て売却するものとする。

 また現金については、計算を容易にするため百万円以下はあしなが育英会に寄付するものとする。


配分

 智子…保有株式二○%、二○○万円

 愛美…保有株式二○%、二○○万円

 遥一…保有株式二○%、二○○万円

 淳 …保有株式二○%、二○○万円

 香織…保有株式二○%、二○○万円

 舘岡洋子…八億九○○○万円


配分の理由

 おそらくこの配分を聞いて思うことはそれぞれであろう。ある意味一致しておるかもしれんが。

 前述の通り、この配分は生前私にどれだけ尽くしてきたかによって決めている。お前たち5人はは生前碌に私に顔を見せず、仕事が忙しいと何かと理由つけて滅多に顔を見えなかった。これだけならそうなのかもしれないし、私もとやかく言うつもりはなかった。しかし、いざ帰ってきたと思ったら遺産がどうだとか孫への小遣いだとか、金の無心しかして来ない。そんな人になぜ半世紀以上かけて築いてきた財産を譲らなければならないのだろうか。

 それに比べて、お前たちが帰らない間私の世話をしてくれた舘岡洋子さんは献身的に世話をしてくれた。それに、家が貧しく、給金の大半を家に送っているそうだ。こうした人に財産を譲りたいと思うのが至極真っ当な考えではなかろうか。

 以上の理由により、私の財産は上記の通りに振り分ける。



      2017年6月26日  犀川甲三郎


   唐島工藤法律事務所弁護士  唐島恒喜

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