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口癖

「パパ!これが欲しい!」それが娘のリサの口癖だ。私は朝早くに会社へ行き、残業を片付け夜遅くに帰ってくる。それはもう毎日のように。母親を早くになくしてしまった上に一人っ子のリサには、毎日寂しい思いをさせてしまっている。そういうこともあり、リサが欲しがるものはなんでも与えてやろうと考えた。最初は、何か欲しいものはないかと聞いていたのだが、そのうち自分から欲しいものを主張してくるようになった。その結果があの口癖だ。

休日に外出してはあれが欲しい、これが欲しいと様々なものをねだってくる。家の形をしたおもちゃや大きなぬいぐるみといったような年齢に見合った可愛らしいのものをよく欲しがっている。それを何でも与えてやるのだ。それが私たちの日課だ。少し甘やかし過ぎだろうかと考えもしたが、愛娘が寂しい気持ちを我慢するより何倍もマシだろうと思った。そう、何を犠牲にしてでもたった一人の大切な娘を守ると誓ったのだから。私はお前を愛している。

ある日、私が会社から疲れて家に帰ってくると、珍しくリサは既に自分のベッドで寝ていた。普段であれば夜ご飯を食べながら今日あったことについて話し合うことを楽しみにしているのに。リサの部屋を覗いてみると、まるで死んでしまったかのように静かに眠っているのがわかった。よほど疲れることがあったのだろう。起こすのも悪いので、既に電気が消えていた部屋を音も立てずにあとにした。


その日以来リサの様子がおかしい。俺が話しかけても返事をしてくれないし、欲しいものがあるか聞いても答えてくれない。少し前までなら眩しい笑顔でこれが欲しいと言っていたのに。それどころか今は泣きそうな顔をしている。嫌なことでもあったのか、環境の変化に慣れないのか。心配でならない。いつも一人で寂しそうな顔をしていたからできるだけ傍にいてやろうと思ったのに。そんな悲しい顔をしないでくれリサ。俺はお前を愛しているんだ。

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