安くない報酬
あるカフェの前に男が立っている、彼の名前は野村楽。
ある男に殺人の依頼をしに来たのだが、寸前になって恐怖心で体が凍っていた。
(あぁ…依頼した事がバレたら人生終わる…だけど約束は約束、ばっくれる訳にはいかない…どうする『俺』)
その時、カフェのドアが開いた。
「あなたですか?カズさんに依頼したの?」
と、若い男がドアの隙間から顔を出す。
「え?いや…はい」
「どっちですか?」
「い、依頼人だ」
「じゃあ早く入ってください、カズさん待ってますよ。」
と急かされ野村は店へ入った。
店内はとても雰囲気が良かった(っと言っても客は誰一人いなかったが)、野村は自然と安心し、そのまま奥の部屋へと案内された。
ガチャ…
部屋の中には真っ黒のジャージを着た男がスマホを片手にアイスコーヒーを飲んでいた。彼が野村の依頼を受けに来た殺し屋、和井将平だ。
「カズさん、店の前で固まってましたよ。カズさんの言う通りでしたね。」
「そうか、まぁいい。ありがとな、亮。」
「はい!」
ガチャ…
「それじゃあ、本題に入ろうか。」
(とうとう二人きりだ…)
「黙ってねぇで何か言ったらどうだ?」
「『よろしくおねがいします』とかさぁ、簡単な挨拶でもいいんだぜ?」
「よ、よろしくおねがいします…」
「そう、それでいいんだよ。」
「それでさぁ、アンタ名前は?」
「『のむらがく』です。」
「わかった、じゃあさぁ…えーっと…これに目通して。」
と和井がバックから取り出した書類には、こう書かれていた。
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[報酬基準]
①依頼者の立場
・反社···6万
・一般···10万
・芸能人···30万
・政治家···50万
②ターゲットの立場
・一般···40万
・芸能人···50万
・政治家···60万
・反社···100万
③依頼者とターゲットの関係
・他人···10万
・家族···40万
・恋人···50万
・同僚···80万
・知人···100万
※プラス手数料の150万
◣ ◢
「こんなに簡単な基準なのか?」
「そうだ、そんじゃ殺す相手の個人情報とこの書類にある条件を教えろ。」
「わ、わかった。名前は『新島幸田』で年齢は27、同僚で一般人、俺は35歳で一般人だ。あと…これが顔写真」
新島の写真を睨むような目で見て、和井は呟いた…
「ホントに社会人なのか…」
なんと、写真に映る新島の髪型は坊主、しかも剃り込みまでしっかり入っていた
「へ?あぁ…そう思っても当然か。」
「コイツ、なんでこんな感じなんだ?」
「殺したい理由、ですよ。」
野村が淡々と話し出す
「新島は変わってしまった…」