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その頃……

「なになになになになになにナニナニナニナニナニナニ!(◎_◎;)」


おかしい。

私は確かエドモンドに担がれて街を散策していたはず、



エドモンドは自分の用事の後、私の胴体を探してくれていた。


エドモンドは私に負担のないように優しく持ち運んでくれていた。


私は今首だけだから、彼の頭陀袋に入って一緒に行動していた。


そして私は自分の体をある程度探知できる。


その力でようやく私の胴体を見つけることができた。


だが、



私の胴体を回収しようと、私の胴体に触れようとしたエドモンドは吹っ飛んでゆき、気がついたら私は、自分の胴体にかつがれ、力一杯揺さぶられていた。



高速でヘッドバットしてる感じだ。



視界はぶれぶれ、今どこを走っているのかも分からない。


今、私の胴体は首なしの状態で街中を猛スピードで爆走していることだろうけど自分の身体ながら止められる気がしない。




考えるだけでもホラー感あふれる演出だ。


幸い、


誰に見られても恥ずかしくない断面なおかげで堂々としていられるが、


もう少し雑な断面なら恥ずかしすぎて白目向きそうだった。


その点に関しては、エドモンドに感謝をしなければいけないと思う。


私は、


私の家族は世間一般的に見て、決して許されないことをしてしまった。


街中の人々が必死に働いて稼いだお金を、税として巻き上げ、こちらは好き勝手にそれを使って贅沢をしていたのだから。


私たちは罰を受けて当然のことをした。


さっきの路地裏で揉めていた人たちのことが頭に浮かぶ。


台を登って首を斬られるまで、私は街中の人から石を投げられ、罵詈雑言を投げられした。

でも、その時私はその理由も意味も考えようともしなかった。


だけどエドモンドは、そんな私にただ嫌味を言うのではなく、ちゃんと全てを話してくれて、叱ってくれた(割愛済み)。



そしてまるで測ったかのように、私は首を切られたというのに意識があった。


おかげで私はこうして自分の罪を自覚し、償う機会を得たのだから。


あのまま死んでいたらきっとなぜ死ななければならなかったのかすら知らないままだった。

まるで神様が何も知らなかった私に、知って償う機会をくれたみいだ。


それはいいとして、


「ほんとなんなのこの状況……」


胴体は止まる気配もないし、どこへ向かっているのやらも予想できない。


「――――っ!?!?」


今跳んだ?今めっちゃ跳んだよこの胴体。


とんでもない浮遊感に襲われた。


そして異常に少ない着地時の衝撃。


「私の身体どうなんてんの!?」



頭がなくなってリミッターが外れて出鱈目なパワーがでているのか?


だとしたら後でものすごい筋肉痛に襲われそうな暴れっぷりだ。



「やめて、まじやめて」


揺れに浮遊感に、吐くものないのに吐きそうだ。


でもなんだろう、このないはずなのに胃を締め付けるような感覚。


これはまるで、本当に吐きそうな……



プシャァァァァァァァァァァ‼︎



「…………」


分かる。



なんか胴体の方の断面から噴出してる。


繰り返すが私は胴体の状態がある程度わかるのだ。


「多分死ぬ前に食べたケーキだわ、ああ最悪」



まだ死んだとは断言したくないが一言でこの状況を説明する言葉が見つからないから適当な表現をする。


これも罪を犯した私への罰なのだろうか。


街中を断面丸出しで爆走し、止める間も無くゲロを吐き散らすなんて女の子として終わっている。




いやだ、



誰か助けて、


心のどこかで願う。


きっと願うことすら許されないとはわかっている。でも、


あの表情のわからない頭陀袋をかぶって、無関心にただ作業的に斧を振りかざすあの光景が思い浮かぶ。


あの男、まだ出会って数日なのになんだか物凄いよく知った仲のような、とても親近感を覚えるあの男、


エドモンドがなぜか助けてくれると思ってしまう。


(きっと厄介払いできたとか思って追ってなんてこないわよ……)


今頃私のことなんて早々に諦めて帰路についたエドモンドはうちに帰ってドレイクの世話について考えていることだろう。


腹が立つ、


私以外のことに頭を悩ますエドモンドのことを考えると無性に腹が立った。


今私のこころは怒りに燃えている。


……はずなのに、


だけどなぜだろう、


とても冷たい、



寒い、


なんだか、急激に体温が奪われるような、暗闇が背後から迫ってくるみたいな、そんな虚無感に襲われる。



もうダメだ、


何もする気が起きない。


だんだんだるくなってきた。


このまま足を止めて倒れれば全て終わる。


止める足もないけどね☆


「――――待て‼︎」


しかし、


聴き慣れた誰かさんの声を一言聞いた瞬間、




暗闇に閉ざされた視界にかすかに光がさした。

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