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短編集 ~お題で500文字小説~ 改訂版

お題:鏡①

作者: 三原 やん

ガラス一枚越えた向こうの世界はよほど暑いらしい。

アスファルトから湯気のようにゆらゆらと熱気が上り、今現在も温度計はみるみる上昇しているに違いない。

…まぁ、正反対に動くこちらの世界も同じ現象が起きているのだが。



いつからだろう、これが「映し出された世界」だと知ったのは。

僕達には自由が無い。自由な思考、自由な意思、自由な行動が許されていない。

向こうの世界では、みんな自由気ままに動いているが、僕らはそれに合わせて動いているだけなのだ。

偽物。そう、この世界はハリボテだ。


僕が向こうの世界に行きたくて、割った鏡とガラスの数は知れない。



僕は自由が欲しかった。


ただ、自由になりたかった。


僕が跳んだのは、ただそれだけの理由。



ビルに、その窓に僕が映る。

いや、向こうの世界にいる、本当の自分だ。



何故、君まで落ちているんだ?


君は何が不満だったんだ?


僕は偽物で、君は本物だ。


君の欲しかった物は、僕とは違う筈だろ?


僕は偽物の世界に住んでいて、君は本物の世界にいるのだから。


君がただの自由なんかを欲しがる筈がないだろ?



僕は僕を…いや、君を見つめた。

君は僕を見つめ返した。



違和感が首をもたげる。

気付かない振りをして、僕は僕の仮説を必死に肯定する。

気付いても、それはもう――(おそ)






バリン、と音を立てて、僕の鏡は割れる。

僕は自由な世界に……





ゴシャ…!!





最期に聞こえた音は、僕の望んだ音色と違う響きだった。






title:鏡 ~落下~

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