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悲鳴

「キャァァァァァァァァ‼︎」


マリーの身体を探して街へ来たダンテ。


そしてつい先程、マリーは自分の身体が近くにあると言った。

その方角から聞こえてきた悲鳴。


絶対無関係とは思えない。


嫌な予感がしてマリーを担いで全力疾走するダンテ。


すると、一人の女性が男2人組に襲われているらしい現場へ遭遇した。


悲鳴を聞きつけて駆けつけた形になり、女性からは救いを求める眼差しを、男2人組からは敵意の眼差しを向けられる。


女性は何かを抱えていて、それを男達から守ろうとしているようだ。


「助けて下さい‼︎この人達に襲われていて」


女性がダンテへ助けを求めた。


「バカを言え‼︎お前が俺達から金を奪ったんだろ?」


男の一人が女を追い詰めている理由らしいことを述べる。


「おい‼︎悪いことは言わないから、そいつが持ってる袋を取り返すのを手伝ってくれ‼︎」


……もう一人の男にも助けを求められた。


「……何がなんなんだ?」


混乱の極みにいるダンテ。


見た目は男2人組の方が悪そうに見える。


が、理由もなく女性一人が持つもの一つ奪うのにあんなに必死にならないだろう。


「助けて‼︎」


「そいつを信じるな‼︎」


「俺達も騙されたんだ‼︎」


うーむ、


だが、唯一の救いは……


「すまん、先を急いでいる、お前達に構ってられないんだ」


マリーの身体が原因じゃないらしいということ。


「「「は?」」」


三人とも同じ反応をした。


口が開いて閉じられなくなったみたいだ。



……なぜだろう?


「えっ?今の私達の話を聞いてた?」


「ああ」


そりゃまともに遭遇してしまったからなんとなく状況はわかる。


「それで、手伝ってくれないのか?」

「なぜ手伝う必要がある?」


が、目的に関係ない以上、これ以上関わる理由がないと、空いた口が塞がらなあ三人に背をむけ立ち去ろうとする。


「必要も何も、困っている人は助けるものじゃないですか?」


女性の切実な叫びがダンテの足を止める。


「……確かに」


そして思わずそう呟いた。


ダンテだってまともな人間だ。


確かに、これ以上の厄介ごとは抱えたくないが、ここで困っている人を見捨てるのも忍びない。


(いや、しかし、急ぎの用事があるというのに、こんなところで油を売ってる余裕はない…)


が、そう言われてしまうと良心が痛んで冷たく当たれない。


……どうしたものか、



悩みに悩んだ末に出した結論は、


なら、


「なら助けて下さいよ‼︎」

「黙れ‼︎助けて欲しいのはこっちだ‼︎今日の売り上げ全額持ち逃げしやがって‼︎」


いつの間にかまた言い合いを始める三人。


状況的には女が一人、2人組の男に襲われているように見える。


華奢な体つきで、何かを大切そうに抱えている女。


対する男二人は、二人ともかなりいい体格をしている。

ただ武器になりそうなものは手にはなく、素手だ。

格好からも、戦闘なんて縁遠い旅商人だろう。


「私の稼ぎでもあるのよ⁉︎なのにあんたたち、影で私には一銭も払わないなんて喋ってたじゃない‼︎」


「それはお前が胡散臭すぎること言うからだろ⁉︎」


男達の会話から想像できるのは、女が持っているのは男達の今日の稼ぎらしい。

最初の会話からおそらく女は、男二人が陰で悪いことを企んでいることを知り、なんらかの方法で男二人を騙し、今日の稼ぎを奪って逃げた。

そしてそのことに気がついた男達に追われ、こうして袋小路に追い込まれたといったところか、


男達はそれを返してほしい。払う気はない。

逆に女の方は返したくない。全部奪って逃げた。


袋小路に追い込まれ、体格的にも男二人には敵いそうにない女。


男達も、こうして追い詰めてはみたものの、力づくで取り返すだけの技術も度胸もないようで、攻めあぐねている様子。


どちらも解決するには後一歩足りない。

強硬手段にでれば何かしら解決はするかもしれないが、それではどちらにとってもいいことがないだろう。


そこへたまたま通りかかったダンテにそれぞれの状況をなんとかしてほしいと助けを求めたのだ。


そしておそらく、双方とも、この状況がなんとかできるのはダンテしかいないと考えており、なんとかするまでは絶対に逃さないつもりだろう。


目が本気だ。


つまりダンテはこの場から離れるにはこの場をなんとか収めなければならない訳で、



「わかった」

この場を落ち着かせるにはこれしかない。


と何かを決めた様子。


「今俺にはやらねばならないことがある。それ以上にメリットがないと必然的にお前たちの件は優先度が下がる。今の用事が終わってからでいいなら後でゆっくり話を聞いてやるから、それまで待っててくれないか?」


膠着状態なら、あと5分でも10分でもそのまましているだろう。



「まあ、それなら……」


双方納得の様子。


こうして、


俺はこの場を後にしてマリーの身体があるであろう大通りへ

「「「ってそんなん許されるかァ‼︎」」」



カァ……カァ……

3人の叫びが見事にハモった。


「ここまで来たならもうどっちか助けなさいよ‼︎ちなみに私を助けてくれたらあんたの用事手伝うから‼︎」


「まじか」


それは願ったり叶ったりじゃないか?

心が揺れるダンテ。


「待て待て‼︎こっちは2人で手伝うぞ?」


なんか変なところで争い始めた。


だが、そうなると非常にありがたい話ではある。


助けた方がこれからのダンテの用事を手伝ってくれるというのだから。


「ならまずはこの場を片付けるとしよう」


そう、実は彼には、この場を一発で解決する方法が既に浮かんでいた。


さっきはあれほど考察してはみたが、どっちが悪でどっちが善かなんて知ったこっちゃないのだ。


ならば


「最初からそうしなさいよ!!」


何やらホッと胸をなで下ろしながらいう女性。


「手っ取り早く済ませる方法をする。みんなその場を動くなよ?」


男2人組と女性一人、

意見は真っ二つ。

おそらくどっちも悪いのだ。


俺にはとても判断つかない。


なら、

「ポリスメンを呼ぶ」


「「「もういいから消えてくれ‼︎」」」



何故か怒られた。

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